【リポート】道警の非行・犯罪被害防止教室 利用しやすさ学校から好評 校内放送活用し短時間で充実の内容
(道・道教委 2018-01-16付)

 道警が二十九年六月から開始した「小・中学校の校内放送を活用した非行および犯罪被害防止教室」の取組が、道内小・中学校で広がりをみせている。十一月末現在、百七十四校で計二百三十六回実施。インターネットトラブルの未然防止や不審者による犯罪被害防止など、様々な教材が用意されているほか、短時間で利用しやすいことなどから、好評の声が寄せられている。

 この教室は、従来の非行防止教室に加えて、二十九年六月から開始したもの。学校の放送室で放送委員などの児童生徒と警察官がインターネットのトラブル、犯罪被害の防止などをテーマにインタビューや質問、意見交換を行う。使用する放送シナリオやイラストは道警が用意。児童生徒自ら番組づくりに参画することが特徴で、校内放送で番組を全教室に配信し、防犯に対する意識の向上を図る。

 学校のある地域を管轄する警察署の少年担当係が窓口となり、学校からの申請を電話で受け付ける。警察と学校間で日程、放送内容、実施回数などの打ち合わせを行った上で、警察官、児童生徒によるリハーサルを実施。校内で放送する流れとなる。

 十一月末現在、百七十四校で二百三十六回実施。内訳は、札幌方面が六十六校で九十三回、函館方面が二十四校で四十七回、旭川方面が二十五校で二十七回、釧路方面が二十二校で二十六回、北見方面が三十七校で四十三回となっている。

◆ニーズに合わせた様々な教材用意

 リピートする学校も複数あり、学校からは好評だ。理由の一つは、利用のしやすさ。従来の非行防止教室は一つの授業として年間のスケジュールに組み込む必要があったが、校内放送を活用した非行防止教室は十分程度の短時間で行えるため、柔軟に活用できる。

 また、様々な教材を用意。現在「インターネット空間に潜むトラブルや危険からの被害防止」「インターネット空間でのいじめの防止」「インターネットへの依存の防止」「児童ポルノ、児童買春などの性的搾取被害の未然防止」「児童生徒に対する声かけ、前兆事案など不審者からの犯罪被害防止」「非行の未然防止」の六シリーズ、計十九本の教材を活用できる。このため、不審者情報が寄せられた学校では、危機意識の醸成や被害の未然防止に関するシナリオを選ぶなど、学校の状況やニーズに応じて柔軟にシナリオを選択できる。

 また、大人が一方的に教えるのではなく、児童生徒自らが参画するため「聞き手の児童生徒も熱心に聞く」「十分程度と短時間のため集中しやすい」などの声が寄せられている。

 進行やカメラワークを工夫したり、独自に音楽やテロップ、聞き手のリアクションの声を入れたりるなど、工夫を凝らす学校も。

 実施方法も多様で、放送設備がない学校では音声のみの放送、小規模の学校では体育館で全校の児童生徒を集めて実施しているケースもある。このほか、放送内容を録画して、参観日や保護者会などで放映することで、保護者の啓発を図っている学校もある。

 道教委学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の岡本貴仁主幹は「児童生徒が主体的に活動し、参加できることが大きな特徴。犯罪被害の未然防止という面も強く、問題が起きていない学校も積極的に活用してほしい」と話す。

 道警では今後、全道の学校で複数回実施できるよう、さらに働きかけていくとしている。

(道・道教委 2018-01-16付)

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