【PickUp2017】上川管内 メディアを家庭学習に置換 上川教育局「上川スライド30」
(道・道教委 2017-12-18付)

◆家庭学習=「短」、ゲーム等=「長」

 携帯電話やスマートフォン、テレビゲームなどの様々な電子メディアは、手軽に楽しめる娯楽やコミュニケーション手段を提供してくれる。しかし、電子メディアと子どもの関係に目を移すと、不適切な使用による学業成績の低下、睡眠障害、ネットトラブルなど、心身への悪影響が問題視されている。

 本年度の全国学力・学習状況調査結果からは、子どもたちが電子メディアにふれる時間が年々長くなってきていることが読み取れる。

 道内においては、全国平均に比べて、家庭学習の時間が短く、ゲームをする時間やテレビを見る時間が長いことが分かった。

 この問題解決に向けて、道、道教委、道PTA連合会などは道子どもの生活習慣づくり実行委員会を設立し、活動。二十六年には「どさんこアウトメディアプロジェクト」と称し、すべての子どもたちにネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着を図るため、電子メディアとの接触時間を見直す活動を展開している。

 保護者や子どもたち、学校などに対して周知活動はしているものの、調査結果などの数値を見ると十分な効果が出ているとは言えない状況だ。

◆スタンプカードでもう一歩踏み込む

 そうした中、上川教育局は本年度、独自に「上川スライド30」スタンプカードを考案。同局の社会教育主事が「メディアから離れた時間を家庭学習の時間に当てることはできないだろうか。これまでの啓発から、もう一歩、踏み込んで、保護者に呼びかけることはできないだろうか」との発想から生まれた取組だ。

 カードは、子どもが電子メディアと接触する時間を三十分以上、家庭学習または読書の時間に〝スライド〟させることをねらった。子どもがカードに記載された目標項目を達成すると、保護者がスタンプを押す仕組みで、カード一枚につきスタンプを三十個押せるようになっている。

 現在、旭川市、中富良野町などの五市町の学校の一部でカードを導入。中富良野町のある学校では「長期休暇ならば、子どもたちの家庭学習時間に当てやすい」との考えから、夏休み中に挑戦するよう児童にカードを配布。保護者にも文書で周知した。

 同局が導入校に依頼して聴取したアンケート結果によると「(保護者が)電子メディアの利用を意識するきっかけとなった」「子どもとのコミュニケーションが増えた」「家族内ルールに取り組むことができた」との声が挙がっている。

 中富良野町教委は「夏休み中ということもあって、各家庭で負担なく取り組めたと感じている。ただ、長期休業期間以外に組み込んだ場合、継続してできるのか疑問」と話す。

 また、旭川市立旭川第二小学校では、子どもたちの読書活動のさらなる推進を図ろうと、十・十一月に試験的に取り入れた。事後アンケート調査では、家庭学習の取組によい効果があったと感じる保護者が半数以上となる結果が出た。また、数字には表れない効果もあった。「夜遅くに帰宅するので時間がなく、子どもとふれ合うきっかけがつかめないと言っていた保護者が、カードをきっかけに子どもから話しかけてくれるようになったと教えてくれた」(山川美千代校長)。日中、家を空ける保護者が子どもの過ごし方を把握できる効果も生まれている。

◆保護者の協力が鍵

 取組によって生まれるメリットが確認された一方で、同局では「保護者の取組への理解があまり図れていない」「保護者の協力を得られなかった子どもがいた」ことも認識している。

 現在、二町村が新たに導入する予定となっているほか、導入を検討中の市町村や学校もあるが、取組の効果を最大限発揮するには、保護者の協力をいかに得るかが鍵を握る。

 同局では今後、PTAや学校運営協議会などを対象とした説明会などを実施するほか、フリーペーパーの作成も検討している。同局の中島康則局長は「メディアに費やしていた時間を家庭学習などにスライドさせる取組は前例のないものだが、今の時代には必要」と強調。子どもたちの健全な育成のため「より多くの学校に取り入れてもらえれば」と期待している。

(道・道教委 2017-12-18付)

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