道小が広域人事に関する調査を集計 8割が「授業力向上」 異動対象地区拡大求める声も(関係団体 2018-07-17付)
道小学校長会(本間達志会長)は、三十年度「広域人事に関する調査の集計と考察」をまとめた。制度に参加して良かった点として、三年目終了者の八〇%が「(自分自身の)授業力の向上」、七〇%が「職場の仲間とのかかわり」と回答。対象教諭が三年間勤務していた学校の校長の八六%が学校への貢献を実感していることが分かった。制度の課題・改善点では、「制度適応期間の短縮や延長などの弾力的な対応」「経済的な負担への配慮」「異動できる対象地区の拡大」などを挙げている。
道教委の広域人事制度は二十三年度から開始。教職員の適正配置を促進し、学力向上や生徒指導など、地域における教育課題の改善に資することで、全道的な教育水準を高める。
平均年齢の高い管内の中堅層の教諭が平均年齢の低い管内の学校に異動し、厚則として三年間勤務。異動先で教育実践の中核を担ったあと、異動元の管内に戻り、その経験を生かしていく。また、若年層の教諭は、平均年齢の高い管内の学校で力量を高めたのち、異動元の管内で知見を還元する。
調査の対象は、①三年目終了者本人と異動先校長と異動元校長②一年目対象者本人と異動先校長と異動元校長③戻り人事二年終了者本人とその学校の校長。対象者百三十八人のうち、百二十一人から回答を得た。
三年目終了者本人に対する調査では、制度に参加して良かった点(複数回答可)として、八〇%が「(自分自身の)授業力の向上」、七〇%が「職場の仲間とのかかわり」、五五%が「授業力向上への関与」を挙げている。
一方、大変だった点(複数回答可)として、児童・保護者への対応や環境の違いなどによる「精神的負担」が四五%と多かった。しかし、道小では「担当者の訪問面談によるサポートなどで、広域人事特有の精神的負担は徐々に解消されてきている」と分析している。
三年間勤務していた学校の校長に対する調査では、対象教諭の三年間の様子について「大いに貢献した」「貢献した」合わせて八六%となるなど、多くの校長が学校への貢献を感じていることが分かった。
一年目異動者本人に対する調査では、対象者が前年度の十五人から五人へと大きく減少。自ら制度への参加を希望した割合も前年度から減少している。異動までの準備期間で困った点(複数回答可)として、四〇%が期間の短さを挙げている。
これらを踏まえ、道小は授業実践の幅や視野の広がり、授業力の向上、職場の仲間や家庭・地域とかかわる力の向上などを制度の成果として報告。対象校や各地区にとって「意欲のある教師から他管内の教育状況を知ることができ、職員の意識改革や意欲向上につながる」など制度の良さを挙げている。
制度の課題、改善点については「制度適応期間の短縮や延長などの弾力的な対応」「経済的な負担への配慮(軽減)」「異動できる対象地区の拡大」「異動決定までの期間の配慮」などを挙げている。
また、制度の良さを広めるため、広域人事の経験者が制度について語る場の必要性を指摘。希望者の増加、本人の意欲の向上につなげるため、異動期間終了後、経験者が研究分野を全体へ還元する機会を設けることを提案している。
(関係団体 2018-07-17付)
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