【解説】体力向上の取組事例

（解説 2018-03-14付）

　スポーツ庁が二月にまとめた『二十九年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書』では、調査結果に加え、子どもの体力向上に関する分析や取組事例をテーマ別にまとめている。

　テーマ「運動をしない児童生徒の割合が減少している学校」では、二十六年度の小学五年生と、同じ児童が中学二年生になった二十九年度のデータを比較。一週間の総運動時間が六十分未満の児童は、男子がほぼ同じ割合だったのに対し、女子が小学五年の一三・四％から中学二年の一九・四％に増加。特に、一週間の総運動時間がゼロの児童は、男子は二・九％から四・九％、女子は五・〇％から一三・六％に増加した。

　課題解決に向け、「チーム学校」で運動を日常化する小学校の取組事例を紹介。ポイントとして新体力テストの結果を生かした授業の工夫、児童の計画による年間を通じた学級単位や異学年合同での外遊び、質の高い学習を目指した各運動領域のロードマップの作成などを挙げた。

　中学校では、運動への意欲が高い生徒と低い生徒の「運動の二極化」状態を改善するため、運動好きな生徒を育てる事例を示した。北斗市立上磯中学校の取組を例示。保護者に対する体力向上の取組の周知や徒歩での通学の奨励、学校での授業や体育的行事の充実、市主催のラジオ体操やマラソン大会への参加の奨励などの実践を挙げた。

　結果、三年間で一週間の総運動時間六十分未満の生徒の割合は、男子が一六・八％から二・四％、女子が四二・一％から八・六％へと改善。体力合計点の総合評価Ａ・Ｂの生徒とＤ・Ｅの生徒の割合の差は、男子でマイナス六・九ポイントから三九・二ポイントとなったことを報告している。

(解説 2018-03-14付)