食品ロスの削減を研究 東神楽町教委が文科省指定事業 学校給食メニュー開発など(市町村 2018-08-23付)
【旭川発】東神楽町教委は本年度、文科省委託事業「社会的課題に対応するための学校給食の活用事業」の指定を受けた。東神楽小学校を実践校とし、旭川大学短期大学部や名寄市立大学、PTAの関係者、栄養教諭などと協力して、学校給食を活用した食品ロスの削減を試みる学校給食メニュー開発や調理法、小・中学校の九年間を見通した食育カリキュラムの構築などの研究を進めていく。
事業は、食品の生産・加工・流通等の関係者と連携して、学校給食で使用する食品の調達方法や、大量調理を前提とした調理方法、調理技術を新たに開発するほか、学校給食費の徴収管理業務の在り方を見直すなど、学校給食の業務手順や実施方法などの仕組みを再構築することを目的としている。
研究開発テーマは四点から選択でき、東神楽町教委は「食品ロスの削減」に取り組むこととした。
町教委は、二十六年度から二年間にわたって文科省スーパー食育スクール事業に取り組んだ実績があり、今回の研究や事業実施に当たって、ノウハウや取り組む意識が備わっている。また、町内の小・中学校五校の学校給食がすべて自校調理とランチルーム方式となっており、研究を効果的に進める環境を整備済。さらに、栄養教諭配置校以外の学校に町単費で栄養士を配置しているほか、町の食育推進計画が策定済みであること、町の食育推進会議が常設されていること、旭川大などと包括連携協定を締結しているため連携研究を円滑に実施できることなどの強みを生かせると考えている。
現在、町は農林水産省の「食料産業・六次産業化交付金(地域での食育の推進事業)」の指定を受けており、食の大切さや食文化の継承、和食への理解を深め、次世代へこれらの食育活動を引き継ぐ機会を提供する研究を進めている。町教委は、この事業とも連動させて取り組んでいく。
研究に当たって、学校給食活用検討委員会を設置。検討委は、旭川大短期大学部や名寄市立大、PTA、農業の関係者、栄養教諭などで構成する。事務局は町教委に置き、実践校には、東神楽小を指定。旭川大短期大学部と名寄市立大に研究開発の協力を依頼する。
具体的な取組として、①学校給食を活用して食品ロスの削減を行う新たな事業モデル②食品ロス削減を目的とした学校給食献立の新たな開発事業モデル―の二点を展開。
①については、名寄市立大を筆頭に、研究結果に基づいた調理作業工程マニュアルの改訂や、実施検証、学校菜園の肥料としての活用などに取り組む。
また、三十一年四月に小中一貫教育校を設置することも見据えて、九年間を通じた食育カリキュラムの構築を検討していく。
②については、旭川大短期大学部を筆頭に、学校給食の食材として規格外野菜等を利用するための調理や加工方法を開発するなど、食品ロス削減につながる学校給食レシピを開発していく。
今後は、研究内容検討会や検討委員会などを開催するほか、道外の先進地視察などを予定している。また、食品ロスの削減につながるレシピをまとめた本を作成することとしており、十月ころから作業に取りかかり、十二月中に完成させる予定。
また、農水省事業とも連携を図って、開発したレシピを活用してもらうなど、和食給食の普及や、食文化の保護・継承のための取組支援などにも参画して研究を進めていくこととしている。
水野和男教育長は「子どもたちにとって、地元の食材を大切にする意識を高めて、もっと地元のことを知ってほしいという願いがある。九年間を見通した食育のカリキュラムの構築も図るため、生活習慣の改善につながれば」と期待を寄せている。
(市町村 2018-08-23付)
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