【PickUp2017】石狩管内 発展の鍵は組織化と継続性 江別市が全小中に〝えべつ型CS〟(市町村 2017-12-15付)
◆道内最多の26校に導入
道教委は、ことし四月現在における道内のコミュニティ・スクール(CS)の導入状況を公表している。導入している三十五市町村のうち、全小・中学校で導入しているのは十七市町村。その中で、学校数が十校を超える市町村は、江別市二十六校、登別市十三校のみとなっている。
江別市教委では「社会情勢の激しい変動や、地域に根ざした教育活動を展開する上で、学校の取組が地域になかなか伝わらない」などの課題を踏まえて、ことし四月に市内の全小・中学校に〝えべつ型コミュニティ・スクール〟を導入。既存の学校評議員と学校関係者評価委員会を統合し、①学校運営への参画(熟議)②学校支援③学校関係者評価―の三機能を取り入れた〝学校運営委員会〟を各学校に設置した。委員は、保護者や地域住民、教職員などから、学校の実情に応じて校長が推薦。二百四十六人が承認された。
◆具体的取組のきっかけに
開校二年目を迎えた江別第一小学校(黒川淳司校長)の第一回学校運営委員会では、委員の地域住民から「学校に足を運びにくい」との声をきっかけに「どうしたら足が運びやすくなるのか」を熟議。「給食試食会を行ったらいいのでは」という意見から、給食試食会と学校見学会を実施することを決定した。運営委員による地域への呼びかけや、学校だよりなどで告知したほか、市の給食センターとも連携し「第一小 de lunch」が実現した。
また「学校と地域の結び付きをどのようにつくるか」を議題に意見交流。「地域のことを取り入れると、住民にとって親しみやすくなる」との声から、毎月の学校だよりに地域住民向けのコラムを設けた。
黒川校長は「学校と地域の情報共有がなされている。新設校の場合は特に効果的」と感じている。
一方、江別第二小学校(白川純校長)・江別第二中学校(加藤隆明校長)は、小・中合同の学校運営委員会を設置している。これをきっかけに、これまで別々に行っていた校区内清掃を初めて合同で実施することを決定。それを学校運営委員会で発表すると、委員を務める地域住民から「声をかけてもらえれば協力する」との声が。こうして小・中学校、地域住民が協働する清掃活動が実現した。
児童は「最初は緊張していたが、中学生が話しかけてくれたので、楽しく作業できた」、地域住民は「子どもたちが手際よくごみを拾い、道行く人に自然にあいさつをする姿に感心した」などと話す。
江別第二小の白川校長は「合同開催としたことで、小・中学校の連携が図られるとともに、地域の方々との交流が深まった」と評価。江別第二中の加藤校長は「えべつ型コミュニティ・スクールは、ことしから始まった取組なので、これから地域と協働での活動をさらに取り入れていきたい」と話す。
◆子に育てたい力、目標の共有を
今後、えべつ型CSが発展していくには「学校と地域の協力関係をつくり、組織としてきちんと活動していくこと」(市教委)との声が挙がるように、組織化と継続性が鍵を握る。
また、ある学校関係者は「ただ地域と協力するのではなく、子どもたちにこんな力を育てていきたいという目標を学校、地域、保護者で共有していくことが求められる」と、〝目標の共有化〟を指摘する。
えべつ型CSは、まだスタートしたばかりだが、熟議を通して具体的な取組が実現した意義は大きい。子どもたちの健やかな成長のために、学校と地域の連携・協働が求められる今、こうした取組を継続、発展させることが学校と地域の理想的な協働関係につながっていく。市教委は「今後、さらに地域や学校との連携を深めていきたい」と意気込みを示している。
(市町村 2017-12-15付)
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