夕張市の30年度教育行政執行方針 オンライン英会話システム活用 公設塾開設に向け準備(市町村 2018-04-03付)
夕張市教委・今勉教育長
【岩見沢発】夕張市教委の今勉教育長は、三月上旬の定例市議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。二十九年度導入した小中高一貫のマンツーマンオンライン英会話システムの活用を充実させる。公設塾の本格実施に向けて準備を進めていくほか、コミュニティ・スクールを導入することを示した。
教育行政執行方針の概要はつぎのとおり。
◇
▼確かな学力を身に付ける教育の推進
学力向上施策として、ICTを活用した教育の充実を図っていく。二十九年度は、小学校において通信環境の整備とタブレットを導入しており、今後も教科に対する興味・関心を高めていく。
一方、三十二年度には小学校における外国語の教科化および大学入試改革を迎えることから、その対策として二十九年度に小中高一貫のマンツーマンオンライン英会話システムを導入した。三十年度はこのシステム活用を充実させ、グローバル人材の育成と特色ある英語教育の推進に努めていく。
また、ALT(外国語指導助手)の活用では、小・中学校のみならず、幼稚園や保育園においても充実させ、英語遊びを通じて外国語に慣れ親しむ環境を整えていく。
二十九年度、ゆうばり小学校では基礎学力向上を目指し、放課後学習支援事業(サポートスタディ)を実施した。
希望する児童数が予想を超えたことから、三十年度も継続して実施していく。
夕張中学校においても、学校との協議を十分に行い、ニーズ調査などを実施した上、必要性について検討していく。
市としては、今後も夕張高校魅力化に継続して取り組んでいく。夕張の高校生のチャレンジを引き出す、夕張ならではの学びのプログラム策定のほか、現在開設準備中の公設塾の本格実施を進めていく。
特に公設塾では、生徒の学力に応じたきめ細かな指導によって、国公立大学を含めた進学につなげていくほか、生徒が主体的に企画し、外部講師を招くキセキの授業の実施など、高校生の未来につながる学びを提供していく。
市では、地域と学校を結ぶ事業として、これまで学校支援地域教育協議会および小・中学校サポート会議を行ってきた。三十年度は、この協議体を基盤とし地域とともに歩む学校としての機能をもつ学校運営協議会(コミュニティスクール)を導入する。
幼小中高特の教育機関と地域がパートナーとなり、子どもたちを支える体制づくりを一層強化していく。
この組織を通じて、地域資源である人材活用を推進し、教育現場の負担軽減とゆとりある教育活動につなげ、一人ひとりの児童生徒へのきめ細かな指導と支援に努めていく。
特別支援教育については、インクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、市障がい児教育促進協議会や夕張市特別支援教育連携協議会などと連携を図りながら、特別支援教育支援員の配置・活用を推進し、一人ひとりの教育ニーズに応じた指導や支援を図るための教育環境の整備を進めていく。
▼豊かな人間性を身に付ける教育の推進
楽しい学校生活を送るため、子どもたちの満足度と意欲、さらに学級集団の状態を確認できるQ―Uを引き続き実施し、観察だけでは気付けない部分を確認し、いじめの未然防止および早期発見、早期対策に努めていく。
三十年度から小学校、三十一年度から中学校で特別な教科として位置付けられる教科「道徳」については、指導方法に関する研修会への積極的な参加、道徳教育用教材の積極的な活用によって、児童生徒の健全な育成に対応していく。
また、二十八年度に策定した認定こども園施設整備基本計画をもとに、二十九年度は市認定こども園基本設計を策定した。三十年度については、実施設計を行い、三十二年度開園に向け着実に進めていく。
▼健やかな心身を育む教育の推進
部活動の活性化については、顧問不足の現状改善のため、道教委が実施する外部指導者活用事業の活用を図っていく。生徒にとって魅力を感じる部活動実施とともに、教職員の負担軽減に向けた取組を推進する。
▼人と人、地域と地域をつなぐ社会教育の推進
三十一年度完成予定の拠点複合施設については、子育て支援・社会教育事業の拠点施設としての役割を担うことから、各種関係団体と様々な事業の協議・検討を図っていく。
郷土学習については、ゆうばり小学校の地域資料室、夕張中のゆうばり歴史・教育資料室を市民に広く公開し、夕張市における学校の統廃合や炭鉱の歴史を学ぶ機会を推進していく。
また、社会科副読本『ゆうばり』を活用した総合的な学習の時間を充実し、特色ある地域学習の推進に努め、子どもたちの郷土愛教育の推進に努めていく。
石炭博物館については、二十八年度から二ヵ年にわたる大規模改修を終え、三十年度はリニューアルオープンする。
郷土文化施設として「地域で支え、かかわり、学ぶ場としての博物館」「地域の記憶を補完する博物館」「変わり続ける博物館」をコンセプトに、北海道百五十年を踏まえ、空知の旧産炭地域の中核施設になるよう、市民利用の促進と石炭産業の歴史を発信していく。
(市町村 2018-04-03付)
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