【解説】東京都青少年健全育成条例
(解説 2018-02-05付)

 東京都は、青少年の健全な育成に関する条例を一部改正し、今月から施行した。青少年に自分の裸体を撮影させ、メールで送らせる「自画撮り被害」防止の規定を盛り込んだ。

 警察庁の調査によると、二十九年上半期の児童ポルノ事件による検挙件数は一千百四十二件、検挙人数は七百七十六人、被害児童数は五百九十四人だった。

 被害児童のうち、自画撮り被害児童数は二百六十三人で、四四・三%を占めて最も多く、二十六年同期以降、三年連続で増加した。

 自画撮り被害児童の五二・九%は中学生、三八・四%は高校生。スマートフォンを使用してコミュニティサイトにアクセスしたことに起因したものが七四・五%。八五・九%が面識のない人物から要求されて画像を送っていた。

 自画撮り被害が社会問題となっている中、東京都が今月一日から施行した条例の一部改正では、①自画撮り被害等の防止に向けた普及啓発や教育・相談などの施策を都の責務として規定②青少年のネット利用に伴う危険を回避するのに有益なアプリなどを都が推奨③都内の青少年に裸体の画像など児童ポルノに当たる画像を不当に求める行為の禁止―を盛り込んだ。③に違反した場合、三十万円以下の罰金と罰則規定も設けた。

 小池百合子都知事は、一月の記者会見で改正条例について「全国に先駆けた施行」と説明。

 「自画撮り被害はインターネットを通じて発生しており、東京都であるとか、県の境は関係ない」ことから「東京で一つのモデルの条例をつくったので、全国的に広げて、日本全体で子どもたちを健全に育む社会が実現するような取組を加速していきたい」と述べた。

 東京都では条例施行に合わせ、自画撮り被害防止に向けた集中啓発を二~三月に実施している。

(解説 2018-02-05付)

その他の記事( 解説)

【解説】がん教育推進に向けた施策

 わが国におけるがんの死亡率は年々増加し、昭和五十六年以降、死因の第一位を占めている。  国は二十四年六月、がん対策推進基本計画を決定。子どもに対するがん教育の重要性を示し、健康教育の中で...

(2018-02-13)  全て読む

【解説】食育推進基本計画

 国の食育推進基本計画では、学校給食における地場産物の使用割合増加を目標の一つに掲げている。  基本計画は、これまで第一次(十八~二十二年度)、第二次(二十三~二十七年度)、第三次(二十八...

(2018-02-09)  全て読む

【解説】大学インターンシップ届出制度

 文部科学省は、大学等(大学、短期大学、高等専門学校)におけるインターンシップの届出制度を創設し、六日から申請受付を開始した。  インターンシップの推進等に関する調査研究協力者会議が二十九...

(2018-02-08)  全て読む

【解説】変形労働時間制

 変形労働時間制は「修学旅行の引率業務等に従事する道立学校職員の勤務時間の割振り等に関する要領」に基づき、対象業務に従事する職員の勤務時間を四週間の中で割り振り変更できるもの。四週間における...

(2018-02-07)  全て読む

【解説】高等教育資格の地域規約発効

 文部科学省は一日、高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約が発効したことを発表した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の地域規約で、締約国間で高等教育の資格を相互に承認し、学生や研究...

(2018-02-06)  全て読む

【解説】本道の29年交通事故概況

 道警本部がまとめた二十九年十二月末現在の交通事故概況によると、昨年一年間の交通事故による死者数は、対前年比十人減の百四十八人となり、全国で八番目に多かった。  年間の交通事故発生状況をみ...

(2018-02-02)  全て読む

【解説】北方領土返還運動全国強調月間

 毎年二月と八月は「北方領土返還運動全国強調月間」、今月七日は「北方領土の日」と定められている。期間中には、全国各地で関連行事が行われ、北方領土返還に向けた国民の機運を高める。  強調月間...

(2018-02-01)  全て読む

【解説】学校施設等のアスベスト対策

 文部科学省は、学校施設等における吹き付けアスベスト等の対策状況フォローアップ調査結果(二十九年十月一日時点)をまとめた。調査が未完了なのは四機関、アスベスト等の粉じんの飛散によってばく露の...

(2018-01-31)  全て読む

【解説】子どもの学習費調査

 子どもが幼稚園から高校まで、すべて私立に通った場合の学習費総額は一千七百七十万円で、すべて公立に通った場合の五百四十万円の三・二八倍になることが、文部科学省の二十八年度子どもの学習費調査結...

(2018-01-30)  全て読む

【解説】文化財継承に向けた保存と活用

 過疎化・少子高齢化の進行によって豊かな伝統や文化が消滅の危機を迎える中、文化財保護の充実やその担い手の確保・支援体制づくりが急務となる。国の文化審議会は、そのような状況を踏まえ「文化財の確...

(2018-01-29)  全て読む