仮称・札幌市子どもの貧困対策計画素案　切れ目ない支援を推進　学習機会提供、教育環境整備など

（市町村 2017-09-06付）

　札幌市子ども未来局は、仮称「札幌市子どもの貧困対策計画」素案の概要をまとめた。子どもが生まれ育った環境などに左右されることなく、安心して過ごしながら、成長できるまちを目指すもの。貧困に起因する困難を抱える子どもなどへの支援の方向性として、学習意欲の向上に寄与する様々な機会の提供や教育環境の整備などを提示し、ライフステージに応じた切れ目のない支援などの推進を図る。

　この計画は、二十六年一月に国が施行した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」などの趣旨を踏まえ、子どもなどの貧困対策の観点から必要な施策をまとめた実施計画として策定するもの。計画期間は三十年度から三十四年度までの五年間で、計画期間中においても国の施策の動向など、必要に応じて見直しを行うこととしている。

　計画素案は「子どもの貧困」について、経済的な側面にとどまらず「子どもが学び成長するために必要な機会への様々な不利や困難などと結びつき、子どもの成長・自立に影響を与えるもの」としてとらえている。基本理念には「子どもが生まれ育った環境などに左右されることなく、毎日を安心して過ごしながら、夢と希望をもって成長していくことができるまち」などを掲げた。

　基本施策については、①困難を抱える子ども・世帯を早期に把握し、必要な支援につなげる②子どもの育ちと学びを支える③困難を抱える若者を支える④保護者の就労や生活基盤の確保⑤特に配慮を要する子ども・世帯を支える―の五点を推進していくこととした。

　このうち、②においては、二十八年度に実施した同計画策定に関する実態調査の市民アンケートの結果で「授業以外で勉強を全くしない」と答えた子どもの割合が、全体で一一・〇％だったのに対し、ひとり親世帯の子どもが一九・一％だったことなどから、学習意欲向上に向けた様々な機会の提供や安心して教育を受けられる環境の整備を支援の方向性として示した。具体的な施策として、学習支援や学校における相談支援の取組などを提示。また、学校と家庭以外でのモデルとなる大人との交流の必要性を挙げ、児童会館など子どもの居場所づくりの推進に向けて取り組むこととしている。

　このほか、③で中学校卒業者などへの進学支援や就職支援なども盛り込むなど、乳幼児期から進学・就職に至るまで切れ目なく支援できる取組を推進する考えだ。

　今後は、市が設置した子ども・子育て会議などで寄せられた意見を踏まえ、さらに具体的な施策を盛り込んだ計画案をまとめるほか、市民からのパブリックコメントを経た上で、本年度中に計画を策定することとしている。

(市町村 2017-09-06付)