小５・６年の算数少人数指導　全２０１校での実施目指す　カリキュラム年度内完成へ―札幌市教委算数にーごープロジェクト

（市町村 2018-01-05付）

本年度は１０校を研究推進校に指定し、少人数移動を展開した（写真は前田中央小の授業の様子）

　札幌市教委は、小学校の高学年で二十五人程度の少人数による指導を実施する算数にーごープロジェクト事業について、来年度から市立小学校全二百一校での実施を目指している。個に応じた手厚い指導によって学習への意欲や論理的思考力を高めるもの。研究推進校で実施に当たっての配慮事項や校内体制の在り方などについて研究を進めているほか、少人数指導を効果的に進めるためのカリキュラムを年度内に作成するなど、全校実施に向けて準備を進めている。

　市教委は、小学校五年生からの算数について「小数や分数を用いた計算が増える」「学習内容が抽象化してくる」など、子どもがつまずく要素が多いと認識。こうしたつまずきが今後の学びに影響すると分析している。このため、課題探究的な学習の充実の一環として算数にーごープロジェクト事業を二十八年度から実施している。

　対象は小学校五・六年生。児童を習熟度によらない二十五人程度のグループに分け、担任や非常勤講師などが個に応じた手厚い指導を行うことで、子どもの学習意欲や論理的思考力を高めていく。

　二十九年度は一学年一学級程度の小規模校や、一学年二学級程度の中規模校、一学年三学級以上の大規模校の計十校を研究推進校に指定。各校が、①事業実施に当たっての配慮事項など、学校規模や担当学年に適した導入の在り方②時間割などの調整方法など、少人数指導の実施にかかる校内体制の在り方③教科の内容、単元の内容に対する効果的な実施時期など、少人数指導の効果的な指導の在り方④児童の学習状況の把握など、少人数指導の評価の在り方―の四点について研究を進めている。

　今後は二月に授業公開を行うなど、各学校に事業を周知する場を設定する予定。事業を実施する上での留意点などもまとめ、各学校に通知することとしている。

　また、同事業では二十八年度から算数にーごープロジェクト事業カリキュラム作成委員会を設置。現在、事業の趣旨を踏まえ、「課題探究的な学習を重視し、少人数を効果的に活用した指導資料とする」「札幌市の目指す学ぶ力の育成につながる分かる・できる・楽しい授業に資するものとする」「新学習指導要領との関連を図る」「教科用図書の内容との関連を図りながら、各学校の教育課程編成に資するものとする」といった方針で小学校五・六年生の全カリキュラムの作成を進めている。

　カリキュラムは年度内に完成させる予定。各学校に通知するなど、来年度、市立小学校全二百一校において使用可能となるよう準備を進めていく。

(市町村 2018-01-05付)