【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.21特別活動編③北海道特別活動研究会(高橋正行会長)「係活動 実践のポイント」
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-17付)

伝えたい第21回北特活③
学級集会を企画し、マジックを披露する子どもたち

◆常に学級目標達成を意識した活動を

ポイント1 育てたい資質・能力を発達段階に応じて高める

 係活動では、子どもたちに「自主的に活動する力」を育んでいきたい。

 まず、より楽しく豊かな学級生活を送れるようにするために、活動内容を工夫できるようにする。発達の段階を踏まえて、次のような活動内容の工夫ができるように指導していく。

 小学校1年生の入門期には、学級生活にとって必要な仕事を見付けて自分から進んで取り組んで行えるようにする。低学年では、少人数で構成された係で仲良く助け合って活動できるようにする。楽しい学級生活にとって係が必要であるという意識を高め、当番的な活動から創意工夫できる活動に移行していけるようにする。

 中学年では、低学年までの当番的な活動を整理統合し、創意工夫が生かされる係活動を組織していく。協力し合って計画的に活動に取り組めるようにする。

 高学年では、教師の指導に頼ることなく自主的に係活動を進めたり、自分のよさを積極的に生かせるような係に所属したりして、活動の質を高めていけるようにする。

 このような活動内容の工夫によって係活動を充実させ、活動を通して、「楽しい」「役に立つ」「みんなが喜んでくれる」などの情動的な感覚を育てていく。また、どの発達の段階においても、学級目標を達成することを意識した活動にすることが大切である。

ポイント2 係の決め方を工夫する

 「どんな係をつくるとよいか」について学級会で話し合い、自分たちの学級が楽しく豊かになるような係を決める。電気係や配り係など創意工夫ができないものは、1年生の年度当初以外は、当番や日直の仕事として位置付ける。学年が進む段階で、上級生などから情報を得たり、教師が新しい係を紹介したりして活動について視野を広げることもできる。学期の変わり目などで、必要に応じて統合したり、決め直したりすることも考えられる。

 係の設置条件としては、継続的に活動できること、複数で協力して活動すること、創意工夫が生かせることである。

 係の種類(例)として、生き物係、かざり係、思い出係、新聞係、集会係、音楽係、お笑い係などがあげられる。

 所属を決定する際、同じ係への希望が多すぎる場合は、係を二つに分けたり子どもが自主的に譲り合ったりすることができるようにする。学級会で設定した係は、必ず誰かが所属するようにする。その際、希望者がいなかったり少なかったりした係については、みんなでどうしたらよいかを話し合って、どの係も活動できるようにしていく。いくつかの係を統合して行う場合もある。

ポイント3 意欲化を図る取り組み方を工夫する

 限られた日課の中で係活動に取り組むには、活動時間や話し合う時間の確保も必要である。休み時間に簡単な集会を開いたり、朝の会や帰りの会で係からの連絡や発表を行ったり、同じ係で給食を食べる曜日を設定するなどの取組がある。

 係活動が停滞しないためには、係掲示板を工夫する必要がある。係ポスターに、カレンダーを付け、毎月更新していくのである。月初めに係の活動予定を話し合い、カレンダーに記入する。そうすることで、見通しをもって活動することができる。係活動初期の場合は、一週間や二週間のカレンダーでもよい。いつ誰がどんな活動をするのかしっかり計画を立て、即実行できるようにしておくことが大切である。

 また、子どもたち同士で活動へのお礼や要望等を書いて入れるポケットを係掲示板に設置するのも効果的である。係同士で褒め合うことや互いの願いを伝え合うようにすることが次の活動意欲につながる。

 子どもが意欲的に係活動を展開するには、教師が一緒になって楽しむことや教師の言葉掛けが大切である。例えば、クイズ大会やぬり絵大会を一緒に楽しむことで、子どもたちは創造的でワクワクするような係活動にしたいという思いをもつ。そして、教師が活動の頑張りを褒めたり、活動の仕方のよさを全体に広めたりすることで、子どもは満足感をもち、他の係のよさを自分たちの係にも生かしていこうとする意欲を高めることができる。

 その他の方法として、ほかのクラスを探検し、どのような係活動を行っているのか見付けるのも一つの手立てである。係名を見るだけで知りたい、やってみたいと意欲を高めていくことにつながる。

ポイント4 自治的範囲を踏まえた指導を工夫する

 係活動は子どもによる自治的な活動である。だからといって、全てを子どもたちに委ねるわけにはいかない。「自治」ではなく、あくまで「自治的」な活動なので、学習指導要領や学校のカリキュラムに沿っていない内容や、学校外での活動を前提にしている内容の場合は、教師が意図的に関わり、軌道修正をすることが必要である。また、子どもが会費を集めたり、商品を買ったりすることはできないので、金銭に関わることにも留意したい。

(北海道特別活動研究会 札幌市立三角山小学校 教諭 横山健太郎)

※次回は「集会活動 実践のポイント」を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-01-17付)

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