道高教組 時間外勤務実態調査に談話 〝負担軽減〟待ったなし
(関係団体 2017-09-14付)

 道高教組(國田昌男中央執行委員長)は十一日、道教委の「教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査」結果に対して「学校現場の勤務実態は限界、〝負担軽減〟は待ったなし。教職員の命と健康を守り、子どもたちの笑顔輝く学校づくりのために、実効ある長時間過密労働解消策が急がれる」と訴える関原文明書記長の談話を発表した。「教職員定数の抜本的改善、教員一人当たりの授業時数の上限設定、給特法の改正、勤務時間の適正な把握、休暇の拡大や部活動指導における負担軽減、割振変更要領の改善、週休日の振替の改善など」を求めた。概要はつぎのとおり。

 道教委は、二〇一六年十一月~十二月に実施した教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査の集計結果を公表した。全道から抽出した小学校二十八校、中学校二十八校、高校二十校、特別支援学校十校の計八十六校(延べ四千二百四十九人)からの回答を集計したものである。

 教諭の一日当たりの学内勤務時間は、小学校で十時間十六分、中学校で十時間三十三分、高校で十時間二分、特別支援学校で九時間二十五分であり、所定内労働時間を大きく上回っている。二〇〇八年の前回調査と比べ、平均するとわずか二十七分の短縮となっているものの、国が示す「過労死ライン」に達する一週間当たりの学内勤務時間数が六十時間以上と答えた人は、小学校で二三・四%、中学校で四六・九%、高校で三五・七%、特別支援学校で五・二%にのぼる。

 業務内容では、勤務日をみると、授業や授業外の学習指導を除き、すべての校種において「授業準備等」の時間が最も長く、続いて「集団への生徒指導」「職員会議等」の時間が長くなっており、中学校、高校では「部活動・クラブ活動」の時間が長くなっている。

 勤務不要日をみると、小学校、特別支援学校では「授業準備等」の時間が最も長く、中学校、高校では「部活動・クラブ活動」の時間が長くなっており、中学校では二時間二十分(前回調査よりプラス四十四分)、高校では一時間四十分(同プラス五十七分)と、部活動の負担増が際立っている。

 さらに、勤務日においては、すべての校種で「三十歳以下」の残業時間・もち帰り時間が長く、勤務不要日でも四十歳以下の青年層の割合が高く現れている。

 この間、文部科学省はICT活用や「チーム学校」による業務改善、道教委は「教育職員の時間外勤務等の縮減に向けた取組方策(二〇〇九年)」に基づき、取組を進めているとしているが、そうした政策では、長時間労働の解消につながらないことは明確である。

 道高教組・道教組は現在、全道教職員を対象に「二〇一七全道教職員・働き方改善アンケート」を実施しており、その途中集計でも、部活動休止日の設定や割り振り変更制度の活用など、道教委が実施している時間外勤務縮減重点取組について、六割以上の教職員が「効果的なものはない」と回答しており、寄せられた声からも道教委の施策が、現場の実態とかい離していることが明らかになっている。

 加速化する長時間労働の背景には、安倍「教育再生」のもとで進む、過度な競争主義教育と、管理・統制の教育がある。

 二〇〇八年の学習指導要領の改訂で、一週当たりの授業時数が増えている。また、全国一斉学力テストや少数エリート育成を目的として実施される文科省指定事業の押し付けなどによって、学校間の学力競争は激化し、短期的で目に見える成果ばかりに着目した学校評価・教員評価の導入によって強いプレッシャーが与えられ、質・量の両面で教員に対する労働負荷は確実に増大している。

 さらに、二〇二〇年度の小学校から中学校、高校と順次全面実施される次期学習指導要領についても、小学校では英語やプログラミング教育などが新たに盛り込まれるが、授業時間が削減される教科はない。文科省は、土曜日や夏休みに授業を行う案を示しているが、教員の負担がさらに増えることは間違いない。

 部活動においても、土日も休みなく練習が行われるなど、適切な休養日を設けられていなかったり、夜遅くまで指導に当たっている実態がある。少子化に伴って教員数が減少しているものの、設置する部活動数の削減は進んでおらず、部活動を指導する教員の超勤と負担は増大している。また、事務室でも支援金業務などで仕事量が増大しているなど超勤が常態化している。

 子どもたちの笑顔輝く学校づくりのためには、教職員が笑顔で教育活動を進められる職場環境が重要である。三十五人学級の拡充を含めて教職員定数の抜本的改善、必要な教職員を正規で配置することなしには、問題の解決にはならない。 私たちは、長時間過密労働の解消のために、小中高すべての学年での三十五人学級の実現を含めた教職員定数の抜本的改善、教員一人当たりの授業時数の上限設定、長時間労働の歯止めとなっていない給特法の改正はもちろん、勤務時間の適正な把握、休暇の拡大や部活動指導における負担軽減、割振変更要領の改善、週休日の振替の改善などを求め、教職員、保護者、地域の方々、地方自治体や議会などとも共同し、さらなる取組を続けていく決意である。

(関係団体 2017-09-14付)

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