インクルーシブ教育システム構築へ　共生社会の担い手育成　道特別支援教育学会が函館大会

（関係団体 2018-07-26付）

講演やシンポジウムなどを通して研鑚を積んだ

　【函館発】道特別支援教育学会（五十嵐靖夫会長）は十四・十五日の二日間、道教育大学函館校を会場に第十三回研究大会函館大会を開いた。会員など約二百人が参加。大会テーマ「その先にある特別支援教育―インクルーシブ教育の目指すもの」のもと、基調講演やシンポジウムなどを通して、研鑚を積んだ。

　特別支援教育の開始から十年間で、国や各自治体によって制度や体制の整備が進んできた一方、地域で暮らす中で考えの差異や足りない部分の解決が課題となっていることから、大会ではインクルーシブ教育について理解を深めることを目的とした。

　初日は、基調講演やシンポジウムなどを開催。国立特別支援教育総合研究所インクルーシブ教育システム推進センターの久保山茂樹総括研究員が講師を務め、「インクルーシブ教育システムで目指したい園や学校の姿―共生社会の担い手を育むために」を演題に講演した。

　冒頭、中学校における発達障害通級の指導について「障がいの特性によって、他者との遊びから撤退しかけている生徒が多い。遊ぶと楽しいという自然な感情を引き出し、楽しさを土台にした人間関係の構築を」と呼びかけ、遊びを通したコミュニケーションの充実を図るよう求めた。

　その上で、人間関係を形成するに当たって、①好きなこと・得意なことをさせて傾聴する②心から笑える楽しい時間を仲間と共有する③遊んだあとは、必ず振り返りの機会をもつ―ことが必要と強調した。

　久保山総括研究員は最後に、学校に目指してほしいポイントとして、「管理職のリーダーシップの発揮」「機能的な校内体制の構築」「一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援の実施」など七点を挙げ、各校での実践を要請した。

　講演終了後、「通常学校に在籍する多様な教育的ニーズに応える学習支援の在り方」「“生徒指導”を社会性の育ちの視点から考える～小学生から高校生までの発達段階で必要な支援とは」のテーマごとにシンポジウムを行った。

　二日目は、七テーマごとのシンポジウムのほか、ポスター発表や四人の講師による公開講座などを実施。これらを通して参加者は、指導方法に関する理解を深めていた。

(関係団体 2018-07-26付)