32年度開校へ準備推進 義務教育学校「仮称・厚田小中」―石狩市教委
(市町村 2017-09-08付)

 石狩市教委は、義務教育学校「仮称・厚田小中学校」の三十二年度開校に向けた準備を進めている。地域との結び付きによって進められてきた厚田区の教育をさらに深めるため「小中一貫教育」「コミュニティ・スクール(CS)」を推進する方針。今後は、設立準備委員会内に教育課程部会を設置し、検討を進めていく。

◆厚田モデルのCS具現化目指す

 石狩市厚田区における児童生徒数の減少と学校施設の老朽化を踏まえ、市教委は、二十二年度に小・中学校の在り方と将来像を検討する「石狩市厚田区学校配置基本方針案作成懇話会」を設置。二十七年、具体的な学校整備の方針を盛り込んだ「学校整備の具体策(案)~厚田区」を作成した。

 学校関係者などで話し合いを重ね、二十八年六月に厚田小学校、望来小学校、厚田中学校、聚富小中学校の四校を統合し、三十二年度に義務教育学校「仮称・厚田小中学校」を新設する方針を決定した。

 さらに、設立準備委員会を設置し、学校の特色づくり、CS、教育カリキュラムなどについて協議。ことし三月に「厚田ならではの魅力ある学校づくり」を実現する〝仕組み〟および統合校を円滑に運営するための〝施設・設備の機能〟をまとめた基本計画を策定した。

 基本計画では、仮称・厚田小中の教育の概要について「小中一貫教育」「CS」の二点を盛り込んだ。

 小中一貫教育については、複式学級を解消することが困難な小学校課程の第五学年以上で教科担任制を導入し、一部の教科で実質的に単式授業を可能にするほか、小中併置校の聚富小中の経験を生かし、小学校課程の教員が中学校課程の指導を行う乗り入れ授業を実施するなど、義務教育学校の制度を導入する効果を最大限に発揮する取組を進める。

 CSについては、これまでの長い歴史の中で学校と地域が深く結び付いてきた厚田の教育をさらに高めるため、学校・家庭・地域それぞれの連動ではなく「評価部」「支援部」「地域コーディネート部」など、保護者と地域住民が一体となったいくつかの「部」を組織した「厚田型(モデル)のCS」の具現化を目指している。

 四日に開かれた第六回設立準備委員会では、委員会内に教育課程部会を設置することを報告。①移転・受け入れ②九年間を見通した教育課程③新しい学校の特色づくり④新学習指導要領への対応⑤地域連携⑥少年団・部活動⑦閉校開校準備―の七つの分科会を立ち上げ、義務教育学校の開校に向けた学校運営上の様々な課題について、さらに検討を進めていく。

 厚田区地域協議会長で設立準備委員会の佐藤勝彦委員長は「へき地・複式教育には、社会性が身に付かないなどのデメリットもみられる。そのデメリットをメリットに変える教育環境を整えていきたい」と話している。

(市町村 2017-09-08付)

その他の記事( 市町村)

移行期間における外国語活動時数確保―後志管内各市町村 2町が70時間実施を検討 寿都町は文科省事業の取組継続

 【小樽発】後志管内二十市町村における新学習指導要領移行期間の外国語活動時数確保の取り扱いについて、現段階の対応方針が本紙調査でまとまった。倶知安町と喜茂別町では、三十年度から五・六年生七十...

(2017-09-13)  全て読む

東川町・フィンランドの教職員 小学校長が町長表敬訪問 本年度、派遣交流開始

フィンランド教職員表敬訪問  【旭川発】「東川町・フィンランドカンガサラ市教職員交流事業」で東川町に滞在する、フィンランド・カンガサラ市トゥルソラ小学校のキシル・アルヴェラ校長が七日、松岡市郎町長を表敬訪問した。十月三...

(2017-09-13)  全て読む

札幌市の第3次食育推進計画素案 若い世代の食育に重点 高校生向けの食生活指針を作成

 札幌市は第三次食育推進計画の素案をまとめた。基本理念「食を通して豊かな人間性を育む」のもと、健やかで心豊かな食生活の実現などを目指すもの。重点取組には若い世代を中心とした食育の推進などを掲...

(2017-09-12)  全て読む

小中高で英会話一貫教育 夕張市の英語教育、道内初の試み

 【岩見沢発】夕張市は、市内小・中学校から夕張高校まで一貫して使用する「マンツーマンオンライン英会話システム」を本年度から導入する。「グローバル人材育成を核とした教育環境魅力化プロジェクト」...

(2017-09-12)  全て読む

全国学力・学習状況調査結果―札幌市教委 小・国語Bが全国上回る 「自分の考えを書くこと」など課題

各科目の平均正答率(表)  札幌市教委は七日、二十九年度全国学力・学習状況調査の実施報告書を公表した。教科に関する調査結果を小数値でみると、小学校の国語Aと算数A・Bで全国平均との差が縮まったほか、小学校の国語Bと中...

(2017-09-11)  全て読む

高校等生徒通学交通費助成事業―札幌市教委 基準額1万3000円程度で準備 助成時期は秋と翌春を予定

 札幌市教委は、三十年度から実施する高校等生徒通学交通費助成事業について、基準額を一万三千円程度として準備を進めている。石狩管内の高校等に通う市内在住生徒に、通学に要する交通費のうち、基準額...

(2017-09-08)  全て読む

道南ブロック教育長研修会開く 教育行政充実へ連携強化 研究協議、講演などで情報共有

道南ブロック教育長研修会(川上松美氏)  【浦河発】道南各市町教委の教育長が相互連携を図り、教育行政上の諸問題などについて理解を深める道南ブロック教育長研修会が八月中旬の二日間、新ひだか町と新冠町で開かれた。渡島・桧山・胆振・日高...

(2017-09-08)  全て読む

函館市教委がAL研修会開く 茨城大・小林准教授の講演など ICTの効果的活用法学ぶ

函館市教委AL研修会  【函館発】函館市教委は八月上旬、市内のサン・リフレ函館で、アクティブ・ラーニング(AL)研修会「ICT活用」を開いた。市内の小・中学校、高校の教員など約八十人が参加。講演や協議を通じて、I...

(2017-09-07)  全て読む

札幌市教委 子どもの命を守る連携協力会議 自殺予防教育の方向性議論

市教委子どもの命を守る会議  札幌市教委は五日、市教委で「子どもの命を守る連携協力会議」を開いた。関係機関や団体などから二十人が出席。市の子どもの現状や課題を確認したほか、自殺予防教育の方向性などについて意見を交換した...

(2017-09-07)  全て読む

仮称・札幌市子どもの貧困対策計画素案 切れ目ない支援を推進 学習機会提供、教育環境整備など

 札幌市子ども未来局は、仮称「札幌市子どもの貧困対策計画」素案の概要をまとめた。子どもが生まれ育った環境などに左右されることなく、安心して過ごしながら、成長できるまちを目指すもの。貧困に起因...

(2017-09-06)  全て読む