教職員の協力を高める学校づくり〈NO9〉 会話はねぎらいの言葉から 決めつけがトラブルの原因
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-02-09付)

 対人関係の中で、相手を怒らせたり萎縮させたり能力の発揮を損なわせたりしてしまうことがあります。このような対人関係に起因するトラブルや悩みを抱えた方の相談を受けると、決まって「失礼なことを言った覚えがない」「どうして相手が憤慨するか理解できない」と自分自身の言動よりも相手の反応に疑問をもっていると話します。当然のように対人関係は双方向の関係で成り立ちます。相手の癇に障ることなくトラブルになることはまずありえません。それは、自分の言動のどこが相手を憤慨させたのかに気づかないだけと理解すべきです。

 また、知らず知らずのうちにそのような言動が特定の同僚や教職員への癖となり、同じようなことを繰り返してしまう可能性があります。特に、校長、事務長や副校長、教頭、主任など学校リーダーの役割をもたれている方が陥りやすい傾向と言えます。

 教職員とのトラブルで相談に来た学校リーダーの方に話を伺うと、差別なく接していると言いますが、大体の教職員は差別されていると答えます。学校リーダーによると相手の教職員は機転がきかない、児童生徒の対応が不十分である、自分とは意見が合わないなど、日ごろからその人に対するマイナスの感情をもっていたと説明してくれました。つまり対人関係のトラブルの一つには、その人が日ごろから同僚や教職員をどのように見ているかに起因していることが多くあります。

 あらためて、同僚や教職員一人ひとりについての印象を振り返ってください。日ごろから特定の同僚や教職員には、不愛想だったり、つっけんどんな言い方をし、負のレッテルを貼っていませんか。当然、対人関係の問題なので負のレッテルを貼られた教職員は、その同僚や学校リーダーに対して「自分を嫌っている」「○○さんの話は聞くのに、私の話には耳を傾けてくれない」などの意識が芽生え、何かのきっかけでトラブルを発生させてしまうことになります。

 また、人は誰しも人より優れていたいという、優位性をもちたがります。つまり、その人は自分にとって一目置いている存在なのか、そうではないのかで接し方が変わる傾向があります。これが相手を傷つけ憤慨させる正体の一つと言えます。特に、相手は自分より下であるという感情をもっている教職員から意見を言われると「普段このような仕事しかできないのに」とか「学級経営が不十分なのに」などと決めつけ、そのような人から意見を言われる筋合いはないなど拒否的な態度を取り「そんな話は聞いていない」「よいことを言うけれど普段はどうなんだ」「○○さんの話は聞きたくない」「ほかにやることがあるだろう」など、はなから高圧的となり無意識のうちにプライドを傷つけたり、無視したり逃げ腰の対応を取ってしまいます。その結果、教職員は正面から向き合ってくれない姿勢に強い不満をもち、それが様々な場面で露呈しトラブルに発展してしまいます。

 教職員の協力を高める学校づくりのために互いに心がけたいことは、相手に決めつけた接し方をしないこと、会話はねぎらいの言葉から入ることなど日常から意識したいものです。

(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)

(教職員の協力を高める学校づくり 2018-02-09付)

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