【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】№23生活科編 北海道生活科・総合的な学習教育連盟(礒島年成委員長) 「子ども主体の学習 充実のポイント」
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-22付)

第23回道生総連資料(生活)
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◆気付きの質を高め、深い学びへ

ポイント1 これからの生活科の学習をとらえて

 生活科の究極的な子どもの姿は、新学習指導要領にある「自立し生活を豊かにしていくこと」である。その「自立」を目指すためにも、活動・体験は欠かせない。活動・体験を通すことで、子どもは様々なことに気付いていく。この気付きは、子どもがこれから生きていく上で関わることになる人や社会、自然といった身の回りの対象と自分との関わりをとらえることにもつながる。

 つまり、活動・体験をすることは、子どもが身の回りの対象を認識していくことであり、つながりをもつことでもある。そして、その学習の過程において「よりよい自分づくり」の学びが生まれ「自立」していく姿へとつながっていく。

 また、生活科は、幼児期と中学年以降をつなぐ、あるいは低学年の各教科・領域と円滑に接続するなど「低学年教育の充実」を図る中核の教科としても重要視されている。

ポイント2 子どもの思いや願いを大切に

 生活科では、子どもの思いや願いを中心に学習を展開することが重要とされている。単元の導入における活動や体験は、「驚き」「不思議さ」「期待」など、子どもの心を揺さぶるような時間にしたい。学校探検であれば校内の写真を見せたり、指令を出したりするなど、学習の始まりの出会わせ方、導入部の工夫が求められる。

 この導入の段階は「課題の把握・設定」とも深く関わる。「やってみたい!」「できるかな?」といった子どもの思いや願いを受け止めながら、教師は「子ども理解」に努め、子どもとともに一緒に活動する姿勢が大切である。子どもは、他の子どもの思いや願いに触れたり教師からの問いかけに答えたりしながら、したいものがはっきりした時には、活動への意欲も高まり、その子なりの見通しがもてるようになってくる。

ポイント3 活動・体験と表現活動を位置づけて

 活動・体験だけをしていればよいというものではない。活動・体験と同じく大事にされていることが表現活動である。体験・活動での子どもの気付きは、そのままでは子どもにとって無自覚のままとなり、活動・体験が一過性のものとなってしまうことも考えられる。 

 そこで、活動・体験のあとに言葉、絵、動作等の表現活動を取り入れながら、子ども自身が気付きを自覚していくようにすることが重要である。

 生活科の授業づくりにおいては、具体的な活動・体験を通すことと、そこで気付いたことを表現する活動を相互に繰り返すことがポイントとなる。子どもは、活動・体験を通して何かしらのことを気付いたり発見したりしている。それらを表現することにより、子どもは思考を巡らし、自分自身の気付きを自覚していくことになる。

 新学習指導要領にも、「気付きを基に考えるためにも、見付ける、比べる、たとえる、試す、見通す、工夫するなどの多様な学習活動を行うようにすること」とある。体験活動と表現活動を繰り返すことで、子どもの気付きは関連付けられたり、新たな視点で対象をとらえ直したりすることになるが、これが生活科で大事にしている気付きの質を高めることであり、「深い学び」の姿なのである。

ポイント4 子どもに応じた多様な教師の関わり方を

 体験・活動のあとに「振り返りカード」などを使って表現活動をすることが多くある。こうした振り返りは、先にも述べたように、気付きを自覚するという効果もあるが、子ども自身が次の活動を見通すことにも深く関係している。

 活動後の振り返りには、子どもは「次は○○をやってみたい!」「どうして△△なんだろう?」など、活動を通して得た見たこと、感じたこと、疑問、さらには、次への活動につながる新たな思いや願いを表すなど、多様な視点からの表現が見られる。こうした子どもの「声」を共感的に受け止めながら、さらに教師は「じゃあ、どうやってやるといいかな?」「よく気付いたね、続けて見てみようか」など、子どもが次の活動を見通していけるような関わりをすることが大事である。

 ここで注意したいのが、振り返りなどの表現活動は、文章だけではなく、絵や動作、劇化など、多様な表現方法を取り入れるということである。文章で書かれた振り返りが、その子どもの思いや願いをすべて表しているとは限らない。文章表現が未熟な低学年の段階だからこそ子どもとの対話を大事にしたい。対話を通すことでより深く子どもを理解することにつながっていく。教師は子どもを理解した上で、画一的なかかわりではなく、待つ、引き出す、感動を共有する、気付きを拡げるなど、子どもに応じた多様な関わり方を考えたり実践したりすることが求められる。

 このように一人ひとりの子どもを理解し、子どもに応じて適切に関わろうとする教師の姿勢は、「自立し生活を豊かにすること」を目標にした生活科の学習ではとても大切なことである。

(北海道生活科・総合的な学習教育連盟札幌地区 北海道教育大学附属札幌小学校 主幹教諭 丹羽洋彦)

※次回は「総合的な学習の時間編」を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-22付)

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