教職員の協力を高める学校づくり〈NO.19〉 日常以上に情報交流意識して 教師の教育相談を考える
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-07-11付)

 一学期のまとめとなる七月となりました。あと、二週間ほどで夏季休業となりますが、中学校の部活動であれば北海道大会を目指す重要な大会が続き、高校は高体連地区大会も終了し、学校祭を数日後に控えた時期でしょうか。

 また、二期制の学校は別として、小学校を含め、評価、評定に追われる時期でもあります。

 まとめの七月は、児童生徒との教育相談の時期でもあり、教育相談週間を設け、担任の先生を中心に行われています。しかし、一学期末の業務が多忙のため、十分な準備ができないままの教育相談になることもみられます。

 教育相談のための事前アンケートを行ったとしても、教師の「○○君、何か相談したいことはあるかい」の問いに対して児童生徒は当然のように「特にありません」と答えます。その後、教師は相談ではなく、学習指導や進路指導、生徒指導を行います。

 学校訪問の折、教育相談の担当教師に「児童生徒との面談はどのように行っていますか」との問いに、「年間の教育計画に二回位置付けて行っています」と大方答えてくれます。さらに「課題はありますか」との問いに対して、「教育相談の意義が十分に理解されているとは言えず、形骸化しています」と答える学校が目立ちます。

 学校の教職員が行う教育相談の大きな特徴は、教職員から児童生徒や保護者に対して相談できる機会を積極的に設けていることにあります。形態としては呼び出し相談や定期相談があり、問題を未然に防ぐばかりではなく、友人問題や学業の悩み、さらには自分の将来にかかわる内容など、児童生徒の自己実現に向けた学校教育活動の基盤的な機能と言えます。当然、教育相談は、児童生徒と接する教員にとって不可欠な業務であり、担任など特定の教員だけが行うものではありません。

 それでは、具体的にどのように教育相談を進めるのか一例を説明します。

 年間二回、教育相談週間を開催しているのであれば、一学期に行う一回目は児童生徒の教育活動への適応のため、教科の先生や部活動の顧問、養護教諭、さらには相談してみたい先生に相談できるように工夫します。

 事前のアンケートなどは、「学校生活に悩みはありませんか」「勉強に困っていませんか」など、「はい・いいえ」で答えるアンケート内容ではなく、自校の児童生徒の実態に合わせ、「四月から七月まで、学習を進める上での課題や自分なりの頑張りを書いてください」「四月以降、学級内の仲間とどのように接するよう心がけていますか」など、考え方や感想を書いてもらうようにします。

 さらに、教職員には教育相談週間の前に日常以上に情報交流を意識してもらうため、情報交換週間を設けるようにします。

 児童生徒との面談は、上記の例にある「四月から七月まで、学習を進める上での課題や自分なりの頑張り」では、書かれている内容に対して質問を終始するのではなく、「四月以降、力を入れている教科とその理由、さらにどう努力しているのか、課題は何か」など書かれている背景を大切にしながら、具体的に聴き励ますようにします。

 特に、中学・高校の教科の相談では、担当教師へつなぎアドバイスをもらえるようにすると、相談の意義は広がります。くれぐれも、一方的な指導や説諭調ではなく、児童生徒の満足のため聴くことを大切にしながら進めたいものです。

(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)

(教職員の協力を高める学校づくり 2018-07-11付)

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