【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.27中学校技術・家庭科編家庭分野①北海道技術・家庭科教育研究会(岩本正美会長)「授業構築のポイント」(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-26付)
縦2列に配置した作業台で意欲的に学ばせる
◆愛情と熱意で教材研究・授業準備を
◎【何を教え、何を見取るか】
ポイント1 自分の教科への熱意を生徒に伝える
私は、技術・家庭科は「人が生きていく上で最も大切なこと~生きる力~を学ぶ教科」であると、年度当初のオリエンテーションで生徒に伝えている。生徒がこの教科への興味・関心をもち、学ぶ意欲を高めるためには、自分の担当する教科への愛情と熱意をもって教材研究や授業の準備を行い、日々の授業を構築することが重要である。技術・家庭科は、時代の流れによって指導内容が高度で広範囲に変化しており、教師も常に視野を広くもって学び続けることが必要である。
ポイント2 指導計画の立案と適切な評価に努める
3年間を見通した指導計画を立てるには、学校や地域の様々な条件を考えることが大切である。たとえば幼稚園訪問を実施する場合は、連続2時間の授業が必要である等の条件を考え、幼児・家族の学習を2年生で、また環境の学習は衣食住すべての内容で扱うことでの相乗効果や重要性を考え、全学年で実施している。
年間指導計画と同時に評価についても年間計画を立てておくことが大切である。どの授業でどの観点をどのように見取るのかを各学年ごとに一覧表にしておき、授業進度に合わせて常に確認・修正し、適切な評価を実施する。
ポイント3 ワークシート作成と板書の要点を知る
授業の前には、1時間毎の指導案、時間配分、板書計画、教具を確認して臨む。また、授業を始める際は、「本時の目標」は必ず黒板に板書やシート等を掲示し、生徒に学習課題を意識させる。
ワークシートは1時間1枚を目安として作成している。生徒はその時間の学習の見通しをもつことができ、板書事項の記入時間短縮につながる。ワークシートは毎時間回収し、点検やコメントを記入した後返却し、各自がファイルすることで、授業の流れを振り返ることができる。また、欠席者がいた場合には後日提出させるなどの手立てをとっている。
ワークシートの作成に当たっては、生徒に身に付いたどんな力を見取るのかという評価の観点を明確にしておく。単に「授業の感想」を記入させるのではなく、「気付いたこと」(観点:技能)や「これからの生活に生かしたいこと」(観点:関心)など具体的に記入できるようにする。たとえば幼稚園訪問では、「棚の位置が中学校より低かった」「4歳児にはボールを蹴ってサッカーをする運動機能が見られた」「幼稚園の先生は幼児の目線で優しく接していた」など注意深く観察させて記入させる。
板書は、学習の目標や学習課題などワークシートにあらかじめ記載されているものはマグネットシートを使用して表示するようにしている。記入時間を短縮して限られた授業時間を有効に使えること、同じ授業を複数回に渡って行う場合に活用できる利点がある。また、色分けや囲みを加えるなどの工夫をして生徒に印象付くようにする。
板書の量は1時間で黒板一面にし、その時間で学習したことがまとまるようにする。
ポイント4 資料・視聴覚機器の活用と教材アラカルト
実物投影機を活用して該当部分を拡大して示すのはこの教科には大変有効である。さらに食品群一覧や札幌市ゴミ分別表などの資料は必要に応じて用意する。
DVD教材や映像教材は指導や説明する際に有効に活用できるものがあるので、調べてみるのがよい。また、食生活の授業では、食品見本カードや調理見本カードがあると生徒は理解しやすい。
◎【衣生活での実践】
ポイント1 安全で整頓された被服室に努める
実習を行う教室は、整理整頓された衛生的な環境にすることが大切である。また、教室内に優れた完成作品見本を掲示しておくと、製作への意欲を喚起する効果が高まる。
作業台は生徒が教師に背を向けないように黒板に向かって縦2列に配置している。生徒の座席は固定した班とし、出席番号順に輪番で全員が班長を担当することで整理整頓・安全への意識を高めるようにしている。
ミシン・アイロンは安全面と作業スペース面から作業台と別の場所に配置している。針は個人ごとケースに入れて使用し、毎時間作品と共に回収し保管している。他の用具はその授業で使うものを班毎のケースに収納し、毎回その日の班長が配布・点検・回収をする。さらに教師が最終確認をして、紛失することがないよう防止している。待ち針は5色を5本ずつ準備し、使用する生徒を決めて紛失によるけがや返却忘れを防止している。
ポイント2 理論と実技の一体化に努める
板書はマグネットシートを活用し、本時の授業内容と製作の要点・評価規準・見本を示している。指示や説明は教科書・資料(教科書より詳しいもの)・段階見本等を用いる。実物投影機は何度でもどこからでも示範できるので生徒の理解度を高めるのに効果的である。
家庭分野の授業は「理論と実技の一体化」が重要なポイント。「用具の正しい持ち方・使い方」に重点を置いて、何をどのようにすればよいかを具体的に数値で示すと生徒は理解しやすい。(例:出来上がり線の1㍉外側を縫う、出来上がり線の1㍉真下を親指と人差し指で挟む)
「自分は不器用」と諦めている生徒でも、できている点を認め、改善点を具体的に示し、良くなった点を褒めることを繰り返せば、必ず完成させることが可能である。
(北海道技術・家庭科教育研究会 札幌市立白石中学校 教諭 髙橋美砂子)
※次回は家庭分野②「調理実習のポイント」を掲載します。
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効果的な板書で理解度を高めさせる
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-26付)
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