道小学校家庭科教育連盟が研究大会 豊かな心と実践力を 80人参加し授業と協議(関係団体 2018-10-18付)
より良い生活を創り出す子の育成に向けて研鑽した
道小学校家庭科教育連盟(石澤優子会長)は十二日、札幌市立本郷小学校で第五十六回道小学校家庭科教育研究大会兼第十二回札幌地区小学校家庭科教育研究大会を開いた。大会主題「豊かな心と実践力を育み、未来を拓く家庭科教育」のもと、公開授業や研究協議などを実施。全道から教員や学生など約八十人が参加し、家庭科教育の充実・向上に向けて研鑚を積んだ。
連盟は本年度、これまでの研究の成果と課題を踏まえ大会主題を改定。家族や異世代、生活文化とかかわることで養われる「共に生きる心」や「生活の中から問題を見い出し、課題を設定する力」「生活をより良くしようとする実践的な態度」を育むことを目指している。
研究主題を「自らより良い生活を創り出す子ども」と設定。視点には、①生活を見つめることで疑問や気付きを生む教材化②子どもの言葉や行動が変化する教師のかかわり―を据えた。
①では、生活の「当たり前」にふれる機会を意図的に設定。興味・関心を引き出す“題材をつらぬく課題”の解決に向け「アンケートなどによる子どもの実態把握」「はじめに育てたい力を明確化すること」に取り組んでいる。
②では、児童の発想を生かして自ら選択した方法を確かめる場面や、自分の行動が教師や友達に意味付けられる場面を設定することで、納得を生み、日常への行動化につながる学習を目指している。また、児童の知識や技能、心情の変化を学習の前後で比較できるよう「子どもの変化見取り表」を作成した。
開会式では、石澤会長があいさつ。
社会が急激に変化する現代において、家庭科教育が重要視されていることにふれ「家庭科を学ぶ意義を子どもたちに十分理解させるとともに、家庭科教育の目標である教育の充実が満たされることが期待されている」と話した。
本年度、大会主題を新たに設定したことや、子どもの言葉や行動が変化することを目指して研究を進めてきたことを紹介。「本大会の成果が、次年度札幌で開催する第三十四回道・東北地区小学校家庭科教育研究大会につながり、今後の家庭科教育を探る一助となれば」と述べ、学び多い大会となることを祈念した。
続いて、栃尾美加子札幌大会実行委員長が、助言者の道教育大学札幌校の佐々木貴子教授、上川教育局義務教育指導班の北河剛治指導主事、札幌市教委研修担当課の髙梨美奈子研修担当係長を紹介した。
開会式のあと、公開授業のほか、研究提言、研究協議を実施。家庭科教育の一層の充実に向けて研鑚を積んだ。
◆団らんの大切さ実感 札幌本郷小5年・わくわくミシン
会場となった本郷小では、五年一組(兒玉重嘉教諭、児童二八人)「わくわくミシン~家庭で実践しようチャレンジコーナー“家族レストラン”」の授業を公開した。
題材をつらぬく課題には「ランチマットを敷いて冬休みに家族レストランを開く」を掲げ、自分や家族のためにつくったものを使う楽しさや、家族団らんの大切さを実感させることをねらった。
本時は全十二時間扱いの三時間目。目標を「手縫いとミシン縫いの良さをそれぞれ生かして、ランチマットの縫い方を考えることができる」と設定した。
兒玉教諭は本時までに、ランチマットに関する児童の意識などを調査。家庭でランチマットを敷いて食事をする児童が少ないことや、ランチマットは「給食時に使うもの」と考えている児童が多いことが明らかとなった。
また、同校の教諭が作成した見本のランチマットを貸し出し、実際に児童の家庭で使用する機会を創出。ランチマットを使用する良さや特性を理解させた上で、家族のためにつくるランチマットの完成図を作成させている。
授業では、これまでの学習を振り返ったあと、児童が書いた前時の振り返りや気になっていることをディスプレイに表示。「細かい部分はどう縫えばいいのか」「平仮名を縫いたい」などの思いを共有した。
続いて、本時の課題「どこを手縫いにして、どこをミシン縫いにするのかな」を板書。兒玉教諭がミシンを使い、児童に直線縫いする様子を見せた。
また、ミシン縫いと手縫いで作製したランチマットとワークシートを配布。ランチマットを確認させながら、ミシン縫いと手縫いの特徴を書き込ませた。
全体交流では、「手縫いはいろいろな縫い方ができる」「ミシン縫いは速くてきれい」など、児童の意見を板書して整理。実際にミシンを用いて小さな文字を縫って見せることで「曲線はミシンじゃ難しい」といった児童の感想を引き出すなど、それぞれの縫い方の特徴をより深く理解させた。
交流後、ランチマットの完成図に手縫い・ミシン縫いをする部分と、その理由を書き込ませた。
児童の完成図のうち、弟のために人気キャラクターが描かれた完成図や、ミシン縫いや手縫いの特徴をとらえた書き込みをディスプレイに表示。児童が工夫した点や考えを評価した。
また、児童同士で完成図の感想を交わす活動などを通し、次時への期待感を高めた。
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手縫いとミシン縫いの特徴をとらえ、縫い方を考えた
(関係団体 2018-10-18付)
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