4種校長会長インタビュー② 道中学校長会 橋本直樹氏 学びの継続へ情報共有 本年度は組織改革が節目に(関係団体 2018-07-13付)
道中学校長会・橋本直樹会長
―中学校長会会長としての抱負
会の創立以来「中学校長の職能向上と北海道中学校教育の振興」を目的として、各時代の課題に向き合い、七十年を超える歴史を刻んできた本会の会長の任に就くに当たり、大変光栄なことであると同時に、職責の重さを強く感じている。副会長をはじめ、運営委員・理事・幹事の皆さん、そして何よりも全道二十地区の校長会、五百七十四人の会員の皆さんの支援と協力をいただきながら、北海道中学校長会の歴史と伝統をしっかりとつなげ、諸課題に対し全力で取り組んでいきたい。
ことしは、我々が暮らすこの地が「北海道」と命名され百五十年という節目の年に当たる。先人が積み重ねてきた歴史に想いをはせ、遺業に感謝しながら、財産を引き継ぎ未来へとつなげていく、そうした故郷への想いを新たにする年といえる。
同様に本会も、二十六年度から進めてきた組織体制改革の節目の年を迎える。札幌以外で初めての会長として、新たな組織で道中をスタートさせるに当たり、先達が脈々と積み重ねてきた道中の歴史という縦のラインと全道五百七十四人の会員による横のラインをしっかりとつなぎ合い、未来への新たな道を拓いていきたい。そのためにも、これまで以上に「オール北海道」「チーム北海道」として強固に手をつなげ前進していきたいと思っている。
昨年三月に新学習指導要領が告示され「社会に開かれた教育課程」を目指し、「主体的・対話的で深い学び」の授業改善をベースに、教育効果を高めるべく「カリキュラム・マネジメント」が各校で推進されている。そうした中、移行期間を迎えた本年度、小学校で全面実施されている道徳科や外国語の状況を注視しながら、その学びをしっかりと中学校につなげていけるよう、校長会としても、情報の共有に努めたい。
―中学校長会の抱える課題と対策
本会は、二十六年度から三年間、組織検討委員会を立ち上げ、業務・組織の在り方を検討するとともに、経費の縮減を図ってきた。その中で、広域な北海道だからこそ、インターネットを活用し、各地区との双方向での情報交換によるより確かなネットワークの構築に努めてきた。今後も、ICTの利活用による業務の効率化や経費縮減をさらにみつめながら、各地区の意見・要望をより早く的確に把握し、道教委などの施策へ意見反映していきたい。
また、先ほどもふれたが、組織の在り方については、本年度、歴史的一歩を踏み出すことができた。しかしながら、まだまだレールを先へと引いていく作業が必要である。先日、全日中の理事研に参加した際、政令都市への税源移譲で、揺れ動いている県が多いことを知った。その会議の中で、北海道の取組経緯と、「オール北海道で道産子を育てる」という基本姿勢を紹介し、多くの地区から前向きな評価をいただいた。各地区、各学校によって現状や課題に違いはあるだろうが、各地区中学校長会の連合体たる「チーム道中」として、様々な思いを共有し、全会員が主体意識をもって取り組める組織の醸成を図っていきたい。
ことし、道中の会員数は前年度から十二人減となった。少子高齢化と人口減少社会は、今後ますます深刻化することが予想される。ここ四~五年の北海道の中学校数の変遷をみても、毎年十校前後の減少が続いている。小中一校ずつしかない町村が増加し、小中一貫校や義務教育学校も増加傾向にある。地区校長会の多くは、すでに小学校長会と中学校長会が一体となった校長会で運営されているが、今後、CS化も踏まえると、地区の教育課題に小・中学校が連携して取り組む体制がより一層求められる。道小や各地区の意向も十分にくみながら、慎重にではあるが、道小、道中で統合にかかる議論をスタートしなければならないと考える。
つぎに、教員の働き方改革についてである。近年の採用試験受験者減少や採用辞退者増加の要因の一つには、多忙な学校現場イメージも影響していると考えられる。ことし三月に策定された学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を受けて、市町村では、実情に応じた推進プランや行動計画などが策定されてきている。一週間当たりの勤務時間が六十時間を超える教員をゼロにする取組やスポーツ庁のガイドラインも視野に入れた部活動休養日の目標達成など、各学校で全職員の共通理解や意識改革を図りながら、関係機関とも連携し、主体的に推進していくことが、校長として、待ったなしで求められている。道中としても、各地区、各学校の取組状況を交流し合いながら、より良い推進策を探っていきたいと考えている。
また、同時に、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員などの人的支援によるチーム学校体制の早期実現に向けて、全日中はもちろんのこと、道小学校長会や道PTA連合会などの関係団体とも連携し、道や国へ強く要望していく。
―本年度の重点
本年度の道中は、新組織体制の初年度として「つなげ合い、新たな道を拓く 道中」を合い言葉とし、四月の総会・研修会において、①新たな校長会組織の一体化に取り組みながら、活動の充実に努める②教育課題の解決を図り、学校経営の改善に努める③教育課程の整備と充実、特色ある学校づくり、確かな学力の定着と伸長、体力の向上に努める④円滑な教育活動推進のための教育諸条件の整備・充実に努める⑤教職員の服務規律の徹底、教員の職責に見合った待遇改善に努める―の五つの重点を確認し、校長として、学校からの教育改革の実行や学校における働き方改革を推進し、新しい時代に求められる学校づくりに向けて、これまで以上にリーダーシップを発揮し、より一層の充実に努める決意を新たにした。
また「社会を生き抜く力を身に付け、未来を切り拓く日本人を育てる中学校教育」という研究主題を掲げた四ヵ年年継続研究の本年度は三年目となる。九月二十一・二十二日に開催される第六十回道中研究大会十勝・帯広大会の場では、過去二年間の研究の成果をつなげながら、本年度の重点や決意も踏まえ、各地区で積み重ねてきた実践研究の成果をもち寄り、熱心で学びの多い討議が展開されることを大いに期待している。
教育改革の真っ直中で開催される研究大会であるが、副主題として掲げられた「恵み豊かな十勝の大地から 次世代を担うきらめく子らの 想いをつむぐ学校経営の充実」の姿を全道、全国に発信する大会にしていきたい。
我々に課せられている教育課題はまだまだ数多くある。北海道総合教育大綱や本年度策定された新たな北海道教育推進計画も押さえながら、日々の教育実践の中で、わが国の教育が大事にしてきた不易たるものを土台に、着実に改革に取り組むことが必要である。
北海道中学校教育の振興のために、これまでの先達が積み重ねてきた成果をつなぎ、保護者・地域の理解と協力を得ながら、教育関係機関・関係団体と協働し「チーム北海道」の一員として、粘り強く確実に歩みを進めたいと考えている。
引き続き、会員各位・関係者各位の理解と支援をお願いしたい。
はしもと・なおき
昭和59年道教育大函館分校卒。倶知安町立倶知安中を振り出しに積丹町立野塚小中、クアラルンプール日本人学校、岩内町立岩内第一中、余市町立余市西中に勤務。平成16年蘭越町立三和小教頭、18年岩内町立岩内第一中教頭。21年神恵内村立神恵内中で校長採用となり、仁木町立仁木中、蘭越町立蘭越中を経て、ことし4月から現在の留寿都村立留寿都中へ。
昭和35年9月13日生まれ、57歳。小樽市出身。
(関係団体 2018-07-13付)
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