函館市教委―教職員の業務改善 部活動は週休2日が原則 子と向き合える環境へ方針提示(市町村 2017-12-25付)
【函館発】函館市教委は、教職員の長時間勤務や働き方の改善に向けた「教職員の業務改善の取組」を取りまとめた。小・中学校の教職員の長時間勤務軽減を図るとともに、教員が児童生徒と一層向き合える環境整備の実現を目指す。
本年度に立ち上げた「函館市立学校業務改善ワーキンググループ」では、市内の教職員六人と市教委生涯学習部の佐藤聖智子次長など合わせて九人が、七月から十一月まで各校の現状把握や意見交換を通して、課題と現在の取組を明確にし今後の対応を協議してきた。
これらの意見を取りまとめた結果、「本来担うべき業務に専念できる環境の整備」「部活動指導にかかわる負担の軽減」など五つの項目で、現在の取組と今後の検討課題に対する方針を示した。内容をみると、部活動においては、職員会議日と土・日曜日のいずれかを休養日に設定。大会前などを除いては、週休二日を原則とすることなどが盛り込まれている。
佐藤次長は長時間勤務の改善が進むことで「子どもと向き合う時間が増え、指導の充実につながる」と期待するとともに「今後も、業務改善に関する国や道の取組や方針を盛り込みながら柔軟に対応していきたい」と話している。
函館市教委がまとめた業務改善の現在の取組と課題、今後の対応方針はつぎのとおり。
【本来担うべき 業務に専念できる環境の整備】
▼専門スタッフ等の配置の促進
▽現在の取組
①免許外教科担任の解消を図る非常勤講師の活用
②学習等をサポートする特別支援教育支援員や学生ボランティアの活用
③児童生徒の心のケアを行うスクールカウンセラやこころの相談員の活用
④特別な教育支援が必要と考えられる児童生徒等の支援を行う特別支援教育巡回指導員の活用
▽今後の検討課題
①様々な生徒指導上の課題などに対応するため、関係機関と連携して児童生徒を 支援するスクールソーシャルワーカー(SSW)の配置を検討する
②学校図書館の環境整備や読書活動の充実を図る学校司書の配置を検討する
▼ICTの活用や校務支援システムの導入促進
▽現在の取組
・全教職員に一台整備している校務用パソコンを活用した情報の共有化や業務の効率化
▽今後の検討課題
①学校や児童生徒に関する様々な情報をデジタル化し、共有することで教職員の事務負担を軽減する校務支援システムを全校に導入することを検討する
②学校でのICT活用をサポートする専門的な人材の配置を検討する
▼地域との協働の推進による学校を応援・支援する体制づくりの推進
▽現在の取組
・町内会等とこれまで以上に連携し、地域として児童生徒の登下校や放課後の見守りを行う取組
▽今後の検討課題
・学校・地域・家庭が一体となって子どもたちを育む「地域とともにある学校」への転換を図るため、コミュニティ・スクールの早期の全校導入を目指す
▼学校給食費およびその他の学校徴収金の徴収・管理業務の負担軽減
▽今後の検討課題
①学校給食費の未納世帯への対応について、徴収・管理業務の負担軽減策を検討する
②教材費などの各種学校徴収金について、徴収・管理業務の負担軽減策を検討する
【部活動指導にかかわる負担の軽減】
▼部活動休養日の完全実施
▽今後の検討課題
①部活動休養日を土日のいずれか一日を含む週二日とする
②テスト期間前や職員会議日の部活動を休止する
▼外部指導者の活用
▽現在の取組
・部活動の充実と技術指導面や精神面における教員の負担軽減を図る部活動地域支援者の活用を推進する
▽今後の検討課題
・各種大会や練習試合等への生徒の引率も可能な部活動指導員の配置を検討する
▼複数顧問の効果的な活用
▽現在の取組
・一人の教職員に過度の負担がかからないよう、複数顧問の配置の促進
【勤務時間を意識した働き方の推進と学校運営体制の充実】
▼教職員のワークライフバランスの推進
▽現在の取組
・管理職や教職員に対して、勤務時間について、あらためて意識をもって勤務するよう意識啓発
▽今後の検討課題
①職員会議日を定時退勤日に設定する
②原則午後七時までに全教職員が必ず退勤するよう徹底を図る
▼長期休業期間中における一定期間の「学校閉庁日」の設定の検討
▽今後の検討課題
・各学校が長期休業期間中に三日以内の連続した学校閉庁日を設定することによって、教職員が年次有給休暇を取得しやすい環境を整える
▼勤務時間を客観的に把握する仕組みの構築
▽今後の検討課題
・教職員一人ひとりの勤務時間を客観的に把握するための仕組みを検討する
▼管理職のマネジメント研修等の実施
▽現在の取組
①学校教育指導監の学校訪問等での指導助言による学校長のマネジメント力の強化の促進
②職員朝会や会議の縮減、各種会議等のペーパーレス化の促進
③様々な機会を通じ、管理職が自ら勤務時間を意識するよう促し、各学校での時間外勤務縮減に向けた取組の促進
▽今後の検討課題
①校務分掌や特別委員会等の組織の見直しによって、勤務時間縮減につながった事例を共有し、全学校での実施を推進する
②管理職に対し、組織管理や時間管理、健康安全管理等のマネジメント研修を実施し、意識改革と実践力の向上を図る
▼事務機能の強化・業務の効率化
▽今後の検討課題
・教員と事務職員との間での一層の業務の連携等によって業務を見直し、事務機能の強化と業務の効率化を図る
【教育委員会による学校サポート体制の充実】
▼調査業務等の見直し
▽現在の取組
・学校に発出する調査等の精査、縮減
▽今後の検討課題
・各種団体等からの学校への行事への参加や作品の応募依頼等について、学校現場の負担の解消のため、各種団体等の理解促進を図る
▼勤務管理に関する各制度の利用の徹底
▽現在の取組
・週休日の振替や変形労働時間制度、勤務のスライドの活用の徹底
▼保護者や地域住民等の理解を得るための取組の促進
▽今後の検討課題
・教員の時間外勤務縮減の取組に対する保護者、地域住民、市役所各部局の理解促進を図る
【その他の取組】
▽今後の検討課題
①長期休業期間の研修の開催や、講師や指導主事の派遣による学校での研修の開催など、研修の在り方を検討する
②児童生徒の情報通信機器を使用した問題行動の未然防止・早期発見・早期対応を図るため、インターネット上における不適切な書き込みなどの状況を確認する取組を実施する
(市町村 2017-12-25付)
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