教職員の協力を高める学校づくり〈No.30〉 公平、公正な態度を意識 学級がうまく機能しない状況への対応
(教職員の協力を高める学校づくり 2019-01-23付)

 「学級がうまく機能しない状況」を起こしてしまう要因は、①授業が分からない②指示が不明確で指導に矛盾がある③差別、区別していると感じる―など、第28回の「学級がうまく機能しない状況」を起こした学級の児童生徒の意見とほぼ同様ですが、「学級がうまく機能しない状況」を防ぐための対応を説明します。

①「しっかり説明している」の勘違い

 「私は授業中、説明すべきことはしっかり説明しています。問題なのは、その説明をしっかり聞こうとしない子どもたちです」また「私の授業は私が責任をもってやっているので、管理職から一々言われたくありません」という教師に、どう指導したらよいかとの相談を受けました。

 教師によっては、「学級がうまく機能しない状況」を受け止めようとせず、このような発言を繰り返す場合もあります。まず、教師には自身の状況を理解させ、子どもたちの側に立った「分かる授業」をどう実践するかを一緒に考えるなど、授業を改善するための具体的な助言が継続的に必要となります。

②ダメなことをダメと言えない

 子どもたちが目の前で不適切な行動を取っても、注意、指導できない教師の存在が問題となっています。

 このような状況を繰り返せば、学級や授業は無法地帯と化します。「生徒を注意、指導することは、嫌われることになり、以降の人間関係がうまくいかないので注意、指導ができない」と話してくれた教師がいました。必要なときに注意、指導をしないことは、逆に教師に対する信頼を失うことになります。

 また、注意、指導は感情的になりキレるのではなくなぜそうなのか理由を明確にし、諭すようにかかわることが大切です。

③何をするか、あいまいな指示、説明

 学級や授業が成立しない理由の一つに、教師のあいまいな指示、説明があります。児童生徒にとって教師の指示、説明で何をしたらよいのか分からない、これからどうするのか理解できなければ、ザワつき、勝手なことをし出すのは当然です。「静かにしなさい」と声を荒げても一向に静まりません。

 その原因は、適切な教師の指示、説明しない教師の責任と言えます。また、それが習慣化すると、指示や説明に習慣的に耳を貸さなくなります。

 児童生徒に指示、説明する場面では大雑把に感覚的に行うのではなく、何をどうしたらよいのか明快に伝えることができるよう前もって検討すべきです。

④差別、区別をしていると感じる

 児童生徒より学級や授業そのものよりも、その先生が嫌いだから指示、指導に従わない場合があります。「先生は成績のいい児童生徒にはいつも何かにつけ話しかけているけれど、私たちには話しかけてくれません」「自分の学生時代の成績や前に勤務していた学校を自慢しながら、いつも上から目線で私たちを批判します」「私たちの意見を聞かず、一部の生徒と勝手に物事を進めます」では、児童生徒ばかりではなく保護者の反感を買うことになります。公平であり、公正な態度を意識しなければなりません。

 「学級がうまく機能しない状況」は、心配な児童、生徒ばかりが起こす問題ではありません。普通に見える子どもたちの学級崩壊が増加しています。

 また、複雑な要素が絡み合っている「学級がうまく機能しない状況」の背景の一つには、教師が上で、児童生徒は教えを請う立場であり下である、という根強い意識が教師側にあるような気がしてなりません。このような力で圧するような古典的な教育指導は、もはやどの場面でも通用しませんし、強い反発を生んでしまいます。

 これからますます、児童生徒の理解と納得が求められる時代と言えます。

(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)

(教職員の協力を高める学校づくり 2019-01-23付)

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