札教研事業の秋の研究集会―札幌市教委③課題共有し学び合う

（学校 2017-10-20付）

賛成派と反対派の２つに分かれて、ディベート方式で討論させる大橋教諭

　札幌市教委は十七日、市内の各学校などで二十九年度札幌市教育研究推進事業（＝札教研事業）の秋の研究集会を開いた。国語や算数・数学、社会のほか、外国語、道徳などの研究部において、会場ごとに授業公開や講演などを実施。教職員の資質向上や教育の充実を図った。

◆中学校技術・家庭研究部（技術分野）　月寒中

　中学校技術・家庭研究部の会場となった月寒中学校（藤井勲一校長）では一年二組の技術分野「生物育成における農薬の評価・活用」（大橋翔太教諭）の授業を公開。大橋教諭は、農薬を使用した野菜と、使用していない野菜のメリットなどについて討論させる授業を展開した。

　同部では研究主題を「学ぶ力を育成する“分かる・できる・楽しい”技術・家庭科教育」と設定。「“課題探究的な学習”を取り入れた授業の充実」という視点のもと、①学習課題共有化の工夫②協働的に学び合う「課題追究の場面」の工夫―の二点を重点に取り組んでいる。

　本時は三時間構成の三時間目。本時の目標を「生物育成における農薬のプラス面とマイナス面を社会的側面、環境的側面、経済的側面から評価し、農薬を使用した野菜と無農薬の野菜を目的に応じて、適切に選択することができる」と設定した。

　本時までに、農薬を使用する場合と、使用しない場合のメリット・デメリットをインターネットで調べさせ、ワークシートに記入している。

　この日は、はじめに前時までに調べたメリット・デメリットを発表させ、全体で知識の共有化を図った。その上で、重点取組①の観点から、クラスを農薬賛成派と農薬反対派に分けて、農薬を「使用する、使用しない」のメリット・デメリット、それぞれに対する反論を個人で考えさせた。

　さらに、重点取組②の観点から、四人のグループで話し合う場面を設定。どのメリット・デメリットに反論するのかを検討させ、意見を全体に発表させた。協働的に課題を追究できるように工夫した。

　発表によって、農薬を使用した野菜と無農薬野菜のメリット・デメリットについて理解を深めさせた上で、健康状態や家計などの状況が異なる家庭において、どちらの野菜を選択すべきかを問いかけ、偏った見方ではなく、多角的な視点で、目的に応じて選択する大切さを理解させた。

(学校 2017-10-20付)