【解説】学校事故を防ぐために(解説 2017-09-07付)
道内の学校管理下で発生した災害によって犠牲となった児童生徒や教職員の慰霊碑などの研究を通して、学校事故根絶の方策を探る試みが、札幌市立曙小学校の元校長で、道教育振興会の元常任理事の岡田祐一氏の論文「碑にみる殉職と犠牲の系譜~北海道内教育関係慰霊碑の調査から」で行われている。
論文では、道内の教育関係慰霊碑を、教育活動中の事件碑、外勤・出張・研修に伴う事故碑などに分類し、それぞれの事例内容を分析。その上で、学校事故の防止策を検討している。
まず、火災への備えを挙げ、校舎隣接の物置から出火した際、教職員が協力して消火した学校の事例を紹介。同校では、教職員が冬季にスケートリンクづくりに取り組んでおり、消火栓の扱いに慣れていたため、迅速で的確な行動をとれたことから、練習や訓練の大切さを指摘した。
地震への備えでは、昭和二十七年の十勝沖地震の際、教員の適切な誘導で、倒壊前の建物から児童が避難できた事例を挙げ、建物の耐震化だけではなく、常に当事者として研鑚に裏打ちされた指導者の主体性が求められるとした。
毎月の安全点検日など基本事項の形骸化を防ぐ必要性を指摘。管理職を含む学校職員が、自校の過去の災害事例を知らないことが多いことにも懸念を示し、自校や他校の事例に学ぶ姿勢の必要性を訴えた。
日ごろから児童生徒に対し、いつ何が起きても、何をすべきか冷静に考える習慣を身に付けさせる指導を呼びかけた。
学校事故防止の具体的な改善策を具現化することを提起。
事故発生には「教職員集団の方法論の特殊性や例年どおり・昨年どおり・義務化されている」ことを要因に挙げ、抜本的な検討も訴えた。
(解説 2017-09-07付)
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