【解説】豊かな体験活動の充実

（解説 2017-09-13付）

　文部科学省が発行した二十八年度『文部科学白書』では「子どもたちの未来を育む豊かな体験活動の充実」を特集している。

　体験活動とは、主として「体験を通じて何らかの学習が行われることを目的として，体験する者に対して意図的・計画的に提供される体験」と定義。その内容に応じて、生活・文化体験活動、自然体験活動、社会体験活動の大きく三つに分類されると説明している。

　幼少期から青年期まで、多くの人とかかわりながら体験を積み重ねることによって「社会を生き抜く力」として必要となる基礎的な能力を養う効果があるとし、コミュニケーション能力や自立心などを育むために、様々な体験活動が不可欠と指摘している。

　国立青少年教育振興機構の調査研究結果から「自然体験や生活体験といった体験が豊富な子どもやお手伝いを多くしている子ども、生活習慣が身に付いている子どもほど、自己肯定感や道徳観・正義感が高い傾向がみられる」などと体験活動の効果を示している。

　また、文科省「青少年の体験活動の推進方策に関する検討委員会｣がまとめた今後の推進方策を紹介。

　青少年の自立心や連帯感・仲間意識などを育む長期宿泊型体験活動、ネット依存や貧困家庭の青少年など困難な状況にある青少年対象の体験活動といった非日常型・課題解決型の体験活動の機会充実などを提唱している。

　学校や地域で体験活動が継続的に実施できるよう、教員養成大学の学生がボランティアを行うと単位認定するといった、ボランティアに参画しやすい環境づくりなど、実施体制の整備も求めている。

　また、失敗体験も含め、体験プログラム自体を子ども自らが提案する主体的な体験活動などの必要性も挙げている。

(解説 2017-09-13付)