【PickUp2017】札幌市教委 複数の制度で休暇取得促進 教職員の多忙化解消に向けた取組(市町村 2017-12-14付)
◆夏季休校日を設定
教職員の長時間勤務および多忙化が全国的な課題となっている。札幌市においても二十七年度の時間外勤務が全校種平均で六十五・七時間となっているほか、「夏季休業中は校外研修を行うなど、あまり休養を取っていない人が多いのでは」(札幌市教委職員)との声もある。
このため、札幌市教委は本年度、夏季休業期間を「休暇取得促進期間」に位置付けるとともに、夏季休校日の取組を試行した。
対象は札幌市立の全学校。八月の十・十四・十五日の中から、各学校が自校の状況に応じて任意の日(一~三日間)を休校日として設定できるようにした。
その結果、市立学校三百十五校のうち、三百十校が休校日を一日以上設定。学校関係者からは「市教委が主体となって実施したため、休暇が取得しやすかった」「部活動を行っている先生にとって積極的に休みを取るよい機会だった」など、好意的に受け止める声が挙がった。
◆部活動顧問休めず
しかし、夏季休業期間は中体連や高体連などの大会があり、学校休校日を設定しても中学校・高校などで部活動の顧問を務める教諭は「休まずに出勤しているケースもあった」という。
教職員の健康維持・増進に関する取組について、他都市の状況をみると、札幌市と同じ政令市の仙台市が、ことし初めて学校閉庁日の取組を実施した。八月十四・十五日に設定し、教員の有給休暇などの取得を促した。しかし、宮城県内で全国高校総合体育大会が予定されていたため、高校を対象から除いたほか、中学校については全国大会に出場予定の部活動もあるため、実施を各校長の判断に委ねた。「全国大会があるため、部活動を行っていた先生も少なくなかったと思う」(仙台市教委職員)。
また、横浜市では二十五年度から学校閉庁日の取組を実施している。八月の第二週および第三週を学校閉庁期間に設定。市主催の研修を行わないほか、期間中は各学校の判断によって、学校閉庁日を設定できることとしている。幅広い期間の中で学校閉庁日を設定できるため、教職員からは「有給休暇を取りやすくなった」との声が挙がっているが、部活動については関東大会などがあるため、部活動顧問が出勤する状況は札幌市と変わらないという。
このため、横浜市教委の職員は「現状でできることに取り組み、教職員の負担軽減に努めている」と話す。学校閉庁日だけではなく、部活ノーデー、外部指導者の派遣などを進めている。
◆市教委が主導し活動基準設ける
札幌市教委は、部活動顧問の多忙化の緩和に向けて、これまでの外部指導者派遣に加え、ことし十一月に「生徒・教職員双方の負担を踏まえた部活動活動基準の設定等について」の通知を発出。通知では、休養日の未設定や長時間の活動が恒常化している傾向がみられることを指摘した上で、生徒の安全面・健康面や、指導する教職員の心身の健康維持などに配慮するため「少なくとも週に一日は、平日に休養日を設定」「通常の練習時間は、平日二時間程度」などの活動基準を設定。遅くても三十年四月からの実施を求めた。
市教委の通知について、部活動の顧問を務めるある中学校教諭は「これで少しは休むことができるのかな」とほっとした表情をみせた。
◆一人ひとりの教員に配慮を
教員が身を置く勤務環境は、一人ひとり微妙に異なる。部活動顧問を担当しているかどうかはもちろん、担任する学級の児童生徒数が一人でも多ければ、その分業務は増える。生活指導に時間のかかる子どもが多いか少ないかなども考えられるだろう。
教員の健康促進には、学校閉庁日や部活動の活動基準など、複数の取組を用意することで、利用できる教員の数を増やしていくことが重要になる。夏季休業日を利用した教員からは「リフレッシュできたので、心にゆとりをもって子どもたちと接することができた」との声も。子どもたちのためにも、こうした声をさらに増やしていくことが求められる。
(市町村 2017-12-14付)
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