新たな事業モデル構築へ 東神楽町学校給食活用事業計画
(市町村 2018-08-23付)

 【旭川発】文部科学省委託事業「社会的課題に対応するための学校給食の活用事業」の指定を受けた東神楽町教委は、本年度取り組む事業計画をまとめた。研究開発テーマ「食品ロスの削減」のもと、学校給食の過程で発生する食品ロスを削減する新たな事業モデル構築や、新たな学校給食調理法やレシピの開発に取り組む。

 事業計画の概要はつぎのとおり。

【研究開発テーマ】

▼「食品ロスの削減」

【事業目標】

▼「学校給食の過程で発生する食品ロスの削減を図る手法の確立を目指すとともに、この成果による新たな食育の展開を図る」

【事業概要】

▼学校給食を活用して食品ロスの削減を行う新たな事業モデル

▽学校給食の残食や調理時に発生する野菜などの廃棄物を肥料に転換して活用するシステムを構築する

▽製造した肥料を学校農園で使用して児童が野菜などを栽培し、それを学校給食の食材として活用する

▽前期の取組を活かし、児童に対して食やリサイクル、給食への関心や意識を高める新たな食育を実施する

◇手順

▽名寄市立大学による研究等

▽研究結果に基づいた調理作業工程マニュアルの改訂

▽実施検証

▽学校菜園の肥料として活用

▽栽培された作物を学校給食で利用

▽小・中学校の九年間を通じた食育カリキュラムの構築

▼食品ロス削減を目的とした学校給食献立の新たな開発事業モデル

▽学校給食の食材として規格外野菜などを利用するための調理や加工方法を開発する

▽食品ロス削減につながる新たな学校給食レシピを開発して、実際に学校給食として提供する

▽食品ロスを削減することによって地場食材利用率の向上を図る

◇手順

▽旭川大学短期大学部によるメニュー開発

▽新メニューを学校給食で提供

【成果指標】

▼評価指標

▽学校給食から発生する食品廃棄物の減少量(現状値:一五・五㌔㌘、目標値:七㌔㌘)

▽新たな学校給食のレシピの数(目標値:二〇品目)

▽新たな学校給食レシピのメニュー提供日の残食減少率(残食率:一〇・五%、目標値:五・〇%)

▽献立上の工夫による残食減少率(残食率:一〇・五%、目標率:六・〇%)

▽個に応じた盛り付けの量の工夫等による残食減少率

(残食率:一〇・五%、目標率:六・〇%)

▽食品ロスの削減に関する保護者向け事業報告会を開催(目標:五回―各校一回)

▽食品ロス削減への意識の向上(現状値:六七・四%、目標値:八〇・〇%)

▽食育授業の回数の増加(現状値:八回、目標値:十五回)

▽新たな学校給食レシピの提供回数(目標値:三回)

▽地場食材の利用の増加率

(現状値:一〇・六%―二十八年度、目標値:一五・〇%)

▼評価方法

▽東神楽小学校の給食から発生する食品廃棄物の量を五月と二月にそれぞれ調査、比較する

▽食品ロスの削減につながるレシピを集めた本に掲載する新たなレシピ数をカウントする

▽新たな学校給食レシピのメニュー提供日の残食率の変化を調査

▽献立上の工夫による残食率の変化を調査

▽個に応じた盛り付けの量の工夫等による残食率の変化を調査

▽食品ロスの削減に関する取組等について報告会を実施

▽児童や保護者、教職員等へアンケート調査を実施

▽食育授業の日数をカウントする

▽新たな学校給食レシピ本の掲載メニューの提供回数

▽購入金額ベースに占める東神楽産野菜の割合を調査

▼実践内容(方法)

▽名寄市立大学と連携し、食品ロス削減に関する調理法の研究等を行うことで、調理作業時の食品ロスを改善し作業効率を向上させ調理時に出る皮や残菜部分の削減を目指す。また、食品ロス削減に関する調理法を導入し調理した新たな学校給食レシピのメニューを提供。調理法の研究によって調理にかけられる時間を増やし、おいしい給食を提供することで残食量の減少につなげ最終的に出される食品廃棄物の減少を目指す。そのために東神楽小の給食から発生する食品廃棄物の量を五月と二月にそれぞれ調査、比較することで食品ロス削減に関する調理法の研究等の効果について検証する

▽食品ロスの削減につながるレシピ本を制作する。制作するレシピ本には、学校での食品ロス削減に関する新たな調理法や取組などを前半で紹介。また、家庭でできる食品ロス削減への取組についても提案。後半では、新たな調理法などを活用しつくられた給食レシピを掲載し、保護者や児童生徒などに取組を身近に感じてもらえるような内容とする。また、レシピを活用し町民を対象とした料理講習会を開催。実際に学校で提供される給食レシピを調理しつくることで一般家庭への食品ロスの削減意識向上を目指す

▽新たな給食レシピは食品ロスの削減につながる調理法を活用したものとすることで調理過程におけるロスの削減とおいしいメニューを提供することで残食の減少を目指す

▽行事食や農家の圃場を借りて行う田んぼの学校で育てたお米を使用するなどして、子どもたちを「食べたい」気持ちにする給食を提供することで残食率の改善を目指す

▽個に応じた盛り付けの量などを工夫することで必要な栄養量を確保しつつ無理なく給食を食べ残食の減少を目指す

▽各校に設置されている学校運営協議会などの機会を活用し、食品ロスの削減につながる取組などについて報告し、興味をもってもらい家庭での食品ロスの削減へ意識の向上と、取組へのきっかけとする

▽事業を実施し、また、提供される学校給食メニューの変化、広報紙での周知、学校運営協議会等での報告会を通して、子どもや保護者、教職員などの食品ロスの削減への意識の向上を目指す。そのため、子どもや保護者、教職員へアンケート調査を実施し、食品ロス削減への意識の向上について効果を検証する

▽小・中学校で実施する食育授業の日数を増やし、子どもたちの食や健康への関心、理解を深める。一年間に実施した食育授業の日数をカウントし、前年度の実施回数を比較検証する

▽事業で新たに作成する食品ロスの削減につながるレシピ本のメニューを学校給食で提供する

▽食品ロスとなっている規格外品の東神楽産野菜を名寄市立大学と連携した食品ロス削減に関する調理法等の研究などを行うことで、規格外品野菜の活用を進め地場食材の利用の増加を目指す。そのために、購入金額ベースに占める東神楽産野菜の割合を調査し、規格外品の東神楽産野菜の活用について検証する

【事業成果の周知方法】

▽町および各学校のホームページに学校の食育事業のページを作成する

▽事業の経過をホームページ・フェイスブックや町広報紙などに随時掲載する

▽レシピ本を町広報紙やフェイスブック、ツイッターアカウントに掲載し広く周知する

▽レシピ本には、食品ロスの削減につながる調理法やそれを活用したレシピメニューを掲載することで楽しく学校給食ができる過程や食品ロスの削減に向けた取組について紹介し、他の市町村等の参考にしてもらう

▽メディアに対して事業全般のレクチャーを行う

▽レシピ本は、ホームページで公開するとともに、町内の全児童生徒のほか、全都道府県と全国の政令指定都市に送付する

▽クックパッドの北海道公式アカウントでレシピを紹介してもらえるよう適宜周知する

▽学校運営協議会などで事業報告会を開催する

▽文部科学省のメーリングリストを活用し、広く全国へ活動を伝える

(市町村 2018-08-23付)

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