道小の校長退職者動向アンケート　「再任用で勤務中」２倍に　役付再任用は８割が希望せず

（関係団体 2018-10-03付）

道小・校長退職者の動向等に関するアンケート調査（クリックすると拡大表示されます）

　道小学校長会（本間達志会長）は、校長退職者の動向等に関するアンケート調査結果をまとめた。ことし三月三十一日退職者の現状は、「再任用で勤務中」が前年度の約二倍となる二九・四％と大きく増加。再任用の勤務内容は、「学級専科やＴＴ」が約半数を占めている。新しく設けた役付再任用制度の設問では、約八割が「希望しなかった」と回答。「精神的に疲労が大きすぎる」「住んでいる管内に制度がない」「後進に道を譲る」などを理由として挙げた。再就職の勤務内容は、教育委員会関係、社会教育関連施設合わせて五割以上となり、教育に携わっていた経験を生かすことのできる職業に就く傾向が続いている。

　アンケートは、札幌市を除く道内の公立小学校のうち、ことし三月三十一日に退職した百六十六人を対象に実施。百十九人（七一・七％）から回答を得た。

　退職前の就職の計画や希望に関する項目をみると、年々上昇していた「再就職」が前年度比四・二ポイント減の五三・八％と減少に転じた。

　一方、「再任用」が八・一ポイント増の二六・一％、新設の回答項目「役付再任用」は五・〇％にとどまった。

　現在の状況は、「再就職で勤務中」が七・六ポイント減の五八・八％とやや減少。一方、「再任用で勤務中」は、前年度の一四・四％から約二倍となる二九・四％と大きく増加した。

　再任用・再就職を希望しない理由では、「再任用や再就職しなくても、生活に窮することがないから」が一九・二ポイント増の四〇・九％、「精神的・肉体的に疲労し、勤労意欲が湧かなかった」が一一・九ポイント増の一八・二％といずれも増加した。

　新しい設問「役付再任用制度希望」をみると、八二・二％が「希望しなかった」と回答。理由として「精神的に疲労が大きすぎる」「住んでいる管内に制度がない」「後進に道を譲る」「フルタイムでの勤務は希望しない」「責任の重さ」などが多かった。

　再任用の勤務内容は、「学級専科やＴＴ」が四七・二％と約半数を占めており、「学級担任」が二二・二％、「退職者人材活用事業」「初任者指導時間講師」がいずれも一一・一％などと続いた。

　一方、再就職の勤務内容は「教育委員会関係（アドバイザー・補導員など）」が四三・一％、「社会教育関連施設（公民館・児童館など）」が一〇・八％。合計で五割を超えており、道小では、教育に携わっていた経験を生かすことのできる職業に就く傾向は「今後も続くことが想定される」としている。

　再就職の一ヵ月当たりの給与は、十三万円から二十万円が全体の七割を占める。

　残り三割は二十五万円以上で、上昇傾向にある。

　「退職時の不安解消のために必要なこと」（複数回答可）の設問では「再就職に関する情報提供」「年金支給までの健康保険の延長」がいずれも四六・二％となり、高い傾向が続いている。

　道小では、再任用での勤務率が上昇している傾向に関し、これまでの経験を生かせるという声がある一方、現校長の学校経営の支障になること、定数内での再任用の場合、新規採用枠を圧迫することなどへの懸念の声があることから「定数外（加配等）での再任用が望まれる」と指摘している。

(関係団体 2018-10-03付)