あすチャレ教員研修会兼ね開催―札幌市教委 多様な人に適した配慮を オリパラ教育地域セミナー
(市町村 2018-09-11付)

札幌市教委オリパラ教育地域セミナー
あすチャレ教員研修では、ゴールボール選手として活躍する高田さんが講師を務めた

 札幌市教委は八月三十一日、STV北二条ビルで三十年度オリンピック・パラリンピック教育推進事業の地域セミナー兼「あすチャレ!スクール(=あすチャレ)」教員研修会を開いた。事業の研究推進校の教職員など三十四人が参加。実践発表やパラリンピアンによる講話、ワークショップを通し、効果的なオリパラ教育の実施に向けて理解を深めた。

 研修会は、本年度の研究の充実を図り、オリパラ教育にかかる理解を深めることを目的に開催。

 あすチャレは、二十八年度から日本財団パラリンピックサポートセンターが主催し、パラアスリート講師による講話やパラスポーツ体験などが組み込まれたプログラム。「障がいとは何か」「夢や目標をもつ力」などを学んでもらうことで、気づきを与え“明日へのチャレンジ”につなげてもらうことを目的としている。

 市教委では、オリパラ教育推進事業とあすチャレの目的が合致することから、昨年、参加を申請。オリパラ教育推進事業の研究課題「オリンピアン・パラリンピアンや、学識経験者などを講師に招いて行う体験的な学習」を行う十五校のうち、五校であすチャレを実施した。

 この日、はじめに教育課程担当課の末原久史企画担当係長があいさつ。研修の講師にパラリンピアンを招いたことなどにふれ「社会に存在する障がいを一人ひとりが視点を変えることで勇気をもって行動し、障がいを取り除くといったパラリンピック教育のねらいを知ることで、各学校における実践を充実させていただきたい」と話した。

 地域セミナーでは、札幌市立三里塚小学校の神島正和教頭と、札幌市立北白石小学校の佐藤学教諭が実践発表。

 また、早稲田大学オリンピック・パラリンピック教育研究センターの岡田悠佑研究員がオリパラ教育の全国動向について、オリンピアンなどを講師に招き講演を行う学習で、講師と教諭の対談が行われた他都市の事例を紹介した。メリットとして、児童生徒の実態に合わせた内容設定が可能なことなどを挙げた。

 このあと、あすチャレの教員研修を開催。鈴木圭一企画担当係長が講師の高田朋枝さんについて、視力に障がいがある人に向けて考案された球技“ゴールボール”の日本代表として北京パラリンピック大会に出場したことや、現在はあすチャレの講師を務めながら、二年後の東京パラリンピック大会の出場を目指していることなどを紹介した。

 高田さんは、あすチャレについて、映像などを用いて紹介。代表児童生徒のみ、パラスポーツを体験してもらう理由として「応援する楽しさ、応援される良さを知ってほしいから」と話した。

 つぎに、グループワークを実施。高田さんの経験談から、障がいのある人への配慮などについて話し合う活動などを通し、考えを深めた。

 また、高田さんは、障がいについて、①Impairment(機能障がい)②Disability(障がい)―の二つに分けられることを説明。①は見えない・聞こえないなど、機能に障がいがあることを指す、②は機能障がいのある人を考慮しない社会における差別や排除、不利益のこと、と伝えた。

 「社会がつくり出している障がいは、機能障がいが原因ではない」と強調。障がいが二つに分けられている理由として「人は多様な存在である」という前提理念を提示し「障がいがある人がいて当たり前」という認識をもつことで、多様な人に適した配慮がある社会となることを伝えた。

 あすチャレなど、障がいの理解に関する授業を行う際には「ぜひ、機能障がいと障がいを分けて伝えてほしい」と訴えた。

(市町村 2018-09-11付)

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