教職員の協力を高める学校づくり〈NO15〉 保護者から信頼される家庭訪問とは 教師間や学校間で内容共有し交流を(教職員の協力を高める学校づくり 2018-05-18付)
授業確保のため、家庭訪問を夏季休業中へ移行した学校もありますが、北海道内の学校はゴールデンウィーク明けに予定している学校が多いように思います。今回は「保護者から信頼される家庭訪問とは」と題し、家庭訪問の目的やもち方について述べます。
最近は家庭訪問で茶の間などの部屋に入るのは、家庭のプライバシーの問題や訪問時間制約のため、玄関で保護者と懇談し家庭訪問を済ませる学校もあります。家庭訪問の場所は原則として玄関であっても、保護者から「どうぞ、お入りください」と二度、三度勧められると「家庭訪問は玄関が基本ですので」とはなかなか言えないものです。この場合「このたびの家庭訪問は限られた時間ですがよろしいでしょうか。それでは、お邪魔させていただきます」と述べ、茶の間などでお話をすることもあってよいと思います。
家庭訪問の際は、学校で統一して「家庭訪問週間が始まります」と題し、①家庭訪問は○○を目的として行います②お話をする内容は○○についてです③一日に数軒お伺いしますので、一軒当たり○○分を予定し、玄関にて失礼いたしますのでご理解をお願いします(学校により)―など、詳細を記載した案内文を発行するとよいと思います。
特に保護者の中には、仕事を休んで家庭訪問に応じようと思っていたのに「玄関で家庭訪問ですか?」と不信感をもつ場合もありますので、案内文に詳細を記載することは特に大切です。また、訪問に際しては「お手紙に書かれているように、時間が○○時○○分までの家庭訪問です。十分な懇談とはなりませんが、ご理解いただくようお願いします」と先に明示するようにします。
さらに、一軒につき○○分という時間限定のため、つい時間を超過してしまう場合があります。この場合は、つぎの家庭訪問先に「十分程度遅れます」などと連絡を入れるようにしなければなりません。「少し時間が遅れたくらいだから」と安易に考え、連絡をしないと「ルーズな先生」と言われかねません。
家庭訪問は限られた時間で行われますので、保護者のペースで終始し、行き当たりばったりの訪問とならないようにするため、前もって何を話し、聞くのかを決めておくとよいと思います。
前もって、どの担任もふれる内容として、①震災など危機管理時のため、自宅の位置と近隣の避難場所の確認②緊急時の連絡先と場所の確認―などです。さらに担任として保護者と子どもについての情報を共有するため、③健康状況や病歴など配慮を要する面④集団生活を送る上での課題や心配なところ⑤子どもの健全な成長のため学校や担任に望むこと(学校の教育活動への意見やクレームは学校にもち帰り、学校全体や学年で検討し回答する)⑥学校での交友関係や生活の様子(新学期がスタートしたばかりで把握しきれていない面がありますが)―などがありますが、くれぐれも「何かありませんか」と質問し、プライバシーを必要以上に聞くことがないようにしなければなりません。終了後は子どもの健康状態など、教師間や学校で共有化が必要とする内容について交流することが必要です。
(社会福祉法人恵友会監査室長・北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-05-18付)
その他の記事( 教職員の協力を高める学校づくり)
教職員の協力を高める学校づくり〈NO.20〉 本音で話し、肯定的人間関係を 実りある学級懇談会とは
一学期末のまとめとして、七月は学級懇談会を開く学校が多いと思います。 ところが、参加者が減少し固定化され、教師の口から「保護者の参加者がこれだけ少ないのであれば、学級懇談会を年一回にし...(2018-07-25) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO.19〉 日常以上に情報交流意識して 教師の教育相談を考える
一学期のまとめとなる七月となりました。あと、二週間ほどで夏季休業となりますが、中学校の部活動であれば北海道大会を目指す重要な大会が続き、高校は高体連地区大会も終了し、学校祭を数日後に控えた...(2018-07-11) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO.18〉 日常こそ若手や人を育てる機会 育成が機能しない職場は業務衰退
「あの先生が異動すると、あとはどうなるのだろう」と教職員や保護者から不安の声を聞くことがあります。学校の管理職は、その先生に代わる先生を希望しますが、なかなかそうはいかないのが人事です。 ...(2018-06-27) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO.17〉 運動会等は児童生徒を生かす場 すべての教育活動が子を高める機会
運動会、体育大会の季節がやってきました。学芸会や学校祭(文化祭)とともに学校の二大イベントの一つです。各学校では、児童生徒が生き生きと活躍できるように、授業時数の工面をしながら特別時間を編...(2018-06-13) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO.16〉 そのきまりの合理的根拠とは 集団秩序は自分たちで築き上げて
学校の常識は、社会の非常識と批判された時代がありました。私もその渦中、教職員時代を過ごしてきました。 特に問われたのは学校の決まりごとです。学校訪問の際、「この学校の○○という決まりの...(2018-05-30) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO14〉 ゴールデンウィーク前後を乗り切る 職場見通し声かけと情報連携を
本年度のスタートが切られ、あっという間に数週間過ぎました。ゴールデンウィークを前にした今、同僚の教職員の皆さんや児童生徒に心配な様子は見られないでしょうか。 ゴールデンウィーク前後は、...(2018-04-25) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈No.13〉 経営案は職員間で共有化を 活動のねらいと振り返りも大切に
三十年度の教育活動が、教職員の活気にあふれた姿と、はつらつとして登校してくる児童生徒によってスタートしました。四月は出会いの月であり、新たなスタートの時です。 教育活動は前年度の活動の...(2018-04-04) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO11〉 教職員の熱意が原動力に 学校改善を図る意味を考える
職場改善という言葉が教育現場でよく使われますが、教育活動や事務業務にかかわらず、人は経験年数が増え、年を取るにつれて、保守化の傾向を強めてしまいます。経験年数が増え、年齢が進むと今まで築い...(2018-02-23) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO10〉 日ごろから積極的な声かけを 〝話が聴ける職場〟の重要性
別項にてコミュニケーションの基礎理論について説明しましたが、コミュニケーションは単なる言葉のやり取りではなく感情のやり取りです。さらに、コミュニケーションは話すことととらえがちですが、最も...(2018-02-19) 全て読む
教職員の協力を高める学校づくり〈NO9〉 会話はねぎらいの言葉から 決めつけがトラブルの原因
対人関係の中で、相手を怒らせたり萎縮させたり能力の発揮を損なわせたりしてしまうことがあります。このような対人関係に起因するトラブルや悩みを抱えた方の相談を受けると、決まって「失礼なことを言...(2018-02-09) 全て読む