【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.20特別活動編②北海道特別活動研究会(高橋正行会長)「学級活動(1)実践のポイント(下)~話合い活動~」
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-16付)

第20回北特活②・下
板書例(クリックすると拡大表示されます)

◆話合いの「型」から見通しをもたせる

ポイント1 話合い活動で育てたい資質・能力を考える

 学級活動(1)の目標は、新学習指導要領第6章の第2に「学級や学校での生活をよりよくするための課題を見いだし、解決するために(略)自主的、実践的に取り組むことを通して、資質・能力を育成することを目指す」と示されている。つまり、生活をよりよくするために、自分たちで自分たちが取り組むべき課題やその解決の方法を探ったり、実践したりするための資質・能力を育成していくことが話合い活動において重要となる。そして、これらの目標を発達段階に応じて具体的に考える必要がある。

 1・2年生は「周りの人と仲良く助け合う・身近な人に親切にする・みんなのために活動する」ことが、3・4年生は「互いに理解し合う・みんなで協力し合う・進んでみんなのために活動する」ことが、5・6年生は「自分の役割を自覚する・相手の立場に立って親切にする・男女関係なく信頼し合って活動する」ことが各発達段階における資質・能力の一つの目安として考えられる。これらを身に付けていくための活動を設定していくことが望ましい。

ポイント2 話合いの段階での「型」を指導する

 どのような話合い活動を設定していくとよいか。まず、子どもたちが自主的に活動を進めていくことを重視する上で、課題を解決していくための共通した土台がない状態で子どもたちが話合いに向かっていくことは避けたい。そうなった場合、課題が学級や学校のものではなく、個々人の課題とそれに伴う活動に変わってしまうことが多く見られるためである。

 そこで、子どもたちが集団の課題としっかり向き合い解決していくために、「今、自分たちが何のために(提案理由)どのようなことを話し合っているのか」ということを全体で共有できるようにする。そして、「出し合う」「くらべ合う」「まとめる」という3つの段階に話合いを分けて進めることが大切である。

 「出し合う」段階では、「私は○○をしたらよいと思います。理由は~」と、議題を解決できる案を出す。「くらべ合う」段階では、「私は○○に賛成です。理由は~」と、「出し合う」で出てきた案に対して意見を述べる。「まとめる」段階では、「くらべ合う」段階で出てきた意見をもとに最終的に決定に向けて話合いを収束させていく。

 このように、話合いの「型」のようなものを指導することによって、子どもたちが話合いに対して課題の解決への見通しをもつことができる。見通しをもって話合いを行うことで、話合うことの目的を共有し、子どもが主体的に話合いを進めていくことができるようになっていくのである。

ポイント3 司会・記録等への関わりで司会の追体験を

 司会や記録がどのように話合い活動を進めていくかによって、その活動が子どもたちにとってどのような学びになるかが大きく変わる。

 計画委員会等でどのような話合いになるのか、どのような進行をしていくかなどを想定するが、話合いは予想とは少しずつ離れて進んでいくこともある。そういった時は、教師がどのような関わりをしていくかが大切になる。一度の話合い活動で司会グループを担当する子どもの数は限られるが、司会を輪番とし、どの子にも司会グループの経験を積ませたい。ただし、年間の話合い活動に割ける時間は少ない。

 そこで、教師の関わりとして、司会がどのようなことで困っているかを全体に問いかけたり、司会がどうしたらよいかを全体で共有できるように指導したりして、フォロアーの子どもたちにも司会の追体験をすることができるようにすることが必要になる。

ポイント4 板書の工夫

 主体的に、よりよい課題解決を目指すためには、板書も重要である。提案理由のポイントを意識できるようにして掲示しておくこと、友達がどの案にどのような理由で賛成しているのかが分かるように記録しておくことなどに留意する。

 「○○の意見の△△はいいところだから、他の案でも~」といったように、お互いの意見を生かし合いながらよりよい解決に向かうための材料が子どもたちに可視化されているような板書を構成するとよい。

ポイント5 教師の関わり方を知る

 教師の役割は、「話合い活動による課題解決のための資質・能力の育成とそのための指導」であり、話合い活動の先導であってはならない。「先生は○○の方がいいと思うよ」「□□は無理だ」と話合いを方向付けるのではなく、「司会グループが困っているけど、何かいい方法はあるだろうか」「何のためにこの話合いをするのか」など、子どもたちがよりよい課題解決に向かっていけるよう促すことが大切である。

(北海道特別活動研究会 札幌市立円山小学校 教諭 木村圭介)

※次回は「係活動 実践のポイント」を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-16付)

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