道中理事研・古谷会長あいさつ 生活習慣改善の取組を 学習状況調査結果に言及
(関係団体 2017-09-25付)

 二十一日に千歳市で開かれた道中学校長会の二十九年度第四回理事研修会における古谷雅幸会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

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 先週末の北朝鮮によるミサイル実験によって少なからず影響を受けた学校もあったのではないかと思う。私の学校では、Jアラートに対応した避難訓練を急きょ実施し、生徒たちに万が一のときの心構えを伝えた。

 また、今週はじめの台風18号の被害を受けた地区の皆さんには、心よりお見舞い申し上げる。昨年の上川・十勝の被害ほどではなかったにせよ、その不安はいかばかりであったかと思っている。

 さて、二十九年度も折り返し地点を迎えた。この間、地区別教育経営研究会の開催や、八月四日に行われた道教委との文教施策懇談会・各課懇談会など、副会長および地区理事の皆さんの熱心な協力をいただきながら、進めてくることができた。あらためて厚く感謝申し上げる。今後はこれまでの取組を中間総括し、課題を整理することになる。引き続き、理解と協力をお願いする。

 本日は、教育情勢にかかわる情報提供と併せて、あすからの石狩・千歳大会にかかるお礼と、理解と協力をいただきたい点、および来年度の十勝・帯広大会に関することなどを話す。

 まず、教育情勢について。

 はじめに、本年度の全国学力・学習状況調査の結果について。報道発表前に、道教委義務教育課から、ことしも道中事務所で、私と高橋事務局長が説明を受けた。本年度から、国は平均正答率を整数値で発表することにしたが、道はこれまでと同様に小数点第一位まで発表という形をとった。

 これは、柴田教育長のコメントにもあるように「すべての教科で全国平均以上に達していないものの、全国の平均正答率との差が小学校国語A・B、算数A・B、中学校国語Bの五教科で縮まるとともに、正答数の少ない児童生徒数が減少するなど改善の傾向がみられる」ことを、より鮮明にするために実施したということである。

 また「教育委員会や学校、家庭、地域が連携し授業改善と生活習慣の確立に向けた取組を進め、継続的な検証改善サイクルを着実に進めてきた結果の一定の成果である」として、義務教育課からは各地区中学校の校長先生方の取組に感謝し、今後も継続してほしいとの話があった。

 一方、学習状況調査では、道内の子どもたちが、テレビを見たり、ゲームをする時間が長く、スマホや携帯を通話やメールで平日三時間以上使う子どもも、中三では二二・四%であり、平日一時間以上勉強する子どもも、全国平均と比較すると大変低いことが分かった。

 道小の稚内大会で記念講演を行った、脳トレで有名な川島隆太氏が監修している本の中には「毎日二時間以上算数・数学を勉強する子」で「毎日四時間以上スマホでSNSをしている子」の学力は、「毎日家ではほとんど勉強しない」けれど「スマホも全くしない」子よりも劣っているという驚くべき調査結果が掲載されていた。

 各学校の取組で、中学校の学力水準は全国とほぼ同じになってきた今、家庭での生活習慣の確立のための取組をより進めていく必要があると思う。

◆時間外勤務縮減は追い風吹く状況に

 つぎに、学校における働き方改革について。

 前回の理事研修会で、ことし四月に公表された文部科学省の「教員勤務実態調査」についてふれたが、道教委は「教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査」の結果を九月十一日の道議会文教委員会で報告した。調査対象については、それほど多くはなかったものの、全国調査とさほど変わらない結果が表れていた。

 この道教委からの報告を前にした八月二十九日、中教審の学校における働き方改革特別部会から「学校における働き方改革にかかる緊急提言」が公表された。その中では、①校長および教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること②すべての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと③国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること―の三つの提言をもとに、タイムカードや留守番電話の導入、部活動の休養日の設定、長期休暇期間の「学校閉庁日」の設定、そして、新学習指導要領と「チームとしての学校」に絡めた人的配置などについてふれられている。

 それとときを合わせる形で、翌三十日、文科省は「三十年度文部科学関係予算の概算要求」を公表した。教員の時間外勤務へ社会の目が向いているこのとき、私たち学校へ強い追い風が吹いてくれることを心から願っている。

 併せて、本年度札幌市で施行された「学校閉庁日」である「夏季休校日」について少しだけふれておく。八月十一~十三日の三連休に合わせ、十日、十四日、十五日の三日間を学校裁量によって休校日にできるようにして、教職員の負担軽減を図るという取組だったが、三日間のうち、札幌市内中学校では三日が六十五校、二日が二十五校、一日が五校、未実施が二校という結果だった。校舎改修工事や部活動の大会などで設定が難しかったり、教職員全員が同じ日に休暇を取得しなければならないなど、今後改善すべき課題も残っていると思う。

 つぎに、いよいよあすから開催される「道中学校長会創立七十周年記念第五十九回道中学校長会研究大会石狩・千歳大会」について。実行委員長である 菅原裕行校長を中心にして、石狩管内小中学校長会の西木祭会長にも尽力いただきながら、管内校長会の総力を挙げて取り組んでいただいたことに、心より感謝申し上げる。

 道中研は、日ごろの各地区各学校の実践の成果を交流し、課題を明確にして、信頼される中学校教育の確立を目指すことを基本姿勢とする本会にとって、言うまでもなく最も重要な研究大会である。今回は、七十周年という記念行事が入った関係でいつもの年とは若干は違ってはいるが、「道中研の成功の可否は分科会の内容と参加態度が左右する」と言わる分科会は、例年どおり設定することができた。参加する校長全員の力で研究大会をつくりあげる、そんな意気込みで意義ある研究大会にしていきたいと思っている。

 それぞれの分科会で設定された今日的な課題のもと、真摯で活発な話し合いがなされ、課題解決の多くのヒントを与えてくれる分科会となるよう、そして、各学校の経営を支えるものとなるよう期待している。主管校長会のみならず道中の総力を挙げて成功を期したいと思う。皆さんの力強い協力をお願いする。

 最後に、来年度の研究大会について。三十年度の研究大会は、帯広市で開催される。主管は、帯広市中学校長会であり、帯広市の校長先生方が本日から視察に訪れている。しかし、帯広市中学校長会は会員数十四人ということで、道中研の運営を一つの校長会で担っていくには厳しいものがあり、十勝小・中校長会の中学校の校長先生たちが、協力の手を差しのべてくださった。

 地区校長会としてはそれぞれ独立しているので、共催という形にはできないが、帯広市中学校長会を主管、十勝小・中校長会を副主管という形で開催させていただき、その名称も「第六十回道中学校長会研究大会 十勝・帯広大会」とさせていただきたいと思う。

 これから先のブロック再編など、道中組織の在り方ともかかわってくるが、理事の皆さんに理解いただき、認めていただければと思う。

(関係団体 2017-09-25付)

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