少年の主張オホーツク地区大会 最優秀に美幌町北中・田元君 あたりまえという名の奇跡
(道・道教委 2018-07-31付)

 【網走発】オホーツク総合振興局主催の少年の主張オホーツク地区大会が十九日、網走市立第一中学校で開かれた。管内の中学生十人が日ごろの生活で感じたことなどを発表。最優秀賞には、「あたりまえという名の奇跡」と題して発表した美幌町立北中学校三年の田元克君が選ばれた。

 田元君は、母親の入院をきっかけに普通の生活の大切さを実感。当たり前の日常があることに感謝し、「ありがとう」の思いを感じるきっかけになってもらえればと訴えた。田元君は九月七日に札幌市内のかでる2・7で開かれる全道大会に出場する。

 田元君の発表概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 「ただいま」「おかえり」「きょうはどうだった?」

 家に帰れば、家族と交わせる何気ない会話。同じように、蛇口をひねればきれいで安全な水が出てきたり、スイッチ一つで簡単に電気がつく生活。みなさんは、こんなにも平和で便利な毎日を、「あたりまえ」だと思ってはいないだろうか。現に今、人や物の大切さや礼儀を忘れている人が増えていると僕は感じる。

 人は、「こうしたい」「ああしたい」と理想を求め、その理想が叶わなかったときには、「もう嫌だ」「死にたい」などという言葉を簡単に発してしまう。

 「ちょっと言ってみただけ」「本心じゃないし」と思う人もいるだろう。けれど生きたくても生きられない人が、この世界には何万人といる。そして、その人を必死に支えている人たちもいるのだ。

 確かに生きることが苦痛だと思うときは、生きていれば幾度となくある。でも、自分以外の人たちに思いを馳せるとき、生きることと必死に向き合っている人、「死にたい」という言葉を聞いた人たちの思いを考えたときに、そのような言葉が本当に言えるだろうか。

 二〇一七年七月一日、歌舞伎俳優市川海老蔵さんの妻で、フリーアナウンサーの小林麻央さんが亡くなった。彼女は「力強く人生を歩んだ女性でありたいから、子どもたちにとって強い母でありたいから、病気の陰に隠れている自分とお別れしよう」という思いから、進行性の乳がんであることを告白し、どんなにつらくても、日々の様子をブログに綴った。強い思いで始めたブログを一日も絶やさず、懸命に上げ続けた。そこには、「あたりまえではなく、生きている一日一日を大切にしよう」という彼女の思いがあったのだと思う。

 僕の母も、つい数ヵ月前まで入院生活を送っていた。昨年の四月、突然体調が悪くなり入院することになった。それから、僕の「あたりまえ」は一変した。

 普段、帰れば聞こえてくるはずの「おかえり」が聞こえなくなった。お腹が空いたら、「きょうのご飯、何?」、学校で何か嫌なことがあったら、「きょう学校でさ…」などと相談できた「あたりまえ」が消えた。

 かけがえのない人が、突然、自分の日常からいなくなる、それだけで、僕の日常は、非日常へと変わったのだ。

 それから母が入院していた一年間、僕はずっと「日常とは何か」「あたりまえとは何か」ということを考えていた。たぶん、「あたりまえ」とは、本来の姿ではないのだ。そしてそれは、小さな小さな奇跡の組み合わせでできているものなのだ、と実感した。

 「あたりまえ」の対極にある言葉は、「ありがとう」だと聞いたことがある。「有ることが難しい」「有り難し」からの言葉だそうだ。

 あなたのあたりまえの毎日も、何かが一つでも欠けた瞬間、それは「あたりまえ」でなくなる。人は、あり得ないことが起こった時だけが「奇跡」だと思ってしまうが、それは違う。いつも私たちのそばで、今この瞬間も起こっているのだ。奇跡だからこそ、「有り難い」のであり、「ありがとう」という思いが沸き起こるのだと思う。

 僕は、この主張文を聞いてくださった方々に、毎日ではなくても、何かの折にふと、あたりまえの日常があることに「感謝」をし、「ありがとう」の思いを感じるきっかけになってもらえればと思う。

 「あたりまえ」という奇跡と、「ありがたい」感謝の思い、「ありがとう」を感じながら、僕は一日、一瞬をしっかりと生きていきたい。

(道・道教委 2018-07-31付)

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