道都市教委連文教施策要望に対する道教委回答 学校施設整備予算を確保 教職員定数一層の改善・充実(関係団体 2018-10-05付)
道都市教育委員会連絡協議会(会長・長谷川雅英札幌市教育長)、道都市教育長会(同)が道教委に提出した三十年度文教施策要望に対する道教委の回答の概要はつぎのとおり。
▼公立文教施設の整備促進について
(1)学校施設環境改善交付金の確保―重点
三十年度当初は、耐震補強および昨年度からの継続事業である危険改築や不適格改築、ならびに四十年以上の老朽化に伴う大規模改造事業などの事業は採択された。
なお、採択方針で優先採択されなかった大規模改造(法令)や屋外教育環境事業などについては、国に対し、全国施設主管課長協議会とも連携しながら、近年確保されている補正予算の編成について緊急要望を行う。
また、学校施設は、児童生徒などが一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことから、道教委としては、本年度も「国の施策および予算に関する提案・要望」の中で公立学校施設整備にかかる必要な財源の当初予算における確保と施策の充実を要望していきたいと考えている。
(2)新増改築事業にかかる国庫補助の改善など
公立学校施設整備にかかる建築単価については、三十年度に三・三%増額したが、依然として実施単価とかい離がある。
二十八年度からは、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う義務教育学校が制度化されたため、公立施設費国庫負担金などに関する関係法令および学校施設環境改善交付金などにおいても、小学校・中学校と同等の内容で義務教育学校を位置付け、現行の新増改築や大規模改造事業の補助制度を活用することができるようになった。
道教委では、国に対し三十一年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や補助単価の引き上げおよび補助要件の緩和や地方財政措置など施策の充実を要望することとしており、引き続き、その実現に向け要望していきたいと考えている。
また、国庫債務負担行為の年割額については、財務省と文部科学省との協議によって定められていることから、各自治体が設定できるように変更することは困難と考えている。
(3)大規模改造(老朽)事業における補助要件の緩和
道教委では、国に対し三十一年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、学校施設の老朽化などにかかる補助要件の緩和など支援の充実を要望するところで、引き続き、その実現に向け要望していきたいと考えている。
(4)学校体育施設にかかる整備の充実
学校プール、武道場などの学校体育施設にかかる補助単価については、三十年度に三・三%増額したが、依然として実施単価とかい離がある。
道教委では、国に対し三十一年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、学校体育施設整備にかかる必要な財源の確保や補助単価の引き上げおよび補助要件の緩和など施策の充実について要望するところで、引き続き、その実現に向け要望していきたいと考えている。
(5)学校グラウンドなど整備にかかる交付金の事業量の拡大
道教委では、国に対し三十一年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望するところで、引き続き、その実現に向け要望していきたいと考えている。
(6)地震など防災対策にかかる対象の拡大
公立学校施設は、児童生徒などが一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことから、その安全性の確保は極めて重要な課題となっており、道教委では、国に対し三十一年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、学校施設の耐震化にかかる必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望し、引き続き、その実現に向け要望していきたいと考えている。
また、地震防災対策特別措置法に基づく国庫補助率の嵩上げは、三十二年度まで五年間延長され、二十九年度当初において校舎などの耐震化率が全国九八・八%、本道も九四・四%に達し、今後は全国的に長寿命化などの老朽化対策に重点が置かれるため、時限を越えての恒常化は難しいと考えている。
非構造部材の耐震化については、地方財政措置の充実を要望した。
なお、高校については、十八年度の税源移譲によって一般財源化されており、交付金も防災機能強化事業のうち、防火水槽・備蓄倉庫などの整備事業(屋外防災施設)は対象となっている。
また、二十六年度から過疎対策事業債の対象経費に市町村立の高校の校舎、屋内運動場などの整備事業が追加され、さらに、二十九年度から道の地域づくり総合交付金に高校施設等整備事業が新設となり、地方財政措置の拡充による地方負担の軽減が一層図られたものと認識している。
(7)特定フロン使用施設・設備の改修事業に対する補助などの制度の創設
道教委では、国に対し三十一年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や施策の充実を要望するところで、引き続き、その実現に向け要望していきたいと考えている。
▼教職員定数などの充実改善について
(1)少人数学級の早期実現と教職員定数などの改善―重点
道教委では、基礎学力の向上やきめ細かな教育の実践を目指し、習熟度別少人数指導など、きめ細かな指導に積極的に取り組む学校に対し加配措置しているほか、小学校一学年に加え、小学校二学年および中学校一学年において少人数学級編制を実施している。
少人数学級のさらなる拡大や、複式学級の解消、三学級未満の学校への教頭、養護教諭および事務職員の配置など、一層の教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や、定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教委連などと連携しながら、引き続き国に要望していきたいと考えている。
また、道教委では、国に対し三十一年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や施策の充実を要望するところで、引き続き、その実現に向け要望していきたいと考えている。
(2)学力向上のための支援措置の拡充
道教委では、基礎学力の向上やきめ細かな教育の実践を目指し、習熟度別少人数指導など、きめ細かな指導に積極的に取り組む学校に対し加配措置しているほか、小学校一学年に加え、小学校二学年および中学校一学年において少人数学級編制を実施している。
一層の教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や、定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教委連などと連携しながら、引き続き国に要望していきたいと考えている。
また、市町村が県費負担教職員に加えて、独自の判断で地域の人材などを教員として任用することは、地域の特性に応じた学校教育の充実や、各学校における特色ある学校づくりが一層促進されるとともに、学力向上の面からも大変意義のあることと考えている。
こうした市町村費負担教職員の身分や給与水準などは様々な形態が考えられ、基本的には、県費負担教職員と同様に採用や人事異動を行うことは難しいものと考えている。今後も、他府県の事例などについて、研究していきたいと考えている。
(3)小学校における英語教育の拡充強化に向けた教員研修会の充実および英語専門教員の配置拡充
小学校における英語教育に関する教員研修については、道教委ではこれまでも、英語指導力や英語力の向上のため、カナダ・アルバータ州立大学から外国人講師を招へいし、道立教育研究所を会場として研修講座を実施している。本年度は、「小学校教員英語力アップ夏季集中セミナー」「“TEFL理論と実践”研修講座」「英語指導力アップセミナー」を開催する。
また、二十六年度から国が実施している英語指導力向上事業の研修に各管内から教員を派遣するとともに、研修を修了した教員が英語教育推進リーダーとして講師を務め、各管内ですべての小学校の中核となる教員を対象とした研修会を開催する取組を計画的に進めている。
これらの取組に加えて、本年度は、道立教育研究所と教育局などを遠隔システムで接続し研修を行うミニ道研において、小学校外国語活動にかかる内容を設定しており、こうした取組を通じて、小学校教員の英語力や指導力の向上を図る。
なお、英語教育にかかる教員の指導力・英語力の向上に向け、これまでも教員の資質・能力の向上を図る研修の充実のための財源措置について、国に対して要望しており、引き続き要望していく。
また、小学校の専科指導にかかる加配については、二十四年度から措置されており、道では、算数、理科、体育および外国語活動において専科指導を行う学校に配置している。
国においては、新学習指導要領における小学校外国語教育の授業時数増に対応するための専科教員の確保にかかる加配の拡充を示しているが、道としても今後とも、教員の専門性を生かした質の高い授業を通じた学力の一層の向上や、専科教員と学級担任のチーム・ティーチングなどによって基礎・基本を確実に定着させるためのきめ細かな指導の充実などを図るため、小学校専科指導にかかる加配のさらなる拡充について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(4)中学校における免許外教科担当の解消
中学校免許外教科担任の解消に向けては、教科のバランスに配慮した人事配置や免許法認定講習の実施による複数免許所有者の拡大に努めているとともに、二十六年度からは、六学級以下の学校の一部に加配教員などの配置を行っているが、一層、免許外教科担任の解消が図られるよう、定数措置の拡充について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(5)中学校の病気休暇など講師にかかる報酬予算の適正化―重点
長期にわたる病気休暇(九十日以内)にかかる代替措置については、各教育局を通じて市町村教委の要望を伺うとともに、要望内容をしっかりと精査した上で、時間講師の措置または短期間の場合は学校体制での調整によって、学校運営に支障を来さないよう対応してきているところで、引き続き適切な対応に努めていきたいと考えている。
(6)不登校児童生徒の適応指導教室などの設置および運営費の補助拡充―重点
国においては、十五年に「不登校への対応の在り方について」の中で、市町村教委が主体的に教育支援センター(適応指導教室)の整備充実を進めていくことの必要性を示したが、道内においては、適応指導教室が設置されている市町村が三十年五月現在で四十二市町村にとどまっており、未設置の主な理由として、市町村が運営する予算や場所の確保が困難であることが挙げられている。
このようなことから、道教委としては、指導員の人件費などの設置・運営にかかる補助制度(委託事業を含む)の創設などの財政的支援の拡充や教員の派遣制度の確立など施策の充実が必要であると考えており、引き続き、支援体制の強化を国に要望していきたい。
(7)スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置促進
スクールカウンセラーの配置の拡大について、二十九年度からは市町村教委からの要望も踏まえ、小・中学校における配置校の拡充を図るため、市町村巡回方式を導入している。
また、未配置校において緊急に児童生徒の心のケアなどを必要とする案件が発生した場合には、スクールカウンセラーを緊急派遣できるようにしている。
スクールソーシャルワーカーについては、国のスクールソーシャルワーカー活用事業(国庫補助事業)を活用し、希望する市町村との委託契約によって市町村に配置するほか、委託契約をしていない市町村や道立学校に対しては、道教委で任用したスクールソーシャルワーカーを派遣できる体制を整備している。
道教委としては、スクールカウンセラー活用事業およびスクールソーシャルワーカー活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き、国に対して、制度の充実を働きかけていきたいと考えている。
(8)学校図書館にかかる支援措置の拡充―重点
公立小・中学校における学校司書の配置については、二十九年度からの学校図書館図書整備など五ヵ年計画において地方財政措置が拡充された。
道教委では、これまでも学校司書についての標準法による定数措置が新設されるよう、国に要望してきた。
また、学校図書館の環境整備に関しては学校司書にかかる配置に加え、研修や学校図書館における管理システムおよび学校図書館資料などに関する地方財政措置の新設・拡充についても要望した。
今後とも、学校図書館の環境整備については、各市町村の実情を踏まえながら、国に要望していきたいと考えている。
なお、公立小・中学校における学校司書の配置については、学校図書館機能の一層の充実のため、標準法による学校司書の定数措置の新設についても、国に要望していきたいと考えている。
(9)ALTにかかる地方交付税措置の拡充―重点
これまで多くの外国語指導助手を招致し、学校における英語の授業や放課後の活動などに活用するほか、地域住民などとの交流への活動などを通して、外国語教育および国際理解教育の充実を図っている。
外国語指導助手の配置に当たって、地方自治体単独で一定の資質・能力を備えた外国語指導助手を確保することは難しいことから、道教委ではALTを確実に配置できるよう、JETプログラムの継続および拡充、ならびにALTの配置やJETプログラム以外の指導助手の配置に対する地方交付税化を含む財政支援について、これまでも国に要望しており、引き続き要望していきたいと考えている。
(10)地域枠採用の対象拡大
現時点では、小学校および中学校の国語、社会、数学、理科または英語の普通免許状を有し、日高、宗谷、根室の管内のいずれかに限り勤務できる方を対象とした地域枠採用を実施している。
教員採用選考検査については、不断に見直しを行い、教員としてふさわしい資質や能力を備えた人材の確保に努めていく。
(11)コミュニティ・スクールの推進のための財政措置および加配措置の確保
コミュニティ・スクールの導入を推進するため、これまでも制度を導入する市町村への財政支援の拡充や加配措置について、国に要望してきており、引き続き、全国都道府県教委連とも連携しながら、国に強く働きかけていきたいと考えている。
また、教員および事務職員の加配措置のためには、国の教職員定数の改善が必要であるため、国に要望していきたいと考えている。
(12)小中一貫教育の推進のための教職員の配置基準の見直し、加配措置およびそれに伴う財政措置ならびに兼務基準の明確化
小中一貫教育に関しては、二十九年度から小中一貫教育の導入などに向けた支援のため、国の加配の範囲内で、小中一貫教育実施校や実施予定校に対し、教員を加配しているが、一層の定数措置の拡充について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
また、小中一貫型小・中学校の場合は、法律上は独立した小学校と中学校という扱いとなっているので、教員もそれぞれの学校種の免許状を持ってそれぞれの学校に配置されることとなっており、乗り入れ授業や教科担任制の導入の場合、必要に応じ兼務発令を行うこととなっている。
なお、道教委では三十年二月に児童生徒の評価に当たる留意事項など、小中一貫教育を導入する際に参考となる事例やQ&Aをまとめた『北海道における小中一貫教育について』を作成し、市町村教委に配布した。
今後も、小中一貫教育の先行事例などを市町村教委に情報提供するなど、各学校の取組を支援していきたいと考えている。
(13)部活動指導員制度への支援
道教委では、三十年三月に学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を策定し、その中で「道教委は、部活動の効果的、効率的な活動に取り組む市町村教委に対して、部活動指導員の効果的な配置の支援を行う」として、本年度から中学校における部活動指導員配置促進事業を実施し、部活動指導員の配置について支援を行っている。
部活動指導員に関する人材確保の在り方については、中学校における部活動指導員の任用の状況や課題などを踏まえ検討するとともに、財源措置の充実については、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(14)学校現場における業務適正化の推進
道教委としては、教員が授業や授業準備などに集中し、健康で生き生きとやりがいをもって勤務しながら、学校教育の質を高められる環境を構築することが必要であると考えている。
このため、道教委が主導して道内のすべての学校において、働き方改革を行うため、業務改善の方向性を示した学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を三十年三月に作成した。
北海道アクション・プランでは、一週間当たりの勤務時間が六十時間を超える教員を全校種においてゼロにすることを今後三年間の目標として掲げ、道教委、市町村教委、学校の役割を明らかにし、保護者や地域の方々の理解をいただきながら「スクール・カウンセラー、スクール・ソーシャル・ワーカー、部活動指導員などの専門スタッフなどの配置」や「校務支援システムの導入促進」「部活動休養日などの完全実施」「学校閉庁日の設定」「調査業務などの見直し」などに取り組むこととし、毎年度、取組を検証し改善を図りながら、働き方改革を着実に進めている。
また、少人数学級のさらなる拡大などについては、国の定数改善が必要で、新たな定数改善計画を早期に策定し、着実に実施するよう、引き続き国に要望していくとともに、教員が本来担うべき業務に専念できる環境整備に向けて、専門スタッフの配置にかかる財源措置の拡充、校務支援システム整備のための財源措置の拡充などについて、国に要望していく。
▼特別支援教育の振興充実について
(1)特別支援教育の施設充実および特別支援教育推進のための体制整備―重点
特別支援学校の配置に当たっては、可能な限り身近な場所で、障がいの種別などに応じた専門性の高い教育を受ける機会を確保する観点に立ち、児童生徒などの障がいの状況や本人・保護者のニーズを把握しながら、必要な受入体制を整備することとしているが、効果的に学習や集団活動などを行うためには、同学年で複数の児童生徒が在籍していることが望ましいことから、近隣の特別支援学校の配置状況などを踏まえつつ、各障がいごとの児童生徒などの在籍状況や、今後の児童生徒数の推移などを十分考慮しながら、検討していきたいと考えている。
また、スクールバスの運行に当たっては、障がいのある児童生徒が長時間にわたり乗車することや、冬季における安全運行を確保することなど、児童生徒などの健康や安全にも配慮する必要があり、このため、自宅が学校から遠隔地にある場合は、スクールバスの運行ができず寄宿舎利用となるケースがあるが、可能な限り、児童生徒などや保護者の負担に配慮するよう、努めていきたいと考えている。
また、特別な教育的支援を必要とする児童生徒などの実態把握や支援に当たっては、各教育局の専門家チームによる巡回相談を継続して実施するとともに、特別支援学校の教員を小・中学校などに派遣し助言や研修支援を行う特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業などによって、対応していきたいと考えている。
(2)特別支援教育推進のための教員の加配措置―重点
特別支援学級の教員配置については、学級数に応じて配置しているが、肢体不自由、自閉症・情緒障害、知的障害学級で児童生徒数が七人以上の場合などに道独自の措置として一人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。
今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
道教委が実施している通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒などに関する調査においては、支援を必要とする児童生徒などの割合は増加傾向にあり、各市町村では財政事情や人材確保などの課題がある中、特別支援教育支援員を独自に配置するなど、支援を必要とする児童生徒などの教育的ニーズに応えるため、様々な取組を行っているものと承知している。
このため、道教委としては各学校や地域の実情に応じて特別支援教育支援員の配置ができるよう、支援員配置にかかる財源措置の一層の拡充について、国に要望してきているところで、引き続き強く要望していきたいと考えている。
なお、特別支援教育支援員の配置にかかる地方交付税交付金は、それぞれの地方公共団体の財政力の違いを踏まえ、公的サービスに格差が生じないよう、国が地方公共団体の財政力を調整するため、学校数を測定単位として積算の上、措置されているものと考えている。
(3)特別支援学級担当教諭の加配措置―重点
特別支援学級の教員配置については、学級数に応じて配置しているが、肢体不自由、自閉症・情緒障害、知的障害学級で児童生徒数が七人以上の場合などに道独自の措置として一人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。
今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(4)専門的知識を有する特別支援学級担当教諭の採用・育成の促進
道教委では、教員を目指す学生などに対し、特別支援学校教諭の免許状取得の動機付けと、免許所有者の採用促進を図るために、二十七年度選考検査(二十六年度実施)から、特別支援学校教諭免許状所有者に限り「小学校と特別支援学校小学部」「中学校と特別支援学校中学部」「高校と特別支援学校高等部」の併願制度を設けた。
今後とも、特別支援学校教諭の免許状取得の促進と免許状所有者の採用に努めていきたいと考えている。
また、道教委では、特別支援学級および通級指導教室を担当する教員の専門性向上を図るため、全十四管内において、特別支援教育基本セミナーや特別支援教育充実セミナーを開催しているほか、道立特別支援教育センターにおいて、自立活動研修講座、教科等指導力向上研修講座、新学習指導要領研修講座を実施している。
また、教員向けの指導資料としてこれまで作成した『“特別支援学級を支えるために”特別支援学級に関するQ&A』『“特別支援学級を支えるために”実践事例編』『“特別支援学級を支えるために”~教材活用事例集』の活用について、あらためてすべての小・中学校などに周知するなど、特別支援学級を担当する教員の指導力向上に努めていく。
今後も、研修機会の拡充や内容の充実、必要な予算の確保に努め、特別支援教育を担当する教員の専門性向上を図っていきたいと考えている。
(5)特別支援学校教諭免許状取得講習の拡大
特別支援学校や特別支援学級に在籍している児童生徒に、一人ひとりの障がいの特性に応じた指導を行うためには、教員の専門性の向上を図ることが必要で、専門の免許状を所有することが望ましいと考えている。
このため、道教委では、特別支援学校教諭免許状取得にかかる免許法認定講習について、二十六年度からは札幌、釧路、函館、名寄の四会場での開催とし、受講定員を拡充するとともに、二十七年度からは視覚障害者領域と聴覚障害者領域の受講定員の拡充や領域の追加取得のための講習の開催など、その工夫と充実を図っている。
今後とも、認定講習の開催地や開催方法などについて、道教育大学などと協議しながら検討を行い、免許状の取得を一層促進するよう努めていきたいと考えている。
(6)通級指導担当教員などの適正配置および配置基準の緩和―重点
通級指導に関しては、国において二十九年度から十年間をかけて、加配定数の大部分を基礎定数として安定的に配置することと併せて、教員の増員を図ることが示された。
道教委としては、加配定数における国の方針を最大限生かし、通級指導の充実に努めるとともに、定数措置のさらなる拡充について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(7)通級指導担当教員の巡回指導の実施
通級による指導の実施においては、通級による指導を担当する教員が本務校以外の学校で指導(いわゆる巡回指導)を行うことは制度上可能で、道教委では各教育委員会に対して、教員に複数校を兼務する発令を行うなど身分上の取扱いの明確化や、国における加配定数の基礎定数化、各学校における通級による指導を希望する児童生徒の状況などを踏まえた通級指導教室の配置の在り方などについて、周知している。なお、巡回による指導の実施に必要な旅費などの措置について、必要な予算の確保に努めていきたい。
(8)教育上特別な支援を必要とする幼児が就園する公立幼稚園への国庫補助の実施
特別な支援を必要とする幼児にかかわる幼稚園教育の充実を図っていくために、私立幼稚園と同様の措置が図られるよう、施策の推進について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(9)市町村配置の支援員や補助員などにかかる財政措置の拡充―重点
道教委が実施している通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒などに関する調査においては、支援を必要とする児童生徒などの割合は増加傾向にあり、各市町村では、財政事情や人材確保などの課題がある中、特別支援教育支援員を独自に配置するなど、支援を必要とする児童生徒などの教育的ニーズに応えるため、様々な取組を行っているものと承知している。
このため、道教委としては、各学校や地域の実情に応じて特別支援教育支援員の配置ができるよう、支援員配置にかかる財源措置の一層の拡充について、国に要望してきているところで、引き続き強く要望していきたいと考えている。
(10)高校へ通学する生徒に対する支援員の配置
道教委では、特別支援教育支援員の配置にかかる国の地方財政措置を活用して、高校における特別支援教育支援員配置事業を実施し、発達障がいを含む障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒が在籍する道立高校のうち、当該校の対象生徒の人数や支援の内容、教員の配置数などを考慮し、きめ細かな個別の支援を行うことが難しい状況にある学校を指定して、特別支援教育支援員を配置している。
今後とも、高校への特別支援教育支援員の配置の一層の充実を図るために必要な財源措置について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(11)特別支援学校が行う連携協力に必要な旅費などの措置
道教委では、小・中学校などに対して、特別な教育的支援を必要とする児童生徒などへの学習指導の進め方や個別の指導計画の作成などについて継続的に支援を行うため、特別支援学校の教員を小・中学校などに派遣する特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業を実施しており、当該事業に要する旅費を措置しているほか、特別支援学校教員による小・中学校などへの助言や研修支援を行うための旅費などについても措置しており、今後も、必要な予算の確保に努めていきたいと考えている。
(12)特別支援学校高等部における受入体制の整備
道教委では、道内において特別支援学校高等部への進学希望者が増加している状況に対応するため、この十年間で、オホーツクを除く五圏域で高等支援学校を十一校、道央圏で義務校併設の高等部を二校整備しているほか、三十一年度には道南圏において、新設を予定しているなど、進学希望者に見合った定員の確保を図ってきているが、広域分散型の本道の地域性から、すべての生徒が自宅から通学できる状況にはなっていない現状にある。
道教委としては、特別支援学校の配置に当たっては、引き続き可能な限り身近な場所で、障がいの種別などに応じた専門性の高い教育を受ける機会を確保する観点に立ち、児童生徒の障がいの状況や本人・保護者のニーズを把握しながら、進学希望者数に応じた定員の設定など、必要な受入体制の整備に努めていきたいと考えている。
(13)医療的ケアを必要とする児童生徒の特別支援学校への受入体制の整備
道教委では、これまで医療的ケアを必要とする児童生徒などが在籍する学校への看護師配置を進めており、三十年度は二十三校の特別支援学校に看護師を配置している。
併せて、対象校に勤務する看護師や教員への研修を実施するなどして、体制整備の充実を図っている。
今後とも、医療的ケアを必要とする児童生徒などの在籍状況や保護者のニーズなどを踏まえ、看護師の配置をはじめ、学校における医療的ケアの充実を図っていきたいと考えている。
▼学校教育の振興充実について
(1)義務教育費国庫負担制度の維持
道教委としては、義務教育費国庫負担制度は義務教育の根幹をなすもので、国の責務において確実に財源を保障するべきものと考え、これまでも国に対して、全国都道府県教育長協議会や教育委員協議会を通して必要な財源が確保されるよう要望を行っており、今後とも、引き続き国に働きかけるとともに知事部局とも連携し、必要な財源の確保に努めていきたいと考えている。
(2)全国学力・学習状況調査などの学力向上策の推進
道教委では、できるだけきめ細かく分かりやすい調査結果を示す観点から、報告書の内容について不断の工夫改善を行っている。
二十六年度からは、変更された国の実施要領に基づき、市町村の同意を前提として市町村名を明らかにした公表を行うこととし、教科の領域別の状況を分かりやすく示すことができるレーダーチャートを基本としつつ、市町村教委がこれまで取り組んできた施策などの成果として、教科や質問紙のデータや分析結果、今後、重点的に推進する施策などを掲載するなどの改善を加え、市町村の成果や課題が明らかになるよう工夫した。
また、二十九年度は、教育委員会や学校が実効性のある学力向上の取組を検討する際に活用できるよう、学校が調査結果を分析し授業改善に活用する事例などを掲載した『資料編』を作成し、学校の実態に合った改善策を講じることができるよう支援している。
道教委では、本道の状況としては全国の平均正答率との差が縮まるなど改善の傾向がみられるものの、授業の目標や振り返りが子どもたちに十分に意識されていないこと、望ましい生活習慣が十分身に付いていないなどの状況がみられることから、さらなる授業改善と望ましい生活習慣の確立に向けた取組が必要であると考えており、今後も、市町村教委と意見交換を行うなど密接に連携を図るとともに、より一層きめ細かな分析に取り組み、市町村教委や学校の取組がさらに充実するよう工夫していく。
ほっかいどう学力・体力向上運動については、本道の子どもたちに望ましい学習習慣を身に付けさせることをねらいとした保護者向けリーフレットの作成・配布などに取り組んできており、今後も多くの方々の協力を得ながら、学校・家庭・地域・行政が一体となった取組を推進していくので、支援をお願いする。
(3)就学援助の財源措置拡充―重点
道教委では、市町村が必要な就学援助を行えるよう、補助金や交付税の財源措置の拡充について、これまでも国に要望しているが、市町村の認定要件や援助項目に違いがあることから、国においてガイドラインを策定することや、生活保護基準の見直しに伴い、三十一年度以降の就学援助に影響が出ないよう、財源措置することなどについて、引き続き要望していきたいと考えている。
(4)幼稚園就園奨励費補助事業の改善について
幼稚園就園奨励費補助については、国において、補助単価の引き上げや優遇措置の拡大など制度の改善が図られている。道教委としては、各自治体の負担の軽減が図られるよう、施策の充実について、これまでも国に要望しており、引き続き要望していきたいと考えている。
(5)中学校の全道大会・全国大会に対する引率教員の旅費の充実
道教委では、昭和五十六年度から日本中学校体育連盟が主催する全国中学校体育大会にかかる引率旅費を措置してきたところで、二十五年度からは、十人以上の生徒を引率する場合、引率者一人の加算ができるよう改善した。
また、道中学校体育連盟が主催する地区大会(地域およびブロック大会も含む)にかかる引率旅費についても、二十五年度から新たに全国大会同様の措置をしてきた。
全道大会の引率旅費の措置については、厳しい道財政の状況から難しいと考えているが、運動部活動の在り方に関する今後の国の動向などを注視しながら、引き続き検討していきたいと考えている。
なお、文化的諸行事の全道大会・全国大会の部活動引率旅費については、中学校文化連盟の組織化の進展状況などを注視しながら、検討していきたいと考えている。
(6)生徒指導旅費などの十分な確保
生徒指導旅費については、家庭訪問や校外指導など生徒指導を行う際の旅費として予算措置しており、配分された旅費を超えて対応しなければならない事案が生じた場合は、必要に応じて市町村や学校に配分された旅費全体の範囲内で調整を行うなどして、弾力的な運用をすることとしている。
厳しい財政状況にあるが、引き続き予算の確保に向け努力していきたいと考えている。
(7)校外学習指導旅費の十分な確保
各学校における校外学習指導がより円滑に実施されるよう、学校の実態の把握に努めるとともに、厳しい財政状況にあるが、引き続き必要な予算の確保に努めていきたいと考えている。
(8)教職員の研究会・研修会にかかる旅費の十分な確保
教職員の研究会・研修会などへの出席旅費については、これまで自主的・主体的な研修活動や学校の研究課題にかかわる調査研究を奨励するため、校内教職員研修促進費を予算措置してきた。
二十四年度からは、学校の小規模化の問題に対応するため、事業名を校内・地域教職員研修促進費に変更し、複数の学校が合同で研修を行うことができる地域連携型の事業「地域連携研修」を実施するとともに、二十六年度からは、新たに特別支援学校を対象とするなどして、拡充してきた。
道の財政は厳しい状況にあるが、引き続き必要な予算の確保に努めていきたいと考えている。
(9)へき地児童生徒援助費のスクールバス・ボート購入費の補助拡充
スクールバス購入費の補助限度額の引き上げや通学距離要件など補助要件の見直しを行い、児童生徒の通学手段を確保するための施策を充実するよう、引き続き国に要望していきたいと考えている。
また、スクールバスの運営費に対する国庫補助金制度の新設については、実現が極めて難しい状況にあると思われるが、道教委としては、今後の推移を注視しながら対応していきたいと考えている。
(10)学校におけるNHK放送受信料の免除措置の継続
日本放送協会(NHK)の放送受信料の免除措置については、義務教育諸学校における教育内容の一層の充実・向上と放送教育の普及・拡大の観点から、これまで国に対して要望してきている。
今後とも、日本放送協会の動向を注視しながら、引き続き国に対し、日本放送協会への働きかけについて要望していきたいと考えている。
(11)教育の情報化を着実に推進するための支援措置の拡充―重点
道教委としては、必要な機器や支援体制の整備のための財源措置の拡充などについて、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(12)地域にとって重要な役割を果たしている小規模高校の存続
広域分散型の本道において、人口減少社会への対応や地方創生の観点から地域の教育機能を確保することが重要であること、時代の進展や生徒の幅広い学習ニーズに対応した多様なタイプの高校の在り方について検討が必要なことなどから、十八年に策定した新たな高校教育に関する指針の検証を行い、本年三月に、これからの高校づくりに関する指針を策定した。今後も、高校進学希望者数に見合った定員を確保するとともに、教育水準の維持向上と教育の機会均などを図る観点から、地域の実情などを考慮しながら、適切な高校配置に努めていく。
職業学科については、地域の産業構造や特色、高校が地域で果たしている役割などを踏まえ、将来の地域社会を担う人材の育成や、特色ある教育活動の展開の観点から、保護者や地域の方々の意見などを伺いながら、配置計画を検討していく。
また、高校は文化・スポーツ活動だけではなく、地域の経済や産業などにも影響を及ぼすといった意見もいただいており、今後とも、高校配置が地域に与える影響、高校に対する地域の期待や取組などを考慮しながら適切な配置計画に努めていく。
(13)公立高校の再編整備に伴う通学費補助制度の充実
通学費など補助制度は、道立高校の募集停止に伴う進路変更や通学費負担などの増加など、学習環境の激変を緩和する観点から創設したもので、従来から高校のない地域との均衡にも考慮し、補助期間を五年としている。
このような制度の趣旨を考慮すると、補助期間の延長は難しいものと考えているが、地域別検討協議会などでの要望を踏まえ、控除額を引き下げて一万円を超える額を補助することとしたほか、月ごとに補助金の支払いができるよう改善してきている。
また、この制度の対象となる地域の生徒に対しては、公立高校生徒奨学金によって通学費など補助の補助期間終了後においても、期限を設けずに貸付限度額の引き上げを行っており、こうした制度の周知も図り、生徒の修学機会の確保に努めていきたい。
(14)北方領土問題に関する学習の充実
北方領土に関する学習を一層充実するため、学習指導要領に北方領土に関する内容をさらに具体的に記述するよう、これまでも国に要望しており、引き続き要望していきたいと考えている。
(15)教育目的で利用する貸切バスの確保および補助の新設
教育目的で利用する貸切バスの借上料に対する国庫補助金制度の新設については、実現が極めて難しい状況にあると思われるが、道教委としては、今後の推移を注視しながら対応していきたいと考えている。
また、貸切バスの台数確保の改善については、関係部局に要望の趣旨を伝えていきたいと考えている。
▼学校安全、学校保健および学校給食の振興充実について
(1)学校の安全体制の強化
児童に対する事件・事故被害の未然防止に関する教育については、各学校が児童に対し、安全に関する知識を身に付けさせる際に活用する『安全教育実践事例集』の作成や、道教委のホームページへの掲載、地域住民などと連携し、学校の安全管理体制のモデルを示した『道実践的安全教育モデル』を作成・配布するなど、防犯教育を含む安全教育の充実に努めるとともに、すべての管内において学校安全推進会議を開催し、地域ぐるみで児童に対する犯罪被害の防止の具体的な方策などについて共通理解を図ってきている。
また、スクールガード・リーダーの確保や育成、学校支援のボランティアの協力を得た見守り活動などによって、児童の安全を見守る体制の拡充や警察などの関係機関と連携して児童の安全確保の徹底が図られるよう取り組んでいる。
登下校時間帯の通学路における警察などのパトロール強化については、これまでも各種会議などの場を通じて、道警や関係団体などに対して、通学路の巡回パトロールや街頭活動の強化の働きかけを行ってきており、今後においても、継続していく。
(2)教育情報分野におけるセキュリティクラウドの構築
自治体間においては、LGWANや防災用の回線など自治体を相互に結ぶネットワークが整備されており、自治体情報セキュリティクラウドなどの共同化の取組を比較的容易に実施することが可能であるが、道内の教育委員会や学校では、こうしたネットワークが整備されておらず、また、各教育委員会ごとにネットワークの整備状況や利用形態に差違があることから、情報セキュリティ対策を共同で実施するには、それらの調整などが必要となるなど、慎重に対応していく必要があると認識している。
本道におけるシステムの共同化の取組としては、すでに知事部局と首長部局において自治体情報セキュリティクラウドなどの実績があることから、教育情報分野での同様のセキュリティクラウド導入の可能性について、道の情報政策課と検討していきたいと考えている。
(3)携帯電話やインターネットの利用による有害情報や被害から子どもを守る取組推進―重点
啓発活動については、学校における情報モラル教育の充実はもとより、児童生徒のフィルタリング利用の促進に取り組んできた。
また、道および道警と連携し、電気通信事業者(携帯三社)に対し、フィルタリングの普及促進について要請訪問を行っている。
法整備にかかる国への要望については、これまでも、有害情報や犯罪被害・トラブルから子どもを守るために学校のネットパトロールを支援する事業の拡充や電気通信事業者にとどまらず、インターネットに接続可能な機器に対するフィルタリングサービスの提供義務の対象範囲の拡大など、法的規制について、国に対して働きかけてきたが、従来の方法では監視できないSNSなどにおけるネットトラブルの防止対策についても要望していきたいと考えている。
(4)フッ化物洗口にかかる経費負担―重点
フッ化物洗口については、道歯・口腔の健康づくり8020推進条例などに基づき、児童生徒にかかる歯・口腔の健康づくりの推進を図るため、一校でも多くの学校などで実施されるよう、市町村教委へ協力をお願いしてきた。
また、未実施市町村における円滑な導入の支援の一環として、知事部局と連携し、二十五年度からは、都市教委連などの要望を受け、新規にフッ化物洗口を実施する公立の学校などに対して、初年度分の薬剤支援を行っている。
道教委としては、今後も、知事部局と連携し、新規にフッ化物洗口を実施する学校などへの負担軽減措置について検討していきたいと考えている。
(5)学校給食施設・設備にかかる交付金などの改善充実―重点
学校給食施設・設備については、ドライシステム化の整備などにかかる施策の充実や給食設備の更新にかかる補助制度の創設について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
また、学校施設環境改善交付金の二十六年度事業実施分から、基準面積および建築単価の改訂、学校給食におけるアレルギー対応のため、アレルギー対策室をドライシステムによって新増改築する事業が創設されており、より実工事費に近い交付金制度に改善されていると考えているが、引き続き、各市町村における事業活用にかかる状況や課題について把握していきたいと考えている。
なお、現在、市町村、一部事務組合などの共同調理場の整備は道地域づくり総合交付金の対象事業となっていないが、合併市町村が共同調理場を整備する場合で各総合振興局・振興局が特に必要と認める事業については、交付金事業の対象になっている。
(6)栄養教諭の定数改善および旅費などの予算の確保―重点
道教委では、これまでも栄養教諭を中心として、児童生徒により安全で安心な給食を提供するとともに、食に関する指導の充実が図られるよう、食物アレルギーなどの児童生徒にかかる情報共有や個別指導、また、地域の自然や文化、産業などに理解を深め、食への感謝の念を育むための地場産物の活用など、学校、家庭、地域が連携した食育の推進に取り組んできている。
現行の基準以上に栄養教諭を配置し、こうした取組を一層充実させるためには、国の新たな定数改善が必要であると考えており、今後とも、全国都道府県教委連などとも連携しながら、栄養教諭などの定数措置の拡充について、国に対して、強く要望していきたいと考えている。
また、栄養教諭の食に関する指導に要する旅費については、栄養教諭の配置校・共同調理場間の距離、移動方法などの状況を把握し、所要の措置を講じているところであり、引き続き予算の確保に努めていきたいと考えている。
(7)給食にかかる助成制度の拡充
道教委では、学校給食用物資の安定的供給にかかる補助制度の充実について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(8)食物アレルギー対応食の提供などに必要な学校生活管理指導表の文書料にかかる補助制度の創設―重点
学校給食におけるアレルギー対応について、就学援助が必要な児童生徒への学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)の作成などに要する経費の財政措置を、引き続き国に要望していきたいと考えている。
▼その他文教施策の充実について
(1)国指定文化財の保存管理費用に対する助成の拡大
国庫補助事業の対象の拡充については、これまでも道の「国の施策および予算に関する提案・要望」において、要望してきたところで、引き続き国に要望していきたいと考えている。
史跡の維持管理については、面積にかかわらず一律に特別交付税が措置(一件につき年間六十二万円から百十三万円が交付)されているが、要望の趣旨を踏まえ、国に働きかけていきたいと考えている。
記念物にかかる国庫補助事業の補助率引き上げについては、今後、国に働きかけていきたいと考えている。
(2)道立図書館の図書資料費の確保
道立図書館では、道内図書館のセンターとして、市町村立図書館などへの大量一括貸出しや学校図書館への協力貸出しなどの支援、利用者へのインターネット予約貸出しを行うとともに、道民カレッジ連携講座や市町村立図書館職員などを対象とする研修事業などを行っている。
また、昨年度は北海道百五十年事業の一環として、ふるさと映像資料など活用促進事業によって、同館が所蔵する一九五〇年代から六〇年代の北海道の様子を記録した十六㍉フィルムの中から、選りすぐりの百十五作品をDVD化し、貸出しを行っている。
道財政が厳しい状況にあるが、今後も道民や市町村立図書館などからの要望に応えられるよう、図書資料の整備充実などに努めていきたいと考えている。
(3)社会教育施設の改修にかかる補助制度の創設―重点
道教委としては、社会教育施設の現状などを踏まえ、引き続き、全国都道府県教委連と連携を図りながら、社会教育施設の改修にかかる補助制度の創設などについて国に要望していきたいと考えている。
(4)へき地など学校の級別指定にかかる基準の改正
へき地など学校の級別区分については、へき地教育振興法施行規則で定める基準に基づき、その学校などのへき地性を基準点数および調整点数によって点数化し、その合計点数に応じて決定することが基本とされており、二十八年一月一日に級別指定の見直しを行った。
なお、現行の指定基準は二十二年四月に施行されたへき地教育振興法施行規則の一部改正によって約二十年ぶりに見直しが行われたもので、今後とも、国や他都府県の動向を注視し、社会・生活環境の変化に応じたへき地の相対的な格差を反映した基準となるよう、必要に応じて国への働きかけなどを検討していきたい。
(5)教育の事務の広域化にかかる運営体制の改善
二十六年に改正された地方教育行政の組織および運営に関する法律では、地方公共団体の長が大綱の策定や総合教育会議の設置を行うこととされており、地方自治法上、地方公共団体の組合も地方公共団体の一つなことから、一部事務組合でも、その長(管理者)が、本法に基づき大綱を定め、総合教育会議を設置することとなる。
地域住民の意向のより一層の反映や地方公共団体の長と教育委員会との連携の強化など、法改正の趣旨を踏まえ、適切な事務処理が図られるよう配慮いただきたいと考えている。
(6)地域学校協働活動の促進
地域学校協働活動については、これまでも国に対し財源措置の拡充を要望してきているところで、今後とも、全国都道府県教委連などとも連携しながら、国に要望していきたいと考えている。
(関係団体 2018-10-05付)
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