4種校長会長インタビュー① 道小学校長会・本間達志氏 チーム北海道として進む 教員の能力を的確に把握(関係団体 2018-07-12付)
道小学校長会・本間達志会長
―道小学校長会会長としての抱負
道小学校長会は、前年度、昭和三十二年の発足から六十年目を迎えた伝統ある組織である。これまで、北海道の教育が幾多の困難に直面する中、「正論を以って正道を歩む」という理念のもと、校長の職能向上と北海道教育の振興・発展を図ることを目的として、六十年という長きにわたって活動を行ってきた。全道の会員一人ひとりが北海道教育の向上のために、真摯に取組を進めているが、今後も、このような伝統を引き継ぎ、全道の校長と力を合わせながら目的の達成に向けて努力していきたいと考えている。
地域による教育事情は様々かと思うが、各地区校長会が道小という組織を通して、大同団結していくことが大切である。それが全国連合小学校長会の活動の充実にもつながり、ひいては教育改革にも結び付いていくと確信している。
この道小という組織を活性化させるとともに、道教委、道中学校長会、道PTA連合会、民間教育団体などの教育関係諸団体などとも連携を図りながら、「未来を見据え、チーム北海道として進む道小」として、北海道教育の充実に努めていきたいと考えている。
―道小学校長会の抱える課題と対策
各学校においては、二〇二〇年度から全面実施される新学習指導要領や本年度からの移行措置への円滑な実施に向けて、社会に開かれた教育課程の推進、指導体制の整備、校内研修の充実などに取り組んでいるところである。
子どもたちには、変化の激しい時代を生きていくために、基礎的な知識・技能を身に付けるとともに、それらを活用した思考力・判断力・表現力、主体的に学ぶ豊かな人間性などが求められている。
こうしたことを踏まえ、道小学校長会では、近年、本道教育の質の向上を目指す上で、時代の要請に応える「授業改善」が重要課題であると主張してきた。各学校においては、校長のリーダーシップのもと、教師一人ひとりが授業研究を通して研鑚を積み重ね、授業力の向上に努めていかなければならない。
その一方では、今日、学校が抱える問題は、複雑化・多様化しており、いじめ・不登校などの生徒指導上の問題への対応、貧困・児童虐待などの課題を抱えた家庭への対応、特別な教育的支援を必要とする児童への対応、保護者へのきめ細かな対応など、様々な課題が山積している。
さらには、子どもと向き合う時間の確保や時間外勤務等の縮減など学校における働き方改革の推進、教職員定数の改善、服務規律の徹底なども喫緊の課題となっている。
このような複雑化・多様化した課題を解決し、学校が教育課程の改革等を実現していくためには、学校組織全体を「チーム」としてとらえ、対応していくことが重要である。教員には「チームとして自分の力を発揮し、チームとして対応する能力」が求められ、校長には「一人ひとりの能力を的確に把握し、機能させていくリーダーシップや組織マネジメント」が求められる。
また、教員に加えて、外部の多様な専門性をもつ人材の協力を得て、様々な業務を連携・分担しながらチームとして職務を行うことによって、学校の教育力・組織力を向上させることも重要であることから、教員の業務を見直し、本来の業務に専念できるような体制を整備していく必要がある。
―本年度の重点
一点目は、何と言っても研修の充実である。
これについては、道小の研究大会や全連小の全国大会を効果的に活用し、研修を深めることが非常に重要であると考えている。
本年度は、十月四・五日に、第七十回全国連合小学校長会研究協議会北海道大会が第六十一回道小学校長会教育研究函館大会を兼ねて函館市で開催される。大会主題「新たな知を拓き 人間性豊かな社会を築く日本人の育成を目指す小学校教育の推進」、副主題「ふるさとの地から世界を見つめ 新しい社会の形成に向けて挑戦する子どもを育てる学校経営の推進」のもと、研究協議が進められる。全国から二千四百人を超える校長が集い、教育の現状を語り合い、全国の教育の質の向上に向けて、校長としての研鑚を積む場となる。道小学校長会は、八年に一度訪れる全連小大会の開催ブロックとして、充実した大会になるよう準備を進めているところである。
函館市小学校長会が中心となり、道小学校長会が一丸となって全国の校長先生を迎えたいと考えている。参加される全道の校長先生には、グループ討議での司会を担っていただきたいと考えている。前回の北海道札幌大会では、「分科会の充実こそが最大のおもてなし」というキャッチフレーズのもと、大会を成功裏に導いている。本年度も、全道の皆さんの力を借りて、充実した大会にしたい。
二点目は、要望活動の推進についてである。
本年度の道教委への提言書は、タイトルを「“本道教育の一層の充実に向けた教育条件の整備についての提言”~“チーム北海道”として」とした。
内容については、大きく二つにまとめている。一つ目は、「新学習指導要領の趣旨を生かした授業構築に向けた教育条件整備への提言」とし、授業改善を進めていく中での教員の配置、研修充実の必要性、教育環境の整備などについて提言している。二つ目は、「チームとしての学校の実現に向けた教育条件整備への提言」とし、学校が抱える課題が複雑化・多様化し、いじめ・不登校などの生徒指導上の課題への対応など、関係機関等との連携の必要性について提言した。道教委が策定した学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」において示されている取組も含めてまとめている。この提言書はすでに提出したところである。また、各地区の要望をまとめた『北海道文教施策・予算策定に関する要望書』も併せて提出している。八月に行われる文教施策懇談会・各課懇談会にも活用し、教育現場の生の声として教育委員会の皆さんに伝えていきたいと考えている。
加えて、本年四月に実施した「三十年度当初の期限付教諭配置にかかわる実態調査」において、全道における教員未配置による定数欠一人の学校が三十八校、定数欠二人の学校が四校あったことから、今後、こうした問題が起こらないようにしていただきたいとの要望も行ったところである。
様々な要望の中でも、特に、教職員の定数改善については、教員が日々の授業を充実させるための重要な要件であるとともに、生徒指導上の問題への対応や教員の時間外勤務等縮減への対応に向けて欠かせない問題であるので、道教委だけではなく、関係諸機関に対しても働きかけを続けていきたいと考えている。
ほんま・たつし
昭和57年道教育大札幌分校卒業後、札幌市立幌西小に赴任。平成15年札幌市立和光小教諭、18年札幌市立白石小教頭、22年札幌市立手稲中央小校長、25年札幌市立篠路小校長、29年札幌市立発寒西小校長。
昭和33年12月5日生まれ、59歳。帯広市出身。
(関係団体 2018-07-12付)
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