教職員の協力を高める学校づくり〈№26〉 変化を見抜くため適度な距離を いじめ問題の予防と対応(4)(教職員の協力を高める学校づくり 2018-10-24付)
児童生徒の変化を見抜くためには、教師の柔軟な視点とかかわりが必要です。いじめは、みようと思ってみなければ、みえないからこそ担任教師は短学活で連絡事項を児童生徒に告げるだけではなく、教室のリーダーであり、ファシリテーターであることを自覚しなければなりません。
いじめの予防のため、つぎのような様子やその変化に着目してはどうでしょうか。
①学級で発言権をもっている児童生徒の存在と動向
②最近学級で発言力が弱くなっている児童生徒の存在
③児童生徒のグループ同士が閉鎖的になっていないか(ゆるやかな変化はよいが)
④笑わなくなり、忘れ物など日常の行動がゆっくりし、雑になっていないか
⑤人の話はするが、自分のことは言いたがらない
などが考えられますが、特にお願いしたいことは、教師からみて目の届かない位置にいる児童生徒に教師がどうかかわるかです。
気が付くと、知らず知らずのうちに元気の良い子やおしゃべりが得意な子、成績が良く児童会や生徒会、学級役員に就いている子とのかかわりが中心になっていることがあります。中学校や高校の研修会で、気付いたら、一週間に一度も話をしたことがない生徒がいたことを自戒した先生がいました。児童生徒の変化を見抜くためには、児童生徒全員との適度な距離づくりに努めなければなりません。
つぎに、児童生徒の変化を見抜いたり情報収集したりするためには、教育相談の機会以外に昼休み時間、清掃時間、給食の時間などが有効です。
特別な場合は別として、給食準備や清掃活動を児童生徒にだけ任せ、給食は準備ができたあとに教室へ出向き、清掃終了時に点検のためだけに教室へ行くだけでは、いじめの予防や対応の面でも貴重な機会を自ら失っていることになります。給食準備や清掃活動は、児童生徒とかかわる大切な時間であると考え、一緒に作業したいものです。
さらに、教師間の連携です。担任の先生は意識的にほかの先生から、自分の学級をどうみているか聞いてみてください。「本当は心配なことがみえるけれど、余計なことは言わない方が良い」「言いたいことがあるけれど、担任は一生懸命やっているので黙っている方が良い」「あの人とは気が合わないので」などではいじめの未然防止や発見につながらないばかりか、適切な対応を図ることができなくなります。
いじめ対応の原則は、第二十四回でふれたようにチーム対応が原則であり、教師間の連携が強く求められます。間違っても特定の教師を責めることは厳禁です。児童生徒のため、他の先生に聞ける、言える、そしてそれを受け止めることができる教師間の関係が、いじめの未然防止や対応では極めて重要です。
いじめを行う児童生徒の心理は嫉妬心の現れであり、愛情欲求への未熟な表現ととらえることができます。
さらに、教室や集団の中でのステータスが上がることへの快感を得るためや、集団の長(おさ)に君臨するため、他を蹴落とすなどの行為としていじめが行われます。
教師は児童生徒の日常の様子から、「おや、どうしたんだろう」「ちょっと、今日は変だな」「表向きは元気だけれど…」など感じ取っていかなければなりません。
(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2018-10-24付)
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