札幌市教委 研究開発事業「道徳教育」 推進校・北都中の授業公開 考え、議論する方法共有
(市町村 2017-12-14付)

 札幌市教委は一日、札幌市立北都中学校(富川浩校長)で研究開発事業「道徳教育」にかかる授業公開および学習会を開いた。研究推進校の同校で三授業を公開したほか、学習会を実施。道徳教育の充実に向け、研鑚を積んだ。

 市教委では道徳教育のさらなる充実を図るため、小・中学校各一校の研究推進校、小・中学校各五校の研究協力校で、道徳における多様で効果的な指導方法の工夫に向けた授業公開と、「考え、議論する道徳」の在り方および評価についての学習会を実施している。

◆1年「命の尊さ」

 この日、同校では三学年の三授業を公開。うち、一関浩教諭は一年一組(生徒数三〇人)で資料『決断!骨髄バンク移植第一号』を活用した授業を展開した。本時のねらいを「自分の命の大切さと、その尊さを理解したうえで、自他の生命の尊重に努めようとする道徳的心情を育てる」と設定した。

 一関教諭は白血病や骨髄バンクのほか、腰痛などのリスクがある骨髄の提供について説明したあと、生徒に骨髄の提供をできるかどうか問いかけた。「はい」「いいえ」が書かれたホワイトボードにネームプレートを貼らせたほか、その理由を発表させた。

 続いて、資料『決断!骨髄バンク移植第一号』を朗読。資料は日本で骨髄バンク設立時にドナー登録者の田中さんが血液の適合を告げられたものの恐怖や使命感などで、手術を受けるか受けないか迷うもの。葛藤の末、手術を受け、日本初の骨髄バンク登録者による移植手術が成功する内容となっている。

 資料の内容を確認したあと、骨髄の提供を断ることを考えた田中さんが自分の手のひらを見つめていたことを取り上げ、何を考えていたかを問いかけた。

 四人ずつのグループでそれぞれの考えを発表させ、他者の考えを通して自分の考えを深める場を設定。全体交流では「骨髄の提供を断るか迷っていた」「自分が人の命を握っている」などと考えを発表させた。また「自分の家族には提供するが他人だと迷ってしまう」という発表について「家族も他人も同じ命ではないか」と問いかけるなど、自分の命の大切さも含めて考えを深めさせた。

 また、あらためて骨髄の提供ができるかを問いかけるなど、命の大切さやありがたさについて考えさせ、自他の生命の尊重に努めようとする態度を育ませた。

 このあと、三つの授業グループに分かれて学習会を実施。「考え・議論する道徳」「道徳科の多面的・多角的な見方、考え方について」の二点を討議の柱に、意見を交換した。

(市町村 2017-12-14付)

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