札教研 小中の各外国語研究部 幌西小で初の合同学習会 教育実践の情報を交換
(市町村 2018-08-27付)

札教研外国語部会全体会
小・中学校の教職員100人が参加。それぞれの観点から考えを交流した

 札幌市教育研究推進事業の小学校外国語・外国語活動研究部と中学校外国語研究部は二十一日、札幌市立幌西小学校で初めての合同学習会を開いた。市内小・中学校の教職員約百人が参加。小学校三~五年生の外国語活動の授業を参観したほか、交流学習会で小中それぞれの立場から意見を交換するなど、研鑚を積んだ。

 小学校外国語・外国語活動研究部と中学校外国語研究部では、本年度から新学習指導要領の移行期間となることから、中一ギャップの解消など、小中連携の観点から今回初めて合同学習会を開いた。

 この日、小学校三~五年生の授業を公開したあと、交流学習会を実施。あいさつに立った小学校外国語・外国語活動研究部の石原和人部会長(札幌市立元町北小学校長)は、中学校教諭に対して「小学校の授業をどう思ったのか率直な意見をお願いしたい」と呼びかけた。

 また、会場校の足立教校長があいさつ。小・中学校の教職員が一堂に会する貴重な機会となることにふれ、実りの多い学習会となることに期待を寄せた。

 続いて、小学校外国語・外国語活動研究部の西森美紀研究副部長と、中学校外国語研究部の柳岡拓哉研究部長がそれぞれ研究内容を説明。西森副部長は二十九年度に発足した同部についてこれまでの研究内容などを、柳岡部長は全市共通研究テーマ「コミュニケーション能力の育成を目指し、四技能を統合した活動を創造する授業の研究」のもと、活動に取り組んでいることなどを説明した。

 このあと、三~五年生の授業ごとに分かれて交流学習会を行った。授業の感想のほか、小学校外国語、中学校英語について交流。小学校教諭から「どのような姿をもって進学させたらよいか」、中学校教諭から「話す活動や書く活動をどの程度実施しているのか」などの質問が出たほか、見学した授業について「コミュニケーションを円滑にするための方策が構成されていた」との感想が挙がるなど、活発に意見を交換した。

 今後は、来年一月にも中学校の授業を参観する交流学習会の開催を予定している。

◆3~5年生 外国語活動公開

 札幌市教育研究推進事業の小学校外国語・外国語活動研究部と中学校外国語研究部の合同学習会では、幌西小の教諭がそれぞれ三~五年生の外国語活動の授業を公開した。

◇3年 好みを尋ねる

 このうち、三年二組(児童数三三人)の「Let’s Try!1 Unit4 I like blue.」を阿部勇登教諭が指導。本時は四時間扱いの四時間目で、目標を「相手に伝わるように工夫しながら、積極的に自分の好みを紹介したり、相手の好みを尋ねようとしたりする」と設定した。

 阿部教諭は、前時に「Let’s Try!」内にある単語の中から好きなもの(野球やニンジンなど)を四つ選ばせた。

 本時では、クラスメートに「Do you like ~?」を使ってその四つが好きかどうかを質問し、自分と似ている人を見つける授業を展開。会話に慣れ親しめるよう、ウォーミングアップなどで、既習の英語表現で会話させるなど自然な定着を図ってきた。また、中間交流では、尋ねられた単語を聞き返す方法についても確認させた。

◇4年 友達同士伝え合う活動を

 四年四組(児童数三三人)の「Let’s Try!1 Unit6 ALPHABET」を大原拓幸教諭が指導。本時は四時間扱いの四時間目で、目標を「好きなキャラクターの頭文字を集める活動を通して、相手に配慮しながら、友達と自分の好きなキャラクターを伝え合おうとすることができる」と設定した。

 大原教諭は、アルファベットの大文字カードを授受する活動について、他者理解の要素を取り入れた授業を展開した。

 事前に児童自身が好きなキャラクターの絵と名前を書いたものを一覧にして配布。誰がどのキャラクターを好きなのかを予想し、質問し合う活動を行った。

 中間交流では、英語で書かれたキャラクター名が読めなくて困っている児童がいたことから「What character do you like?」で質問できることを説明するなど、円滑にコミュニケーションが取れるよう配慮した。

 また、児童の「○○さんがこのキャラクターが好きなことを知らなかった」などの感想を取り上げることで、クラスメートの良さを実感させた。

◇5年 買い物RPG

 五年四組(児童数三三人)の「Hi,friends!1 Lesson6 What do you want?」を佐々木希教諭が指導。本時は四時間扱いの四時間目で、目標を「欲しいものについて“What do you want?”と進んで尋ねたり、それに答えたりしようとする」と設定した。

 佐々木教諭はアルファベットを使って好きな言葉をつくる活動を展開。店員と客に分かれ、会話を通してアルファベットカードを集めさせた。

 実施に当たっての目標として、店員は「目を見て、丁寧に接客する」、客は「欲しいカードをしっかり伝える」と設定。店員は丁寧な接客という目標で、“want”を、客はしっかり伝えるという目標で“please”を使うように意識させた。

 全体交流では、児童に集めたカードを一つ一つ実物投影機に写させた。一つ一つ写させることで、どんな単語になるか予測させるなど、興味・関心をもたせた。

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札教研外国語部会授業公開
4年4組では、好きなキャラクターを題材にクラスメート同士で質問し合う授業を展開した

(市町村 2018-08-27付)

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