【PickUp2017】オホーツク管内 小さな工夫が大きな一歩に 北見市教委の「働き方改革」
(市町村 2017-12-19付)

 近年、教職員の長時間勤務や多忙化がクローズアップされ、勤務時間の縮減や業務内容の精選などの「働き方改革」を求める機運が高まっている。こうした中、北見市では、その実現に向けた取組が活発化しつつある。

◆道教委採用のシステム導入へ

 北見市教委は、来年度から市内の全小・中学校に、道教委が採用する校務支援システムを導入することを決めた。二十一年度から民間の校務支援システムを使用してきたが、システムの更新が本年度で終了することや、さらなる業務負担軽減策が求められていることを受け、成績などの処理能力の向上が期待できるシステムの活用を決めた。

 道教委は、二十四年度から校務支援システムの導入を開始。二十九年度は、オホーツク管内で四町が導入しているほか、導入に向けた動きをみせる市町もある。北見市教委では、その動きを見据えた効果を期待しており「異動しても同じシステムが使えれば、その分、業務の効率化が図れる」と話す。

 来年四月の導入を目指し、ことし八月にはシステムの説明会を開催。また、十月下旬から各学校に講師を派遣して研修会を行っており、活用方法を実践的に学ぶ機会を設けている。

 道教委が二十七年度に石狩管内で実施した校務支援システム活用モデル事業では、一人当たり平均百十六・九時間の業務軽減効果が報告されており、市教委では、それと同様の縮減効果を期待している。

 一方で、活用に積極的な学校とそうではない学校がみられるなど、「定着するまでに時間がかかるのでは」(学校管理職)といった見方もある。その解消に向けては、研修などのさらなる充実を図る方針だ。

◆学校単位の取組も進む

 業務縮減に向けた動きは、市内の各学校でも広がりをみせる。端野小学校(諏江信夫校長)は、独自に教職員の勤務時間を把握する取組を進めている。

 同校の職員室出入口には、勤怠管理ソフトがダウンロードされたパソコンとともに、教職員人数分のICカード、それを読み取るカードリーダーが並ぶ。出退勤時にカードをリーダーにかざすと、出退勤時刻がパソコンのソフトに記録される仕組みだ。

 導入のきっかけについて「はっきりしたものはない」と笑う諏江校長だが、以前から「遅くまで残っている先生が多い」と感じていた。民間企業などが働き方改革を推進している流れを受け「まずは、勤務時間の把握から始めよう」と決意。勤務時間の縮減に向けた業務内容精選のデータとして、ことし五月から出退勤時刻の記録を開始した。

 当初は紙に記入していたが、煩雑さを指摘する声が挙がったためら、六月からパソコンによるシステムを導入。現在では、リーダーにカードをかざす姿が当たり前の光景となった。

 今後は、出退勤時間を集計したデータをもとに、来年度以降の学校行事や業務内容の見直しを進めていく考えだ。諏江校長は「根拠を踏まえた精選を行い、教職員一人ひとりの負担軽減に向けた流れをつくっていきたい」と意気込む。

◆職員会議を半減し子どもとの時間を

 また、北中学校(竹村博英校長)では、これまで月一回全教職員で行っていた職員会議を昨年度から段階的に少なくし、現在は完全に廃止している。その代わりに、各学年や部会の代表者で構成する会議を開催。夏季・冬季の長期休業中、学期間休業中、文化祭や体育祭などの行事の前後の年六回、各部会が提案した議題を話し合っている。

 以前の職員会議と比べて回数が半減した上、参加者を代表者のみに絞ることで効率化を図り、子どもと向き合う時間の確保につなげている。今後は会議資料のデータ化なども進め、さらに効率化していく方針だ。

 市教委は「これらの取組は、教職員の業務縮減に向けた第一歩」と話しており、今後もその推進に向け、よりよい方法を検討していく考え。

 教職員の働き方改革を推進するには、国による早急な支援が求められるが、市町村教委、学校単位での小さな工夫の積み重ねが大きな効果を発揮するのかもしれない。

(市町村 2017-12-19付)

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