道町村教委連文教施策要望に対する道教委回答〈下〉
(道・道教委 2017-10-24付)

▼公立文教施設の整備促進

▽新増改築など、文教施設整備に対する必要事業量の確保と事業の早期採択について、国に要望していただきたい。

〈回答〉

 道教委では、国に対し三十年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、必要な財源・事業量の当初予算での確保や施策の充実を要望しており、引き続き、その実現に向け要望していきたい。

▽屋外教育環境整備事業について、補助制度の拡充や必要事業量の確保を引き続き国に要望していただきたい。学校施設環境改善交付金事業の大規模改修事業にかかる財政支援の充実と交付金の引き上げについて、国に要望していただきたい。

〈回答〉

 道教委では、国に対し三十年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望しており、引き続き、その実現に向け要望していきたい。

▽学校施設は児童生徒が、一日の大半を過ごす場所であるほか、災害時の地域住民などの避難場所とされているため、早期に耐震化が推進できるよう施策の充実と必要な財源措置を国に要望していただきたい。耐震化が必要なIs値〇・三以上〇・七未満の公立学校施設についても、補助率の引き上げや地方交付税による財政支援の充実を図るとともに、耐震診断のみについても交付対象とされるよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

 公立学校施設は、児童生徒などが一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことから、その安全性の確保は極めて重要な課題となっており、道教委では、国に対し三十年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、学校施設の耐震化にかかる必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望しており、引き続き、その実現に向け要望していきたい。

▽学校施設の非構造部材の耐震対策にかかる財政支援は算定割合三分の一、下限額四百万円であるが、一校当たりの事務費は下限額を下回ることで市町村の全額負担となるため、財政支援制度の改善を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 公立学校施設は、児童生徒などが一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たし、建物の耐震化と同様に非構造部材の耐震対策も極めて重要な課題であることから、道教委では、国に対し三十年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、非構造部材の耐震を進めるための補助要件の緩和や地方財政措置などの支援の充実を要望しており、引き続き、その実現に向け要望していきたい。

▽実際の工事に要する経費と国の建築単価の乖離が生じており、市町村の負担が増加しているため、実情にあった建築単価の引き上げを国に要望していただきたい。

〈回答〉

 公立学校施設整備にかかる建築単価については、二十九年度に三・一%増額されたが、依然として実施単価とかい離がある。

 道教委では、国に対し三十年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、補助単価の引き上げなど施策の充実を要望しており、引き続き、その実現に向け要望していきたい。

▽学校給食施設整備にかかる施策(ドライ化など)の一層の充実が図られるよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

 学校給食施設・設備については、ドライシステム化の整備などにかかる施策の充実について、引き続き、国に要望していきたい。

▽学校給食設備の更新には多額の費用を要することから、更新にかかる補助制度の創設を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 学校給食施設・設備については、学校施設環境改善交付金によって計画的に整備を行っている。道教委としては、給食設備の更新にかかる補助制度を創設するよう、引き続き、国に要望していきたい。

▽理科教育等設備整備費について、全額国費負担にすることを含め、補助率の引き上げを国に要望していただきたい。

〈回答〉

 理科教育等設備整備費については、二十一年度に経済危機対策として、また、二十四年度には緊急経済対策として大規模な予算が確保された。道教委では、学校教育設備の整備・充実を図るため、理科教育等設備整備費等補助金にかかる財源措置の拡充について、引き続き、国に要望していきたい。

▽小中一貫校の施設整備等にかかる国庫補助率の上乗せや起債などの制度の創設について、国に要望していただきたい。

〈回答〉

二十七年度、国では小中一貫教育に適した学校施設の在り方に関する報告書を策定した。さらに、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」を新たな学校の種類として規定する学校教育法等の一部を改正する法律が成立し、二十八年四月一日から施行されることとなり、小中一貫校が制度化された。

 このことから、学校施設環境改善交付金および公立施設費国庫負担金等に関する関係法令等の運用細目においても、小学校・中学校と同等の内容で義務教育学校を位置付け、現行の新増改築事業の補助制度を活用することによって整備することができるようになった。

 また、道教委では、今後、地域の実情に応じた小中一貫教育を可能とする施設環境の整備を推進するため、国の動向にも注視しながら、関係団体とも連携して、補助要件の緩和など施策の充実について、国に要望していきたい。

▼就学援助費補助金の拡充

▽要保護児童生徒に対する就学援助費の補助率の引き上げなどを図るよう国に強く要望していただきたい。

〈回答〉

 道教委では、市町村が必要な就学援助を行えるよう、補助金や交付税の財源措置の拡充について、これまでも国に要望しているが、市町村の認定要件や援助項目に違いがあることから、国においてガイドラインを策定することを含めて、引き続き要望していきたい。

▼教員養成および研修体制の充実

▽道立教育研究所の研修事業は長期休業中の講習を増やし、受講機会の拡充を図っていただきたい。

〈回答〉

 道立教育研究所における長期休業中の研修については、理科などの教科指導などに関する研修講座のほか、副校長・教頭を対象とした学校運営に関する研修講座、ICT活用に関する研修講座などを実施している。

 また、夏季休業中には、管内の実情やニーズなどに応じて実施する「ミニ道研」をすべての管内で実施するほか、長期休業中に研修に参加することができるよう、教員が研修テーマを設定して行う「道研フリープラン研修」や市町村教育委員会と連携して研修講座を設定する「〝市町村教委連携〟研修講座」を実施している。

 今後も、研修の実施方法の工夫改善に取り組み、長期休業中における研修機会の拡充に努めていく。

▽道立教育研究所の研修事業に小中一貫教育に関する内容を追加し、小中一貫教育を推進している自治体の教員や積極的に研修を受講したい教員の受講が可能となるようにしていただきたい。

〈回答〉

 道立教育研究所では、本年度から学校運営「ミドルリーダー養成」研修講座を実施するとともに、昨年度から引き続き「〝市町村教委連携〟研修講座」を実施し、小中一貫教育の推進にかかわる内容も含めて研修できるよう工夫改善に努めている。

 また、小中一貫教育に関する研修を希望する教員については、二十七年度から実施している「小中一貫教育推進事業」や本年度から実施している「小中一貫教育支援事業」の指定地域や指定校が実施する公開授業や成果発表会、または道教委が開催する全道フォーラムへの参加が可能である。

 今後も、地域の実情に応じた小中一貫教育の導入が図られるよう、具体的な学校間の連携の事例などを示した資料などを活用し、教員研修の充実に努めていく。

▽小中一貫教育にかかる九年間の教育課程について、道教委において、例えば、全道もしくはブロックごとにカリキュラムの共同開発などを行える体制を構築するなど、カリキュラム開発・研究の支援体制を充実していただきたい。

〈回答〉

 道教委では、二十七年度から国の委託を受け、小中一貫教育の効果的な導入に向けた先導的な取組を行う「小中一貫教育推進事業」を実施するとともに、本年度から道事業として、義務教育学校や小中一貫型小学校・中学校を設置予定または設置している市町村教育委員会およびその学校を対象に、小・中学校九年間を通じた教育課程の編成実施など、地域の実情に応じた小中一貫教育の導入および円滑な実施への取組を支援する「小中一貫教育支援事業」を実施している。

 また、五月には「小中一貫教育支援事業」の指定地域の教育委員会担当者や指定校の教員を対象に、カリキュラム作成にかかる全道研修会を実施した。

 今後は、これらの事業における先行事例などを道内の市町村教育委員会に情報提供するとともに、各学校のカリキュラム作成に当たっては、指導主事などによる学校訪問などにおいて支援していく。

▼特別支援教育の充実

▽特別支援学級および通級による指導を担当する教員の研修機会の一層の拡充や教職員定数の改善を図っていただきたい。

〈回答〉

 道教委では、特別支援学級および通級指導教室を担当する教員の専門性向上を図るため、毎年度、全十四管内において、「特別支援教育基本セミナー」「特別支援教育充実セミナー」を開催しているほか、道立特別支援教育センターにおいて、「特別支援学級・通級指導教室担当教員専門性向上研修講座」を実施している。

 また、教員向けの指導資料として『〝特別支援学級を支えるために〟特別支援学級に関するQ&A』を作成し、すべての小・中学校に配布することによって、特別支援学級を担当する教員の指導力向上に努めていきたい。

▽特別支援学級の教員配置については、標準法に準拠し、学級数に応じた配置となっているが、肢体不自由、自閉症・情緒障がい、知的障がい学級で児童生徒数が七人以上の場合に道独自の措置として一人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。

 今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き、国に要望していきたい。

▽公立小・中学校に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒への支援の充実に向け、特別支援教育支援員の配置に当たり、特別支援学校教諭免許状の所有者も確保できるよう交付税措置の増額について、国に要望していただきたい。

〈回答〉

道教委では、特別支援教育支援員の配置の充実が図られるよう、全国都道府県教育委員会連合会と連携し、毎年度、国に対して地方財政措置の拡充を要望しており、支援員配置に関する措置額は、都道府県全体で、二十八年度約六百十六億円となるなど、十九年度の約二百五十億円から、約三百六十六億円の増額が図られている。

 道教委が実施している「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」においては、支援を必要とする児童生徒などの割合は増加傾向にあり、各市町村では、財政事情や人材確保が困難な状況にある中、特別支援教育支援員を独自に配置するなど、支援を必要とする児童生徒などの教育的ニーズに応えるため、様々な取組を行っているものと承知している。

 道教委としては、今後とも、財政措置のさらなる拡充に向けて、国に強く求めるなど、市町村における特別支援教育の一層の充実に向けて、取り組んでいきたい。

▽現行の特別支援教育就学奨励費においては、重度重複障がいのある児童生徒にかかる修学旅行の付添経費などは、特別支援学校の在籍生徒は補助対象であるが、市町村立小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒は補助対象となっていない。

 今後、市町村立小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒についても補助対象となるよう特段の配慮を願いたい。

〈回答〉

 道教委では、障がいのある児童生徒などの就学に当たり、保護者の経済的負担の軽減を図る観点から、これまでも、特別支援教育就学奨励費負担金などにおける修学旅行の付添人経費の支給対象範囲拡大など、就学奨励にかかる施策の充実を国に要望してきており、引き続き、要望していきたい。

▽障がい種別(特に病弱、肢体不自由児)で学級に複数の子どもたちが在籍の場合は教員の複数配置となるよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

 特別支援学級の教員配置については、標準法に準拠し、学級数に応じた配置となっているが、肢体不自由、自閉症・情緒障害、知的障害学級で児童生徒数が七人以上の場合に道独自の措置として一人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。

 今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き、国に要望していきたい。

▽特別支援学級在籍の児童生徒が医療機関に入院(短期)し、併設する特別支援学校やいわゆる院内学級で教育を受ける場合の転校手続きの特例・簡素化を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 道教委では、これまでも、全国都道府県教育委員会連合会と連携し、国に対して、病気のため入院療養中の児童生徒に対しては、いわゆる院内学級などへの学籍異動事務を省略し、事務軽減および円滑な児童生徒の異動を行うことができるようにすること、いわゆる院内学級などで実施した教育指導を、学籍校の教育課程の一部とみなす制度に改正することを要望してきており、引き続き、要望していきたい。

▽各小・中学校に配置する特別支援教育支援員にかかる地方交付税の算定基準を引き上げ、特別支援教育支援員の人数に応じる算定基準に改正するよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

 特別支援教育支援員の配置にかかる地方交付税交付金は、それぞれの地方公共団体の財政力の違いを踏まえ、公的サービスに格差が生じないよう、国が地方公共団体の財政力を調整するため、標準となる学校数を測定単位として積算の上、措置されていると理解している。

 道教委が実施している「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」においては、支援を必要とする児童生徒などの割合は増加傾向にあり、各市町村では、財政事情や人材確保が困難な状況にある中、特別支援教育支援員を独自に配置するなど、支援を必要とする児童生徒などの教育的ニーズに応えるため、様々な取組を行っているものと承知している。

 このため、道教委では、特別支援教育支援員の配置にかかる地方交付税交付金の測定単位に関し、地域の実情を考慮した算定基準とするよう国に要望することについて、検討していきたい。

▼高校の配置

▽全日制小規模高校および定時制高校の配置については「新たな高校教育に関する指針」によって、基本的な考えが示されているが、地方(郡部)においては、高校の地域振興に果たす役割が大きいので、都市部と郡部の違いを考慮し、小規模校を抱える地域の意見を聞いて、配置の見直しは、慎重に検討いただきたい。

〈回答〉

 本道の中学校卒業者数は、ピーク時の半分を下回る状況となっており、そうした中、一定規模の生徒や教職員による、活力ある教育活動を展開する観点から、高校の再編整備を進めているが、配置計画の策定に当たっては、学区ごとに開催している地域別検討協議会に加えて、個別に市町村を訪問する機会や地元の検討の場などを通じて地域の方々の意見を伺うとともに、学校や地域の実情を十分に考慮しながら進めている。

 今後とも、高校における教育水準の維持向上や教育環境の充実を図ることを基本とし、広域な本道における都市部と郡部の違い、今後の中卒者数、生徒の進路動向などを考慮し、地域別検討協議会などにおける地元市町村の意見なども参考としながら、検討していきたい。

 また、本年度作成予定の新しい指針については、地域の要望なども踏まえながら、地域キャンパス校の再編基準の緩和に向けた人数要件や総合学科などにおける教育環境の充実策などを盛り込んだものとすることとしている。

▽高校の総合学科を設置するに当たっては、地方における中等教育の振興、高校の活性化を果たす役割が大きいので、地域の実情を考慮され設置していただきたい。

〈回答〉

 道教委としては、総合学科については「新たな高校教育に関する指針」に基づき、できるだけ多くの通学区域に設置してきたが、現在、町立を含め十六校設置している。

 総合学科の設置に当たっては、地域の特性に応じた教育内容の設定や教育活動における地域との連携が重要であることから、これまでも、地域の方々や学校関係者の理解を得ながら進めてきており、今後とも、地域の方々の要望などを踏まえ、中学校卒業者数の状況や進路動向、都市部と郡部との違いなどを総合的に勘案しながら取り組んでいきたい。

▽新しい「高校教育に関する指針」の作成に向けて、つぎの事項に特段の配慮を願いたい。

①「公立高校配置計画地域別検討協議会」における意見や、地元市町村の理解や要望を、高校の配置計画に対して大きく斟酌する材料とするよう願いたい。

②都市部と郡部の教育的環境に格差を生じることのないよう配慮願いたい

③市町村立高校設置者を含め、圏域ごとに特色ある教育環境を道と市町村がともに保障していくような協議の場を設定するよう願いたい。

〈回答〉

 新しい指針については、現在、外部有識者からなる検討会議において議論いただいており、今後さらに、関係団体などからの意見や要望も踏まえながら検討を加え、本年九月ころには素案を示し、広く道民から意見を伺うなどして、来年三月を目途に策定していきたい。

 今後とも、高校が地域で果たしている役割や、高校教育を取り巻く環境の変化を見極め、地域別検討協議会をはじめ様々な機会を通じて、保護者や地域の方々の意見などを伺いながら、魅力ある学校づくりを進めるとともに、適切な高校配置となるよう努めていきたい。

▼地域学校協働活動推進事業の充実

▽地域学校協働活動推進事業にかかる補助事業の継続と補助の増額を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 地域学校協働本部事業については、これまでも国に対し財源措置の継続および拡充を要望してきた。今後とも、全国都道府県教育委員会連合会などとも連携しながら、国に要望していきたい。

▼フッ化物洗口剤の支援

▽新規にフッ化物洗口を実施する公立の幼稚園や小・中学校に対して、二十四年度と同様にフッ化物洗口に必要な薬剤の支援をお願いしたい。

〈回答〉

 フッ化物洗口については、未実施市町村における円滑な導入の支援の一環として、二十五年度から、町村教育委員会連合会の要望を受け、知事部局と連携し、新規にフッ化物洗口を実施する公立の学校などに対して、初年度分の薬剤支援を行っている。

 道教委としては、今後、知事部局と連携し、新規にフッ化物洗口を実施する学校などへの負担軽減措置について検討していきたい。

▼子どもたちのインターネット利用にかかる施策の充実

▽道教委によるネットパトロール業務の継続をお願いしたい。

〈回答〉

 道教委では「道教育推進計画」に基づき「有害情報に対する指導の充実」を図る観点から、児童生徒のネットの不適切な利用による、ネット上のいじめなどの問題行動の未然防止、早期発見・早期対応に向け、国の「いじめ対策等総合推進事業」(国庫補助事業)を活用し、民間業者にネットの監視を委託するなど、ネットトラブルの未然防止にかかる学校の取組の支援に取り組んできた。

 道教委としては、依然として憂慮すべき状況にある、コミュニティサイトなど(出会い系サイトとコミュニティサイト)による福祉犯被害やネット上のいじめなどの未然防止や早期発見・早期対応を図る上で、ネットパトロールは、重要な事業と考えており、引き続き、国に対して、支援事業の拡充について働きかけていきたい。

▼生涯学習・社会教育の振興・充実

▽生涯学習を推進するため、各種施策の充実を図っていただきたい。

〈回答〉

 道教委としては、道民の生涯学習の意識や状況などを把握し、本道における今後の生涯学習の推進の指針として二十七年二月に策定した「第三次道生涯学習推進基本構想」で示している三つの重要な視点(「道民の学びを行動へつなげる」「子どもたちの学びを広げ、支える」「地域のよさや課題を学ぶ」)を踏まえ、第十三期生涯学習審議会によって、今後の北海道における生涯学習推進について審議するとともに、道民カレッジや指導者養成の充実など、さらなる生涯学習推進に向けた環境整備に取り組んでいきたい。

▽学校図書の整備充実に加え、新聞を十分に配備できるよう、また、学校図書館司書の配置についても、交付税措置の継続および増額について、国に要望していただきたい。

〈回答〉

 小・中学校の学校図書館における図書整備、新聞配備および学校司書配置については、二十九年度からの「学校図書館図書整備等五ヵ年計画」によって地方財政措置が拡充された。

 道教委では、これまでも、学校司書について、定数措置の新設および配置にかかる地方財政措置の拡充を国に要望してきた。

 さらに、三十年度予算においては、学校司書に加えて、図書整備および新聞配備についても、地方財政措置の拡充を要望した。今後とも、学校図書館の環境整備については、各市町村の実情を踏まえながら、国に要望していきたい。

▼地域文化の振興

▽文化財保護のため国庫補助事業計画の完全採択および国庫補助の増額を図るよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

国民共有の財産である文化財は、つぎの世代へ適切な形で保存・伝承していくべきものであるため、その保存と活用にかかる国庫補助事業計画の完全採択などについて、要望の趣旨を踏まえ、国に働きかけていきたい。

▽埋蔵文化財発掘調査費用の国庫補助制度の改善および専門職員の配置についての財政的支援を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 これまでも、道の「国の施策および予算に関する提案・要望」において、専門職員の法的位置付けを明確化する必要があることなどについて、国に要望してきた。引き続き、国に要望していきたい。

▼社会教育指導体制の強化

▽社会教育主事の専任配置については町村においても努力しているが、生涯学習推進のため、また、今後のコミュニティ・スクール制度を考慮し、学校教職員の社会教育主事資格取得についてお願いするとともに、当面は派遣社会教育主事(スポーツ担当を含む)制度の継続をぜひお願いしたい。

〈回答〉

 二十七年十二月の中教審答申では、コミュニティ・スクール制度において、学校と地域の人々が子どもたちの教育について目標を共有し組織的な体制を構築するためには、学校と地域をつなぐ役割を担うコーディネート機能の充実が必要であると示されている。

 また、学校と地域の連携に関する職務を担当する教職員に社会教育主事有資格者を位置付けるなどの取組が必要であることも示された。

 このことから、道教委としては、文部科学省の委嘱を受けて社会教育主事講習を実施している道教育大学に対して、教職員が受講しやすい環境の整備について要請するとともに、学校に対して、教職員の社会教育主事講習の積極的な受講について働きかけを行っていく。

 市町村教育委員会における社会教育主事の配置については、道教委としても、市町村の社会教育推進体制の整備への支援のほか、青少年の体験活動の充実、家庭教育の支援など、今日的な課題などに対応するため、派遣社会教育主事(スポーツ担当を含む)制度については、当面、継続していきたい。

▼いじめ・不登校対策

▽スクールカウンセラー(SC)の配置について、SC活用事業の一層の拡充を図っていただきたい。

〈回答〉

 SCの配置については、国のSC等活用事業(国庫補助事業)を活用し、臨床心理に関する専門的な知識や経験を有する者をSCとして、札幌市立を除く小学校、中学校および中等教育学校、高校、特別支援学校を対象に配置しております。

 二十九年度からは、小・中学校における配置校の拡充を図るため、新たに市町村巡回方式を導入している。

 また、未配置の中学校、道立高校に加えて、一部の小学校に対しても、年一回SCを派遣できるよう予算を拡充するとともに、これまでどおり、緊急に児童生徒の心のケアなどを必要とする案件が発生した場合には、配置校以外にもSCを緊急派遣できるようにしている。

 道教委としては、SC活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き、国に対して、制度の充実を働きかけていきたい。

▼NHKテレビの放送受信料免除措置の継続

▽学校での放送教育の利用は多く、その教育効果も極めて高いものがあるので、教室などの放送受信料免除措置について継続されるよう、日本放送協会に対して働きかけていただきたい。

〈回答〉

 日本放送協会(NHK)の放送受信料の免除措置については、義務教育諸学校における教育内容の一層の充実・向上と放送教育の普及・拡大の観点から、十一年八月に日本放送協会札幌放送局長および同局を通して日本放送協会会長に対して、免除措置の継続を要望するとともに、これまでも、国に要望してきている。

 今後とも、日本放送協会の動向を注視しながら、引き続き、日本放送協会や国などの関係機関に働きかけていきたい。

(道・道教委 2017-10-24付)

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