教職員の協力を高める学校づくり〈NO.18〉 日常こそ若手や人を育てる機会 育成が機能しない職場は業務衰退(教職員の協力を高める学校づくり 2018-06-27付)
「あの先生が異動すると、あとはどうなるのだろう」と教職員や保護者から不安の声を聞くことがあります。学校の管理職は、その先生に代わる先生を希望しますが、なかなかそうはいかないのが人事です。
「○○さんのあとには○○さんなし」と話題になることもありますが、今回は若手を含め人材育成法について記載します。
その学校の教育活動のすべてに精通し、困りごとを含めその先生に相談すれば問題の解決が迅速で適切になされ、教職員の安心につながります。
それ以外にも、研究ができる先生、生徒指導が堪能な先生、教務ができる先生など、このようにスペシャルな存在はどこの学校でも重宝されます。
スペシャルな存在がいることに越したことはありませんが、もし、このような教職員が異動となれば、そのあとはどうなるでしょうか。
その先生の異動後、教育活動を円滑に進めることができないとすれば、それは、教職員組織の持ち味を発揮しながら活動していたのではなく、一人の教職員に依存していたことになります。
これは、教育現場に限ったことではありません。六十五歳定年制が間近になり、ベテランの職員が増えていますが、育成機能が働かない職場は、人は育たないばかりか業務も衰退します。
管理職の命題は人材育成であり後継者育成です。それでは、どのように人材を育成するべきなのかと教育関係者に問うと、研修の機会を多くもつようにするなどと話してくれますが、私はそれ以上に、日常にこそ人材育成の鍵があると考えています。
重大な危機管理上の問題以外、教職員から「○○先生、これどうしたら良いでしょうか」「教頭先生、この問題どうしたらいいでしょうか」と問われた場合、皆さんはどう対応しているでしょうか。
問われているのだからアドバイスは当然であり、それは間違いではありません。
しかし、人材育成のためには一工夫が必要です。「○○先生は、どのように考えていますか」「○○先生は、どう対応しようと思いますか」など、聞き返すことです。もしそのとき「考えていません」「分かりません」などの返答ならば、「自分の考え方をもって来てください」とお話をします。
「考えていません」「分かりません」という返答には依存心が隠れています。これでは、自ら考え判断し行動できる自立した人材を育てることにはなりません。その後も何かのたびに「○○先生、相談です」と来るようになり、相談を受ける側は頼りにされていることで満たされますが、相談者は育ちません。また「自分で考えてください」では、突き放された感じを受けてしまいます。
まずは、相談者の考えに耳を傾け「なぜ、そう考えたのか」の根拠と、「どのように解決しようとしているのか」の方策を聞くようにし、アドバイスするようにします。
このように人材育成は、特別なことではなく、教職員や管理職が毎日の勤務の中で意識し、それを繰り返していくことでなされていきます。
(社会福祉法人恵友会監査室長・北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-06-27付)
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