教職員の協力を高める学校づくり〈NO14〉 ゴールデンウィーク前後を乗り切る 職場見通し声かけと情報連携を
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-04-25付)

 本年度のスタートが切られ、あっという間に数週間過ぎました。ゴールデンウィークを前にした今、同僚の教職員の皆さんや児童生徒に心配な様子は見られないでしょうか。

 ゴールデンウィーク前後は、新しい環境に適応できず、心身に不調が現れる。何をしてもうまくいかない、食欲がない、気分が落ち込んでいる、学校に行きたくない、楽しめないなどの不調が現れ、憂うつな気分に心が覆われてしまい五月病を発症することもあります。

 四月は教職員にとって人事異動による慣れない職場環境、児童生徒は進級による学級替えや進学など、周囲の変化により緊張状態が続き、次第にストレスを蓄積し、メンタル不調を来しやすくなります。しかし、自覚症状があっても「頑張らなければならない」と無理をし、うつ傾向に陥ってしまうこともあります。

 図の簡易的チェックリスト(=表)は自分自身、同僚、児童生徒の様子を顧みる機会に活用して頂ければと思います。当てはまる人がすべて五月病に陥りやすいと言う訳ではありませんが、一般的に几帳面で責任感が強く、感情を出すのが苦手な人、さらに完璧主義でおとなしい性格の人が五月病にかかりやすいと言われています。さらに新卒者のように、理想と現実の違いにストレスを感じたり、児童生徒や保護者とのストレスにさいなまれたり、深刻な状況に陥ったりすることもあります。

 職場で誤解をしてはならないのは、心を病むのは「弱いから」とか「甘いから」ではありません。大人、児童や生徒にかかわらず誰でも陥りやすいのです。

 教育現場の皆さんにお願いしたいことは、職場や学級を見渡し、孤立し孤独感にさいなまれている人はいないかどうかうかがってください。特に四月は新年度スタートの勢いに任せ、元気のない人を見失いがちです。そんな時、教職員には「学校や学年、児童生徒に馴染みましたか」、児童生徒には「新しい学級に慣れましたか」など声かけをしてみてください。しかし「何かあったら、言ってください」とか「困ったことがあったら相談してください」では、「はい、大丈夫です」と答えるしかなく、心の底は打ち明けることはできません。

 ゴールデンウィーク明けを乗り切るためには、教職員同士の声掛け、さらに児童生徒への声掛けと教職員同士の情報連携が求められます。

(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)

(教職員の協力を高める学校づくり 2018-04-25付)

その他の記事( 教職員の協力を高める学校づくり)

教職員の協力を高める学校づくり〈NO.19〉 日常以上に情報交流意識して 教師の教育相談を考える

 一学期のまとめとなる七月となりました。あと、二週間ほどで夏季休業となりますが、中学校の部活動であれば北海道大会を目指す重要な大会が続き、高校は高体連地区大会も終了し、学校祭を数日後に控えた...

(2018-07-11)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO.18〉 日常こそ若手や人を育てる機会 育成が機能しない職場は業務衰退

 「あの先生が異動すると、あとはどうなるのだろう」と教職員や保護者から不安の声を聞くことがあります。学校の管理職は、その先生に代わる先生を希望しますが、なかなかそうはいかないのが人事です。 ...

(2018-06-27)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO.17〉 運動会等は児童生徒を生かす場 すべての教育活動が子を高める機会

 運動会、体育大会の季節がやってきました。学芸会や学校祭(文化祭)とともに学校の二大イベントの一つです。各学校では、児童生徒が生き生きと活躍できるように、授業時数の工面をしながら特別時間を編...

(2018-06-13)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO.16〉 そのきまりの合理的根拠とは 集団秩序は自分たちで築き上げて

 学校の常識は、社会の非常識と批判された時代がありました。私もその渦中、教職員時代を過ごしてきました。  特に問われたのは学校の決まりごとです。学校訪問の際、「この学校の○○という決まりの...

(2018-05-30)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO15〉 保護者から信頼される家庭訪問とは 教師間や学校間で内容共有し交流を

 授業確保のため、家庭訪問を夏季休業中へ移行した学校もありますが、北海道内の学校はゴールデンウィーク明けに予定している学校が多いように思います。今回は「保護者から信頼される家庭訪問とは」と題...

(2018-05-18)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈No.13〉 経営案は職員間で共有化を 活動のねらいと振り返りも大切に

 三十年度の教育活動が、教職員の活気にあふれた姿と、はつらつとして登校してくる児童生徒によってスタートしました。四月は出会いの月であり、新たなスタートの時です。  教育活動は前年度の活動の...

(2018-04-04)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO11〉 教職員の熱意が原動力に 学校改善を図る意味を考える

 職場改善という言葉が教育現場でよく使われますが、教育活動や事務業務にかかわらず、人は経験年数が増え、年を取るにつれて、保守化の傾向を強めてしまいます。経験年数が増え、年齢が進むと今まで築い...

(2018-02-23)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO10〉 日ごろから積極的な声かけを 〝話が聴ける職場〟の重要性

 別項にてコミュニケーションの基礎理論について説明しましたが、コミュニケーションは単なる言葉のやり取りではなく感情のやり取りです。さらに、コミュニケーションは話すことととらえがちですが、最も...

(2018-02-19)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO9〉 会話はねぎらいの言葉から 決めつけがトラブルの原因

 対人関係の中で、相手を怒らせたり萎縮させたり能力の発揮を損なわせたりしてしまうことがあります。このような対人関係に起因するトラブルや悩みを抱えた方の相談を受けると、決まって「失礼なことを言...

(2018-02-09)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈NO8〉 学校リーダーの仕事の依頼方法 貢献意識を高める説明必要

 校長、教頭を含め主任など学校リーダーとして活動する方の中に、教職員に「任せた」「責任は私が取る」とよく言われる方がいますが、思わしくない結果になると、失敗に対して自分が前面に出て責任を取ろ...

(2018-01-29)  全て読む