教職員の協力を高める学校づくり〈NO.21〉 長期休業中は子の状況把握を 夏休み明けが危険です(教職員の協力を高める学校づくり 2018-08-10付)
夏季休業中ですが、ことしも例年以上に暑い毎日が続いています。
言うまでもありませんが、夏季、冬季、学年末の長期休業日は、学校教育法施行令第二九条に定められおり、授業を行わない日であって、教職員にとって勤務を要しない休日ではありません。教職員にとって長期休業中は心身のリフレッシュや、普段時間がとることができなかった研究や研修会への参加、部活動やボランティア活動などの良い機会となっています。
しかし、夏休み明けは児童生徒にとって一年を通し危険な時期と言えます。
内閣府の自殺対策白書では、過去四十二年間にわたる十八歳以下の日別自殺統計が発表されました。その中で、最も自殺が多い日は九月一日の計百三十一人で、新学期スタート時に自殺者が多いことが明らかにされました。一概には言えませんが、自殺件数の多さは、学校の再開に関連していると言われています。
児童生徒の活動の中心は学校です。
いじめや周りとの折り合いの悪さ、教職員との不和などから学校に行くことへのプレッシャーがあり、長時間学校にいなければならないことへの憂鬱から不登校になってしまうケースも多くみられ、夏休み明けは不登校も増えてしまう時期です。
「夏休み明け、子どもが朝起きることができなく、学校に行きたくないのは、休み中の夜更かしが原因だ」など一過性として考えがちですが、一学期、教師が把握しきれなかった学校生活へのプレッシャーを抱えていることに起因している事例がみられます。
特に不登校は、なぜ、夏休み明けに学校に行けなくなったのか、自分自身でも自覚できないことがあります。
数日後、学校に行かなければならないと思うと、緊張と不安のあまり寝ることができず、ゲームなどで気持ちを紛らわせ、結果、朝起きることができなくなっている場合もあります。
また、休み明けは、夏季休業に心配な交友関係が広がり、新学期になり、持ち物や服装、態度に心配な変化がみられる児童生徒もいます。
長期休業中は小・中・高校にかかわらず、可能な範囲で家庭訪問や電話をするなど、子どもの状況を把握しておくことは、二学期の教育活動を進める上で極めて重要です。
「夏休みまで児童生徒にかかわりたくない」「夏休みは家庭の責任だから」ではなく、当然、長期休業中であっても大切なわが学校、わが学級の児童生徒です。
私の知っている道内の学校の担任は、学級全員に暑中見舞いを出し、近況を報告する返書をもらい、内容によって家庭訪問をしています。
また、ある学校は期間を区切って希望者を募り、教科ごとの学習会を開催していますが、学習指導とともに休業中の生徒の動向をうかがうことをねらいとしています。
さらに、十分な時間をとることができる夏季休業中に、児童生徒との個人面談や保護者懇談を、あらためて希望者により行う学校もあります。
(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-08-10付)
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