広尾高「学生会館とかち」完成 高校存続へ決意新たに 入居生徒ら出席し開所式挙行(学校 2017-10-05付)
完成した「学生会館とかち」。今後、遠距離通学する1年生5人が入居する
【帯広発】広尾高校(皆添英二校長)の生徒を受け入れる下宿「学生会館とかち」が完成し、九月三十日に同館で開所式が行われた。地元建設企業・㈱畑下組の畑下茂社長が「町外からの入学者を支援することで高校存続につなげたい」と考え、同社が無償で工事を進めたもの。皆添校長は畑下社長に対して感謝の意を示すとともに「全道、全国から生徒を呼び込むため、魅力ある学校づくりを進めていく」と決意を新たにしている。
広尾町では、毎年、人口減少が続き、ここ数年で町内の高校進学者数が四十人を切ることが予想されている。このため、まちの将来を担う子どもたちの確保に向け、まちでも様々な対策を検討している。
◆地元建設業経営者・畑下氏が私財で建設
地元に拠点を置く畑下組では、創業から五十八年間、建設業を通じ町内のまちづくりに尽力。今では町内屈指の企業グループとして存立している。同社の畑下社長は、人口減から来る広尾町の将来に大きな危機感をもつ一人。「将来のまちの活性化には町内の高校が必要不可欠」「多くの子どもたちがまちの魅力にふれて将来活躍してもらえれば」との強い思いから、自ら宿舎の建設を決断した。
完成した宿舎は、木造二階建て、延床面積四百六十九・四平方㍍で、建設地は同校から三百㍍ほど離れたところ。十室を用意し、各室にはベッド、机、ストーブのほか、クッキングヒーターを備えたキッチン、バス、トイレを完備。一方、広い食堂をはじめ、洗濯機三台、乾燥機二台を導入するなど共用部分も充実させた。
管理・運営は、畑下組と㈱畑下興業が出資した新会社㈱戸賀知が担当。入居生徒の平日の朝・夕の食事、洗濯機や乾燥機、各部屋に備え付けた備品などの管理に当たる。
開所式には皆添校長や入居する生徒、同社関係者ら二十人余りが出席。神事が執り行われ、畑下社長、村瀬優町長らが玉串を奉典した。
続いて、畑下社長があいさつに立ち「子どもたちに託す大きな夢が消えてしまうのではないかということで、会館を建設することを村瀬町長に約束した」と建設に至る経緯を説明。「リーダーとなるような社会人を目指し、少しでも広尾のまちに愛着をもってもらえれば」と呼びかけた。
続いて、村瀬町長が「まちを思う気持ちが形に現われ、とても心強い。会社を挙げて工事を進めていたただいた」と感謝の意を示すとともに「施設を大切に使ってもらい、未来の後輩にもつなげてほしい」と述べ、参加者全員が牛乳で乾杯した。
宿舎に入居するのは、えりも町出身者を中心に一年生五人。うち、バスケットボール部に所属する大西拓人君は「第一印象は部屋が広いし、使いやすそう。洗濯機や乾燥機もあるのでとても助かる」と感謝していた。
皆添校長は「生徒たちのために私財を投げうって建設してくれて大変感謝している。いずれは地元の生徒が四十人を切る時代が来ることが予想されるので、全道、全国から生徒を呼び込むため、魅力ある学校づくりを進めていく」と決意を新たにしている。
(学校 2017-10-05付)
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