道小第3回理事研 角野会長あいさつ
(関係団体 2017-09-14付)

 【稚内発】七日に稚内総合文化センターで開かれた道小学校長会の第三回理事研修会における角野誠会長のあいさつの内容はつぎのとおり。

◆学力調査の結果など説明

 私の方から教育情勢について、大きく四点話す。

 一点目は、二十九年度の全国学力・学習状況調査の結果についてである。

 この「調査結果のポイント」については、皆さんも承知のとおり、すでに道教委のホームページに掲載されている。

 道教委の担当者からは、報道発表前に道小事務所において、説明を受けている。この中で、担当者からは「道小学校長会の学力向上の取組に本当に感謝している。校長会の努力なしには、このような改善傾向はみられなかったはずである」との言葉をいただいた。

 本日は、担当者から特にコメントのあった部分を説明させていただく。

 教育長のコメントでは「すべての教科で全国平均以上に達していないものの、全国平均正答率との差が小学校国語A・B、算数A・B、中学校国語Bの五教科で縮まるとともに、正答数の少ない児童の割合が減少するなど、改善の傾向がみられる」と記載されている。また「とりわけ、各教育委員会や学校において、継続的な検証改善サイクルの確立に向けた取組を着実に進めてきた結果、一定の成果が現れてきたものと受け止めている」としている。教育長のコメントとほぼ同様の内容ではあるが、道小学校長会あてにも文書をいただいている。調査を実施した学校・児童数については、調査当日の悪天候のため実施できなかった地域があったことを示している。

 先ほどの教育長コメントにもあったとおり、小学校においては、小学校国語A・B、算数A・Bすべてで右肩上がりとなっており、改善傾向の状況が分かる。この経年変化のグラフについては、二つほど留意点がある。

 一点目は、数値が小数第一位まで示されていることである。本年度から文部科学省の方針では、過度の序列化を防ぐために、数値の公表に当たっては整数で示すということになっていたが、道教委においては、従来どおりの数値で示さなければ、経年の変化を表現できなくなるための措置としている。

 二点目は、折れ線グラフや棒グラフ等の数値は、札幌市の結果も含めたものであるということである。これも同様に、札幌市を含めなければ、経年の変化も比べることができないからとしている。ちなみに、札幌市においても、小数第一位までを公表するとの新聞報道があった。

 一方、全国の下位二五%と同じ正答数の範囲に含まれる児童の割合についてであるが、小学校国語Aにおいては、二十七年度から二十八年度にかけて一・一ポイント減少し、二十八年度から二十九年度にかけても〇・八ポイント減少している。同じように、国語Bにおいても減少している。同じく、算数A・Bにおいても同様に減少している。

 児童生徒質問紙調査については、一日当たり三時間以上、テレビやビデオ、DVDを見たり聴いたり、テレビゲームをしたり、携帯電話等で通話やメールをしたりしている児童生徒の割合が、依然として全国平均より高いという課題を挙げていた。

 大きな二点目は「三十年以降の全国学力・学習状況調査について」である。

 この二十九年八月二十二日付事務連絡文書の内容については、各地区校長会の皆さんは承知のことと思う。このことについても、学力検査の結果と併せて、道教委の担当者から説明を受けている。端的に言うと、学力検査の結果活用にかかわる小・中学校の連携の取組を一時保留にするというものである。

 発端となったのは、二十八年十二月十九日付事務連絡文書である。この文書に記載されている個人表コードの中学校への送付や個人票送付に伴う保護者からの同意など、個人情報にかかわる難しい問題が、当初から指摘されていたところである。今後の動向を注視していかなければならない。

 三点目は、札幌市の「夏季休校日試行実施」の取組についてである。

 札幌市教委では、本年度、八月十一日から十三日までの三連休に加え、十日・十四日・十五日を学校裁量によって休校日にできるようにして、教職員の負担軽減を図ったというものである。実施した日数については、二百三校中、三日間とも休校とした学校は百六十八校、二日間が二十二校、一日のみが十一校、実施しない学校は二校となっている。

 また、通知の中に保護者向け周知文の文例が記載されている。市教委教職員課・労務担当課の電話番号も掲載していたので、学校としては助かった。参考までに市教委の文例を引用した本校の学校だよりを掲載している。なお、この取組には、全員横並びでの休暇の取得など、今後の課題も残っている。

 四点目は、文部科学省から出された資料についてである。

 この資料は、少し時間がたってしまったが、七月十一日に行われた全国の小学校長・会長連絡協議会において、文科省初等中等教育局教育課程課・白井教育課程企画室長の行政説明で使われたものである。

 タイトルは「中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ」となっている。説明のあった部分を何点か簡単にお話しする。

 まず「社会に開かれた教育課程」についてである。ここでは、職業体験学習の例を挙げて、地域の方々が学校に協力するのに当たって、学校が目指しているものを明確に示すことが大切だと述べるとともに、教育課程における職業体験学習の意味を、学校と地域が共有することの重要性を強調していた。

 続いて、観点別学習状況の評価についてである。評価の観点が三観点に整理されたことは、すでに十分周知されてきたところであるが、ここでは評価の在り方として、単元やまとまりごとの中で行うことを確認していた。主体的・対話的で深い学びの目指すところについては、具体的な事例を説明していた。

 加えて、すでに身に付けた資質・能力の三つの柱によって支えられた「見方・考え方」が、習得・活用・探究という学びの過程の中で働くことを通じて、資質・能力がさらに伸ばされたり、新たな資質・能力が育まれたりし、それによって「見方・考え方」が豊かなものになるという相互関係にあるという説明がなされていた。

 その一方で「次期学習指導要領においては、長年〝見方や考え方〟といった用語が用いられてきているが、その内容については必ずしも具体的に説明されてこなかった。今回の改訂においては、これまで述べたような観点から、各観点における〝見方・考え方〟とはどういったものかをあらためて明らかにし、それを軸とした授業改善の取組を活性化しようとするものである」との説明もあった。

 私たちは、実践を通して「見方・考え方」について、研究を深めていかなければならない。

(関係団体 2017-09-14付)

その他の記事( 関係団体)

道公立小中学校事務研究大会 課題解決へ日々の実践検証 5分科会でグループ討議など

道公立小中事務研究大会  【室蘭発】道公立小中学校事務職員協議会(端徹会長)は十四日から二日間、洞爺湖文化センターなどで第六十七回道公立小中学校事務研究大会(北海道・東北合同)を開いた。洞爺湖町での開催は二十年ぶり...

(2017-09-19)  全て読む

石教研が課題部会研究協議会開く 13部会で実践や指導法交流 管内教育向上へ研鑚積む

石教研課題部会研究協議会  石狩管内教育研究会(甲斐丈治会長)は五日、課題部会研究協議会を開いた。管内小・中学校などを会場に、全十三部会を実施。講演や分科会などを通して、管内教育の向上に向け研鑚を積んだ。  今日的...

(2017-09-15)  全て読む

高校教育の課題共有 道教委と道高P連が懇談会を初開催

道教委・高PTA連合会教育懇談会  道教委と道高校PTA連合会(新井田寛会長)との教育懇談会が十三日、ホテルポールスター札幌で開かれた。今回初めて開くもので、道教委各課の担当者が、高校教育に関する所管事項を説明。望ましい部活...

(2017-09-15)  全て読む

道央ブロック社教研究協議会空知大会 推進上の課題など交流・協議 学びと活動の循環目指す

道央ブロック社教研究協議会空知  【岩見沢発】道央ブロック社会教育研究協議会空知大会が七日から二日間、岩見沢市生涯学習センターで開かれた。空知・石狩・後志管内の社会教育関係者四十人が参加。研究テーマ「地方創生の時代における...

(2017-09-15)  全て読む

道高教組 時間外勤務実態調査に談話 〝負担軽減〟待ったなし

 道高教組(國田昌男中央執行委員長)は十一日、道教委の「教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査」結果に対して「学校現場の勤務実態は限界、〝負担軽減〟は待ったなし。教職員の命と健康を守り、子ど...

(2017-09-14)  全て読む

第59回全国社会教育研究大会道大会 地域を拓く教育進める 全国から約1000人が参加

全国社会教育研究大会道大会  第五十九回全国社会教育研究大会北海道大会・第五十七回道社会教育研究大会・第三十七回道市町村社会教育委員長等研修会が十二日から二日間、札幌コンベンションセンターで開かれた。大会スローガン「北...

(2017-09-14)  全て読む

子どもに豊かな学びを 道教組本年度後半期の運動方針

 道教組(川村安浩執行委員長)の第三十回中央委員会(九日、札幌市内道労働センター)では、本年度後半期の運動の重点課題、具体的進め方を決めた。重点課題には「改訂学習指導要領の学習を重ね、子ども...

(2017-09-13)  全て読む

長時間過密労働解消を 道教組中央委で川村執行委員長あいさつ

道教組中央委川村安浩  道教組第三十回中央委員会(九日、札幌市内道労働センター)における川村安浩執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。 ▼はじめに  この中央委員会は、道教組第三十回定期大会以降の半年の運動...

(2017-09-13)  全て読む

道教組が第30回中央委員会 組織拡大・強化呼びかけ 当面の重点課題など決定

道教組中央委  道教組(川村安浩執行委員長)は九日、札幌市内の道労働センターで第三十回中央委員会を開いた。「当面闘争の推進」について協議し、ゆきとどいた教育を求める教育全国署名をはじめとする各種署名の推進...

(2017-09-13)  全て読む

最新の教育情勢を共有 道小が第3回理事研開く

道小理事研  【稚内発】道小学校長会(角野誠会長)は七日、稚内総合文化センターで第三回理事研修会を開いた。翌日から二日間の日程で開催される第六十回教育研究宗谷・稚内大会を前に、六十周年記念事業、各教育局...

(2017-09-13)  全て読む