全国学力・学習状況調査結果―札幌市教委 小・国語Bが全国上回る 「自分の考えを書くこと」など課題(市町村 2017-09-11付)
札幌市教委は七日、二十九年度全国学力・学習状況調査の実施報告書を公表した。教科に関する調査結果を小数値でみると、小学校の国語Aと算数A・Bで全国平均との差が縮まったほか、小学校の国語Bと中学校の全教科で全国平均を上回った。市教委では「活用」の問題から小・中学校ともに「自分の考えを書くこと」「判断の理由や解決の方法を説明すること」に無回答率が多いことなどを課題として挙げている。
文部科学省は本年度の調査結果発表に当たり、平均正答率について、小数点以下の微少な差異は大きなものではないとの考えから、整数値で公表した。
市教委では、数値の細かな差のみに着目するのではなく、全体の傾向を大きくとらえたり、無解答率や誤答率なども含めて、成果と課題を丁寧にとらえたりすることが必要と考えている。しかし、公表を始めた二十七・二十八年度は小数第一位まで示していたことや、道でも整数値と独自に算出した小数第一位までの数値も併記していることを踏まえ、市全体の平均正答率を整数値のみで示すことは、保護者や市民から「結果をあいまいにしている」という印象や誤解を招く恐れがあることから、各教科の平均正答率を整数値とともに、独自に算出した小数第一位までの数値も併記することとした。
本年度は四月十八日に国語と算数・数学の「知識」に関するA問題、「活用」に関するB問題の教科に関する調査を実施。生活習慣や学習環境などに関する児童生徒質問紙調査、学校質問紙調査も行った。
調査対象校数および人数は、市内小学校二百三校の六年生一万三千九百七人(九四・七%)、中学校百校の三年生一万三千九百六十八人(九二・三%)となっている。
調査結果をみると、教科に関する調査で札幌市の平均正答率は、小学校が国語A七四・一%、国語B五七・六%、算数A七七・五%、算数B四五・六%。国語Bが全国平均を上回ったほか、二十八年度と比較し、三教科で全国との差が縮まった。
中学校は国語A七八・八%、国語B七三・七%、数学A六五・五%、数学B四九・二%で、二十八年度に引き続き、全教科で全国平均を上回る結果となった。
児童生徒質問紙調査では、「読書が好きか」という質問に対し、小学校では肯定的な回答を行った割合が七七・五%、中学校で七六・四%で、二十八年度よりも小学校で〇・一ポイント、中学校で〇・八ポイント上回った。また、全国と比べて小学校で一・二ポイント、中学校で六・五ポイント上回っている。
市教委は、知識・技能の定着について、小学校国語(漢字を正しく書くことなど)、算数(小数の計算など)に継続的な課題があると分析。また、「活用」の問題から、小・中学校ともに「自分の考えを書くこと」「判断の理由や解決の方法を説明すること」に無回答率が多いことなどを課題として挙げている。
今後は、各学校での「学ぶ力」育成プログラムの活用のほか、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を行うなど課題探究的な学習を推進。また、家庭への啓発などの充実に向け、学校と家庭が子どもの学習習慣づくり・運動習慣づくり・生活習慣づくりを進める際の指針のさっぽろっ子“学び”のススメの活用を推進するなど、取組を進めていく。
(市町村 2017-09-11付)
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