【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.22特別活動編④北海道特別活動研究会(高橋正行会長)「集会活動 実践のポイント」
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-19付)

伝えたい・第22回北特活④
中休みに行われるゲーム的なミニ集会で経験を積む

◆振り返りで自主的・実践的な態度を

1 集会活動を通して育てたい資質・能力

 学級活動として行う集会活動は、休み時間の遊びとは異なるため、ただ楽しいことをすればよいのではなく、集会活動を通して

・自分たちで見通しをもって計画を立て、仲間と協力して実践する。

・集団の一員であることを意識して、責任をもって行動する。

・全員が参加し、集会活動の内容を工夫する。

 ―などの自主的、実践的な態度を育てることが大切である。そのために、計画→実践→振り返りといったサイクルを考えて取り組む必要がある。

2 集会活動をどのように行うとよいか

ポイント1 ねらいの明確化

 何を目標として集会活動を行うのかを明確にし、目的意識をもてるようにすることが大切である。そうすることで、集会活動の意義を理解し、みんなで協力して取り組もうという思いをもったり、活動の内容を工夫したりすることができる。

・準備から実行、振り返りまでの活動全体を見通して、「提案理由」や「めあて」を考えることができるようにする。

・集会活動は、楽しく充実した学校生活につながるものであることを理解し、話合いや実践への期待感をもてるようにする。

ポイント2 活動の見通し

 準備から振り返りまでの活動の流れを明確にしておくようにする。次のような手順を事前に指導しておくことにより、児童の自発的、自治的な活動を促すことができる。

(1)話し合ったことを基に活動計画を立てる。

(2)計画に沿って、活動に必要な係を設置する。

(3)係の仕事を学級全員で分担する。

(4)活動に必要な用具などを準備する。

(5)計画に従って集会を行い、活動後は後片付けを全員で行う。

(6)振り返る。

ポイント3 全員で役割分担

 集会活動では、誰もが何かで貢献できるようにすることが大切である。一人一人が役割を受け持つことで、集団の一員であることを意識することができ、責任感や満足感を得られることにつながる。

・多様な役割を用意したり、交替で行ったり、できるだけ全員がリーダーを経験できるようにする。

・それぞれの活動を見守り、アドバイスをする。高学年であれば班ごとに仕事を分担したり、低学年であれば一人一役で受け持ったりと、学年の発達段階に合わせて活動を組むようにする。

・準備期間、朝や帰りの会などで取組の状況を伝え合うことで、それぞれの係の頑張りが伝わりやすくなるようにする。

ポイント4 振り返る場の設定

 集会活動の充実のためには、話合いから準備、集会活動までの全体の振り返りが大切である。集会活動の実践後、振り返る場を設定し、「集会活動のねらいが達成できたか」「自分はどのように取り組んだか」を振り返り、成果と課題を明らかにする。そうすることで「次も楽しい集会にしよう」「次はさらにレベルアップした集会にしよう」といった次の活動への意欲へとつなげる。

・みんなでつくり上げたことを実感したり、互いを認め合う雰囲気をつくったりするために、実践の中で見付けた友達のよさや頑張りも出し合うようにする。

 このように、計画→実践→振り返り→次の活動といったサイクルを大切にして取り組むことで、自主的、実践的な態度を育むことができる。

3 多様な集会活動

 子どもたちは、集会というとお楽しみ会的な集会活動のイメージが強く、どんな集会活動があるのかという知識が意外と少ない。そこで、多様な集会活動についてオリエンテーションを行うことも考えられる。そうすることで、ねらいに沿った豊かな内容の集会活動をみんなでつくり上げることができる。

(活動例)

・お楽しみ会的な集会活動…誕生会、ゲーム大会など

・スポーツ的な集会活動…ドッジボール大会、ミニ運動会、雪中運動会など

・季節に関する集会活動…七夕集会、ハロウィン集会、クリスマス集会など

・文化的な集会活動…学級音楽会、グループ新聞コンテスト、学級読み聞かせ集会など

 また、集会活動を通して力を付けるためには、どの時期にどんな集会ができそうかを考えながら計画を立てることも大切である。休み時間にミニ集会を行うことで、多様な集会活動の経験を積み重ねることもできる。

〈1学期の集会活動〉

・人間関係を広げていけるよう、グループづくりを工夫するなど多くの友達と関わるようにする。

〈2学期の集会活動〉

・自分のよさを発揮したり互いのよさを認め合ったりして、人間関係を深めるようにする。

〈3学期の集会活動〉

・学級活動の振り返りも含め、自分や友達、学級の成長を認め合う活動を展開するようにする。

 年間を通して集会活動の様子を教室に掲示すると、次の計画を立てる際にこれまでの成果や課題について想起しやすくなり、集会活動のつながりや高まりを生むことになる。

(北海道特別活動研究会 札幌市立屯田北小学校 教諭 福本勇太)

※次回は、北海道生活科・総合的な学習教育連盟「生活科編」を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-19付)

その他の記事( 伝えたい!授業づくりの基礎・基本)

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.27中学校技術・家庭科編家庭分野①北海道技術・家庭科教育研究会(岩本正美会長)「授業構築のポイント」

伝えたい27・上 ◆愛情と熱意で教材研究・授業準備を ◎【何を教え、何を見取るか】 ポイント1 自分の教科への熱意を生徒に伝える  私は、技術・家庭科は「人が生きていく上で最も大切なこと~生きる力~を学...

(2018-01-26)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.26中学校技術・家庭科編技術分野②北海道技術・家庭科教育研究会(岩本正美会長)「授業改善のポイント」

伝えたい26 ◆見方・考え方を働かせ資質・能力育む 【教室環境整備と授業改善へのヒント】  技術分野の授業は、木工室やコンピュータ室などの特別教室で授業することが多い。そこを生徒が「自ら学びに向かう」...

(2018-01-25)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.25中学校技術・家庭科編技術分野①北海道技術・家庭科教育研究会(岩本正美会長)「学び合う体制づくりのポイント」

第25回道技家研①体制づくりのポイント三次校正 ◆培ったノウハウを若手教員に伝える 【技術・家庭科の現状から】  先日、教科の研修会に参加した折、新採用の技術・家庭科教員2人から「生徒から、先生の授業は教科書とワークだけの授業なのでつ...

(2018-01-24)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】№24総合的な学習の時間編 北海道生活科・総合的な学習教育連盟(礒島年成委員長)「探究的な学習 充実のポイント」

図1 ◆振り返りから自らの考えや課題を明らかに  総合的な学習の時間では、〈課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現〉という探究のプロセスを繰り返す学習過程=図1=を大切にしている。今回...

(2018-01-23)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】№23生活科編 北海道生活科・総合的な学習教育連盟(礒島年成委員長) 「子ども主体の学習 充実のポイント」

第23回道生総連資料(生活) ◆気付きの質を高め、深い学びへ ポイント1 これからの生活科の学習をとらえて  生活科の究極的な子どもの姿は、新学習指導要領にある「自立し生活を豊かにしていくこと」である。その「自立」を...

(2018-01-22)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.21特別活動編③北海道特別活動研究会(高橋正行会長)「係活動 実践のポイント」

伝えたい第21回北特活③ ◆常に学級目標達成を意識した活動を ポイント1 育てたい資質・能力を発達段階に応じて高める  係活動では、子どもたちに「自主的に活動する力」を育んでいきたい。  まず、より楽しく豊かな...

(2018-01-17)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.20特別活動編②北海道特別活動研究会(高橋正行会長)「学級活動(1)実践のポイント(下)~話合い活動~」

第20回北特活②・下 ◆話合いの「型」から見通しをもたせる ポイント1 話合い活動で育てたい資質・能力を考える  学級活動(1)の目標は、新学習指導要領第6章の第2に「学級や学校での生活をよりよくするための課...

(2018-01-16)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.19特別活動編①北海道特別活動研究会(高橋正行会長)「学級活動(1)実践のポイント(上)~話合い活動に至るまで~」

伝えたい第19回北特活① ◆なすことで学ぶ経験を積み上げる ポイント1 学級活動で育てたい力をしっかりとおさえる  特別活動では、「問題の発見・確認」「解決方法の話合い」「解決方法の決定」「決めたことの実践」「振...

(2018-01-15)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.18体育科・中学校編 北海道学校体育研究連盟(小野寺正委員長)「武道(柔道)授業のポイント」

伝えたい第18回体研連2回目① ◆学びに見通しもち他者との協働を ポイント1 保健体育科で身に付けさせる資質・能力を明確にする  資質・能力を身に付けさせるための学習過程の質的改善の方法として、主体的・対話的で深い学び...

(2018-01-12)  全て読む

【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.17体育科・小学校編 北海道学校体育研究連盟(小野寺正委員長)「課題解決授業のポイント」

第17回道体研連1課題解決図版 ◆個の問題意識・学びの状況から思考の見える化へ ◎成果と課題から新しい体育科の方向を見る  小学校学習指導要領解説体育編(文部科学省平成29年6月)によると、現行の学習指導要領の成果と課...

(2018-01-10)  全て読む