民主主義が根づく実践を 信岡中央執行委員長あいさつ(関係団体 2018-06-28付)
運動推進を訴える信岡中央執行委員長
二十二日に札幌市内の道教育会館で開かれた北教組の第百二十一回中央委員会における信岡聡中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
今、国会では「働き方改革」の名をかたった「法案」が衆議院で強行採決され、国会を延長する中で参議院でも強行されようとしている。過労死認定基準に当たる残業を認める上限規制をはじめ、一部専門職を労働時間規制から完全に除外し、残業代をゼロにする「高度プロフェッショナル制度」など、企業を優遇し、働く者の権利を奪う「政府案」は廃案しかない。
「高プロ」同様、私たち教職員の「勤務」も、労基法を除外し、時間外・休日勤務手当・割増賃金も支払わないとした「給特法」の規定のもとで、無定量・無制限の「タダ働き」を強いられてきた。
私たちはこの一年間、「連合総研」の調査を契機に、全国的な運動を展開した結果、中教審での議論に漕ぎつけたことは大きな運動の成果である。何としても、今次審議を「給特法」の廃止・見直しと、これに基づく勤務条件改善に向けた交渉・協議を実現する場とさせなければならない。
北教組は、弁護団と協議し、日教組や政党への意見反映を進めてきた。北海道の運動を起点に、抜本的な勤務条件・教育条件改善を勝ち取るため、引き続き広範な運動を展開しようではないか。
一方で、私たちは当面、超勤解消を目指し、「勤務の割り振り変更」による対象業務を拡大させてきたが、「学力向上」策の押し付けなど業務が増加する中で、必ずしも活用できない現場実態に置かれている。引き続き、道教委交渉を強化し、現場の要求に沿う回復を措置させていかなければならない。
今、一人ひとりの子どもの要求に基づき「人格の完成」を目指す教育内容よりも、国に都合の良いものを「学習指導要領」と「全国学力調査」によって定着させ、規範意識や愛国心など、一方的な価値観を押し付ける道徳教育が徹底されようとしている。
こうした政府主導の「政策」は、子どもたちを追いつめ、「いじめ、不登校、ひきこもり」が過去最多となるなど、苦悩を一層深刻化させている。
私たちはこれまで、子どもたちの悩みや叫びに寄り添い、子どもの権利を尊重し、管理主義や体罰を排するなど「子どもの権利条約」の定着と実践を基盤に「学校を変える運動」を進めてきた。
しかし、競争と管理の政策が強化される中で、必ずしも学校で実践され定着してきたとは言えない。
あらためて「子どもの権利条約」が子ども自身をその権利を行使する主体と認める「子ども観」に立つことを確認し合い、学校のあらゆる具体的な場面に子どもの権利と参画を保障する実践の強化が必要である。学校を子どもたちが夢や希望をもって学び、他者との関係性を身に付け、自らが主権者意識を自覚して、社会を変えていこうとする意思が生み出されるところに変えていこうではないか。
北教組が目指す教職員の生活と権利を守り、子どもの側に立つ教育を実現するためには、組合の存在と力が必要である。そのことを若い教職員の皆さんに訴え、加入を進めていくことが喫緊の課題である。
組織拡大センターや青年委員会、昨年からスタートした「全道臨時教職員の会」の取組によって、加入に向けた成果が徐々に表れてきている。七月から始まるサマースクールや教研活動、日常実践を通して、若い教職員が自ら主体的に北教組の運動に自信と確信をもって参画し、組織強化・拡大を図っていく運動の展開が必要である。
二〇一八年度の運動課題の重点は、第一に、改憲発議を断じて許さず、憲法を守り、民主主義を取り戻す道民運動を強化すること、第二に、「給特法」改廃・定数改善など抜本的な勤務・教育条件改善を進めること、第三に、改訂「学習指導要領」に対峙し人権や民主主義を根づかせる実践を強化すること、第四に、こうしたすべての取組を若い教職員の加入拡大につなげることである。
今、安倍政権のもと、民主主義を履き違えた数の暴力が幾度も繰り返される中で、強いものがどこまでも強くなり、弱いものが守られるどころか虐げられている社会状況がつくり出されてしまった。
私たちは、こうした状況に対し、民主主義の理念が息づく社会をつくるため、子どもたちと学び合い、職場の仲間や保護者・住民など身近な人々と語り、連帯してたたかわなければならない。
この中央委員会が皆さんの真摯な討議によってたたかう北教組の当面方針が確定することを心から期待申し上げる。
(関係団体 2018-06-28付)
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