教職員の協力を高める学校づくり〈NO10〉 日ごろから積極的な声かけを 〝話が聴ける職場〟の重要性(教職員の協力を高める学校づくり 2018-02-19付)
別項にてコミュニケーションの基礎理論について説明しましたが、コミュニケーションは単なる言葉のやり取りではなく感情のやり取りです。さらに、コミュニケーションは話すことととらえがちですが、最も大切なのは聴くことであり、聴くことであなたを受け入れますという相手へのメッセージとなり、お互いに分かり合うことができると説明しました。
教職員は授業を中心に話すことが職務であるため、職業柄、聴くことよりも話すことを優先する傾向にあります。せっかく、児童生徒が教職員に相談しに来ても相談内容を傾聴するより持論を語り、児童生徒の満足ではなく自分の満足に終わることがあります。同様に同僚の相談や教職員の相談も相談者の満足ではなく、された側の満足で終わることが多くみられます。
道内の教職員の相談に、本校の学校のリーダーは困ったことがあればいつでも相談に来るようにと言うけれど、何かにつけ教職員に対して日ごろから話を最後まで聞かず「ノー」と言い、それでも相談に行くと「今忙しいのが分からないのか」などと恫喝し、しまいには見下すような視線でにらみ付け、露骨にイヤな顔をされるので行けません。しかし、問題が生じたときは必ず「なぜもっと早く言わないんだ」と決まって叱責するので、問題が起こると学校のリーダーよりも同僚に相談し解決することが多いとの相談でした。
日常的なコミュニケーションが築けていない典型的な例ですが、これに近いことはないでしょうか。これでは、問題が生じた時点で相談することができず、自分なりに問題の解消のために手を尽くしたがどうしようもならなくなった報告となり、学校のリーダーに恐る恐る「実は…」と切り出すことになります。しかし、これでは時すでに遅しとなってしまいます。
この場合、相談をしなかった教職員を責めることにはなりません。むしろ日常から相談を受けやすい状態を築いていない、学校リーダーの責任が重大であるといえます。
カウンセリングの基礎理論にアクティブ・リスニング(積極的傾聴)がありますが、今一番重要な仕事は教職員の話を聴くことであると考え、仕事の手を休め「○○の仕事うまくいっているかい」「学級づくり大変と思うけれど、よくやっているね」など日常的に誰にでも積極的に肯定的な言葉がけをしながら、相談を受ける方法です。
ある道立学校教職員は、本校の教頭先生はどんなに忙しくても教職員から相談されると、仕事の手を止め笑顔で相手の立場に立って「うんうん」とうなずきながら身を乗り出して話を聴いてくれるので、忙しいときはこちらから「何時に相談時間が取れるでしょうかと聞くようにしています」と話してくれました。また、自分も学校のリーダーになったときは「この教頭先生みたいになりたい」とも語ってくれました。
職場の協力性が低いと嘆く前に、日常的に相手の話を共感的に受け入れ、安心感や信頼感をもたらせるかかわりをもっているかどうかを振り返ってみてください。聴ける学校リーダーや同僚の存在が、職場の協力性を高めるための大きな要素といえます。
(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-02-19付)
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