長時間過密労働解消を 道教組中央委で川村執行委員長あいさつ(関係団体 2017-09-13付)
改訂学習指導要領への対応などを呼びかけた
道教組第三十回中央委員会(九日、札幌市内道労働センター)における川村安浩執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。
▼はじめに
この中央委員会は、道教組第三十回定期大会以降の半年の運動を振り返り、第三十一回大会までの運動の具体化を図ることを目的に開催される。そこで、この間の私たちの運動と情勢について特徴的なことを三つ述べたい。
▼教員の長時間過密労働の解消を
まず一つは、長年、課題としてきた「教員の長時間勤務」の問題。
部活動を糸口に、広く世論の関心を集める問題となっている。過労死レベルを超える超過勤務を「サービス残業」で行っている教員の過酷さが、様々な場で話題になっている。「先生方は大変だ」というコンセンサスは確実に広がってきている。そうした中で、どこからどう改善していくのかという道筋を明らかにすることが、私たち教職員組合の果たすべき役割となっている。
たしかに、部活動の問題は教員の超勤の大きな要因である。しかし、ほかにも長時間過密労働を引き起こしている要因はたくさんある。一つ一つを挙げればきりがない。それは「学校や教員、広く言えば教育が、保護者をはじめ社会から要請されていること、期待されていることは何で、私たち教職員や学校が実践したい、実践すべきと考えていることは何か」という、いわば「日本における学校文化」というような大きな構造的なものの中に、必然的に長時間過密労働へつながるものがあるからではないだろうか。長年にわたり培ってきた文化の問題であるから、その是非はともかく、一朝一夕で解消できるはずはない。それでも、学校文化の特性と教職員にかかる心身への過重負担との関連をみつめることは重要なことである。
その上に立って、超勤解消の糸口をどこにみいだすのかが実際の問題になる。ささやかではあっても、その糸口をみいだし提示することが「教員の超勤は仕方がない」から「教員の超勤は問題で、解消すべきもの」への意識の転換につながる。それは、大きな一歩である。
「定時退勤日の設定」は相当以前から言われていたが、ほとんど掛け声倒れ、実効あるものとはなっていない。しかし、定時とは言わないまでも、退勤時間を早めるための動きがいろいろと工夫されているという状況も出てきた。
道高教組とともに取り組んでいる「働き方改善アンケート」。私の学校の先生方にお願いしたところ、長時間勤務解消に有効なものとして「勤務時間の割り振り変更の拡充」を挙げた先生が多いという傾向が出てきた。この四月から対象項目が拡大されている。組合の運動が成果として実感されている。手続きの煩雑さなど、課題はあるものの、超勤解消の手立ての一つとして、さらなる拡充が求められる。
超勤解消には、業務量の削減か人員の拡充しか方策がないことは明らか。業務量の削減が、先ほど述べたように「学校文化としての姿」があって難しい中では、人員拡充しかない。それも、本務に直接かかわる人員増、「三十五人以下学級の早期実現」が要である。
本年度前半に取り組んできた「えがお署名」、今まさにその活動のピークを迎えようとしている「ゆきとどいた教育署名」。この二つの取組の大きな意義を、この場でもう一度、確認し合いたいと思う。
▼改訂学習指導要領に対峙して
この間の運動の大きな特徴の二つ目は「改訂学習指導要領に対する運動の高揚」である。
安倍流教育再生の総決算とも言われる今回の学習指導要領の改訂。その内容のひどさは、ここではあえてふれないが、どこをどうみても、学校現場には混乱しかもち込まず、子ども・教師が感じる多忙感、息苦しさがますます強まることが容易に予想される。
道教組は、このことへの危機感を全道の組合員と共有し、三月の定期大会で「全道連鎖学習会」を提起した。子どもセンターや大学関係者とも連携した講師派遣の準備や、特別に予算措置をしての財政援助など、道教組は、学習会開催への条件整備を進め、各単組では、かつてないテンポで、学習会が開催された。
この運動の特徴は、道教組の提起に呼応して、各単組がそれぞれに切り口や形態などを工夫しながら取組を進めていったこと。そして、それぞれに触発されながら、文字どおり連鎖的に広がり、深まっていったことである。道教組の運動スタイルの典型が示されたものとなった。
また、内容的にも深い学びが展開されてきた。「これは、由々しき事態」という組合員の危機感は「そもそも教育課程をつくるということはどういうことか」を問い直し、そこから「学習指導要領のもつ根本的、構造的な問題を明らかにしていく」という本質的な学びへとつながった。そこがベースとなり、「道徳の教科化」「小学校英語の教科化」など、改訂学習指導要領に示されている問題点が一層明確に浮かび上がってきている。
学習指導要領学習会が、横の連鎖のみならず、二度、三度と回数を重ねて取り組まれるという縦の連鎖も生み出しているというのも、この運動の特徴になっている。縦横に網羅的に展開されている連鎖学習会は、私たちに大きな確信と展望を与えてくれている。
しかし、残念ながら、改訂された学習指導要領による教育活動は始まってしまう。そこには、子どもたちの豊かな学びにつながる要素はみいだせない。「すべての子どもたちに豊かな学びの保障を」という私たちの願いの実現は厳しいものとなるであろう。
来年度から先行実施が始まる。これから年度末に向けて、各学校では「改訂学習指導要領体制のもとでの教育課程づくり」の論議が具体的に進められることになる。その中で私たちは、それぞれの学校で、子どもと学校を守るとりでとして全力を挙げることを確かめ合おう。
▼今こそ平和を守る道筋を確かめ合う
三つ目は、平和をめぐる情勢について。
この間の特徴は「北朝鮮の脅威」がことさら強調されていること。北朝鮮をめぐる情勢をみてつくづく思うのは「武力では解決しない」ということ。武力を誇示することで発言力を増そうとする北朝鮮の浅はかさは避難されてしかるべきだが、その対抗手段も武力でというのは、不毛としか言いようがない。また、北朝鮮が脅威であるのは「日米の同盟関係の変質強化」があってこそ。日米の同盟関係が戦争に巻き込まれる危険性を増やしているのは明らかではないか。
この状況の中で、日本が取るべき道は日本国憲法前文にしっかりと明記されている。
▼まとめ
この半年間の道教組運動には、成果もあり、困難もあった。しっかり振り返りながら、後半の運動に意気高く踏み出せるよう、活発な討論がなされることを期待する。
(関係団体 2017-09-13付)
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